白髪染めいつまでする?人生の節目にやめること7つ|賢く生きるヒント
60才を過ぎたら年を重ねるごとに人生の節目と考え、新たなことを始めるよりも「やめていくこと」を考えるべきだと、専門家たちは語る。今までやってきたことをやめてムダを省き、身軽に生きるためのコツとは…。
1.足腰が弱ってからの大掃除は危険も
介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子さんは家の掃除には“やめどき”があると、話す。
「足腰が弱ってからの大掃除は、転倒の危険が高い。介護保険が使えるなら、地域包括支援センターなどに相談してください。保険が使えなくても、自治体独自のサービスやボランティアサービスを利用できることもあります。民間のホームヘルプ事業者にお願いするのもいいでしょう」
2.家にこもると心神衰弱しやすい
70代以降になると、移動が億劫だからと家から出る回数が減少する人もいる。家にこもる時間が増えると、心身ともに衰弱するため、移動はタクシーを利用するのも手だ。
「条件はありますが、自治体によってタクシー代の補助や割引サービスなどもあります。買い物のためにタクシーは贅沢と思うかもしれませんが、自転車に乗って転倒したら一大事です。節約の意識はなくして、うまく活用しましょう」(太田さん)
3.孫へのお祝いや資金援助は控える
かわいい孫の世話も負担になるのなら考えもの。老後資金から捻出するほどの出費は控えた方がいい。
「難しいと思ったら子供に素直に伝えて、面倒をみる回数を減らしたり、できることだけ手伝った方が関係を良好に保てます。
また、孫へのお祝いや教育資金援助は、一度出すと引っ込みがつかなくなり、孫が増えるたびに同じ額を出さないといけなくなる。
特に習い事の授業料のような、長く続くものは危険です。娘や息子も、高額なお祝いをもらうと老後資金に余裕があると思い込みやすい。老後資金から出せるお金の程度は予め考えておいた方がいいでしょう」(太田さん)
4.料理の作り置きがムダに?
夫婦関係にも見直しが欠かせない。まずは、3度の食事を夫の分まで作ることをやめよう。管理栄養士の麻生れいみさんが指摘する。
「60代以降は食が細くなり栄養摂取が難しくなるので、栄養バランスがとれた配食サービスなどを利用するのがおすすめです。定年を迎えてずっと一緒にいると、3度の食事を作るのに辟易してくる人が多い。いずれ夫がひとりで生活する可能性も考えて、料理を覚えてもらうのもいいでしょう」
家計の節約の鉄則である「料理の作り置き」も、60代以降は食べきれない可能性があるのでやめていい。
「夫と2人の生活なら、スーパーやコンビニで買った総菜ですませても大してお金はかかりません。いまはレトルトで煮魚のパックまで買えるし、充分においしい。食べきれない食材を豊富にそろえるより経済的です」(丸山さん)
必要な栄養を摂るために、食が細くなった60代以降こそ、3食きっちり食べたい。しかし、主食を中心とした食事はやめにしよう。
「優先すべきは筋肉や臓器など“体の材料”になる『たんぱく質』です。65才以上は女性なら1日50gのたんぱく質摂取が理想。60才になったら『ご飯にする? パンにする?』ではなく、『肉にする? 魚にする?』という発想に転換しましょう」(麻生さん)
5.石けんの洗顔は皮脂を取り過ぎる
健康に、美しく年を取りたいというのが女性の理想。しかし、年を取るほど美をキープすることはテクニックが必要となる。『カッコよく年をとりなさい グレイヘア・マダムが教える30のセオリー』(ハルメク刊)などの著書があるトータルビューティークリエイターの川邉サチコさんは、洗顔の見直しからアドバイス。
「更年期を過ぎて、60代に入ると肌質が変わり、脂性肌だった人も乾燥してきます。私はそのタイミングが70代のときで、それまでは石けんじゃないと毛穴まできれいに洗えなかったのですが、皮脂が取れすぎるため、石けんでの洗顔をやめました」(川邉さん)
6.アイメイクは手抜きしていい
目元にハリがなくなり、アイメイクがやりにくくなったと悩む人は多いだろう。しかし、高齢者こそアイメイクは手抜きしていい。川邉さんが続ける。
「なぜなら、老眼鏡をかけるから。レンズは目が大きく見えるため、流行のメイクをしても、しつこい顔になるんです。私自身はマスカラをやめました。まつげエクステも老眼鏡をかけると目立つのでやめていい。流行のメイクを追うことをやめられるのはラクでいいですよ」
7.白髪染めをやめるなら…かっこよく楽しむ!
高齢になると、メイクや体形よりも、白髪や薄毛に悩む女性の方が多いといわれる。川邉さんといえばグレイヘアの第一人者だが、白髪染めのやめどきはいつだろうか。
「『年を取ったから白髪にする』のではなく、おしゃれとして、かっこよく楽しめるかどうかで決めてほしい。
私は70代で白髪にして、ヘアスタイルも肩くらいの長さのボブからロングヘアに伸ばし、アップスタイルにしました。シャープなヘアスタイルだと老けて見えるので、少し膨らみを持たせた方がいい。そこが若いときとの違いです。白髪染めをやめると美容院へ行く回数も減らせるし、若作りから解放されて自由になれたという人もいます」(川邉さん)
その分、シャンプーなどは以前よりていねいに行うことが美髪を保つコツだ。
60才以降はムダななものをはぎ取って【まとめ】
82才のいまも第一線で活躍する川邉さんは、「年を取ることにはムダがない」と話す。
「年を取ると、これまでの経験から物事を合理化できるようになっていく。60代以降は人生の集大成で、ムダなものをはぎ取って、自分のスタンダードを発見する時期なのではないかと思います」
やめたことが増えるほど、自由な時間が増える。60才以降は賢く、身軽に生きることが幸せへのコツだ。
教えてくれた人
太田差惠子さん/介護・暮らしジャーナリスト、麻生れいみさん/管理栄養士、丸山晴美さん/ファイナンシャルプランナー、川邉サチコさん/トータルビューティークリエイター
※女性セブン2021年1月7・14日号
https://josei7.com/