いびきを放置すると生活習慣病や心血管疾患のリスクが!いびき・無呼吸を予防する「舌の体操」と「寝たままストレッチ」を睡眠専門医が解説
大きないびきや、朝起きても疲れが取れない状態を「よくあること」と見過ごしてはいないだろうか。いびきの裏には、睡眠の質を大きく下げ、健康リスクにも直結する原因が潜んでいることがある。実は、寝る姿勢や朝の過ごし方を少し見直すだけで、症状の改善にケースも少なくない。睡眠専門医の白濱龍太郎医師に、いびき対策と朝の覚醒を促す具体的な方法を伺った。
教えてくれた人
白濱龍太郎さん/睡眠専門医
潜在患者数は約500万人「睡眠時無呼吸症候群」
なかなか寝付けない、夜中に何度も起きてしまう――。そんな眠りの悩みの背景に、いびきが潜んでいる人も少なくないだろう。強いいびきと無呼吸状態を繰り返す「睡眠時無呼吸症候群」の潜在患者数は約500万人とも言われ、高血圧や脳卒中、心筋梗塞などの深刻な合併症を引き起こす恐れがある。
ひとつの解決策となり得るのが「横向き」の姿勢で寝ることだ。
「仰向け姿勢で寝ると弛緩した舌が喉の奥に落ちて気道が狭くなり、いびきや無呼吸が生じます。横向きに寝て気道を確保するのが効果的です。横向きの姿勢は熱を逃がしにくいため、寝る直前に「深部体温」を下げる運動を行なってください」(白濱医師)
深部体温を下げる「末梢ストレッチ」3
1.かかと・つま先立ち
【1】壁の近くに立つ。壁の近くに足を肩幅に開いて立ち、転倒防止のために壁に手をつく。
【2】かかと立ちをする。つま先を上げてかかとで立ち、3秒キープ。
【3】つま先立ちをする。次につま先で立ち、3秒キープ。ふくらはぎの筋肉に負荷をかけて足の血流を促進させるのが目的のため、左右のひざがくっつかないように注意する。【2】【3】を5回繰り返す。
2.寝たまま手首ストレッチ
【1】手のひらを真上に突き出す。布団の上で仰向けに寝る。両腕を真上に突き出す。片方の手のひらを上にして、もう一方の手で下に押し5秒キープ。前腕屈筋群をしっかり伸ばすことで血流を促進。
【2】手の甲を真下に向ける。続けて手の甲を上に向け、もう一方の手で下に押し5秒キープ。前腕伸筋群をしっかり伸ばすことで血流を促進。左右の手で【1】【2】を3回繰り返す。
3.寝たまま手のひら1回転
【1】両腕を真上に突き出す。布団の上で仰向けに寝る。両腕を真上に突き出す。
【2】手のひらを1回転させる。手のひらを顔のほうに向け、小指同士をくっつけた状態から、矢印の方向に回転させ、手の甲を合わせる。この過程を3回繰り返す。腕全体をひねることで血流を促進。
舌の筋肉アップ体操
日頃から「舌を鍛える体操」を行ない、衰えを予防することも肝要だ。
【1】舌回し。口を閉じた状態で、歯茎の外側をなぞるように舌をゆっくり大きく回す。右回りに10回、左回りに10回行ない、2セット繰り返す。
【2】舌出し。口を大きく開け、舌をできるかぎり突き出す。そのまま舌を上下左右に動かし、動かした位置で5~10秒キープ。2セット行なう。
【3】舌上げ。口を大きく開け、舌の先を上の前歯の裏側、歯茎の付け根あたりに強く押しつけて5~10秒キープ。2セット行なう。
朝は「光」と「寝たままストレッチ」で目覚める
朝の目覚めが悪いのも不眠のひとつだが、すっきり覚醒するためには、どうすればよいか。
「起床後、太陽光のような強い光を10分ほど浴びると、睡眠ホルモンのメラトニンが減少して目覚めやすくなります。朝に外出が難しい日は、起床から4時間以内に窓から外の景色を見ることも効果的です」
白濱医師は、朝起きた後に行なう「寝たままストレッチ」も有効だと語る。
「寝ている間に固まった身体をほぐし、血流を改善することで覚醒を促します。布団の中でできるのでハードルが低く、続けやすいと思います」
深部体温の仕組みを理解し、体操を続けることで快眠を手に入れよう。
朝すっきり目覚める「寝たままストレッチ」3
布団の中でできるストレッチ。続けることを目標にしよう。
1.寝起きに全身ストレッチ
指を組んで両腕を思い切り伸ばす。部屋を明るくする。布団の上で仰向けに寝て、手指を頭の上で組み、手のひらを外側にする。そのまま両腕をグーッと伸ばして3秒キープして脱力。5回繰り返す。
2.グッパーぶらぶらストレッチ
【1】両手をグッパーする。仰向けに寝て両腕を真上に伸ばす。両手をグッと握り、思い切り開く。3~5回繰り返す。
【2】両手をぶらぶら振る。続けて手首から先をぶらぶらと振る。10~30秒が目安。
3.寝たままエア自転車こぎ
両足を空中で動かす仰向けに寝て、自転車のペダルをこぐように両足を動かす。左右交互に5回転繰り返す。
撮影/横田紋子 モデル/吉岡由梨菜 取材・文/池田道大 イラスト/タナカデザイン
※週刊ポスト2026年2月13日号
