1万人を診た睡眠専門医が解説 快眠のカギは深部体温の調節だった。入眠準備体操で整える《快眠のリズム》
「夜なかなか寝つけない」「眠りが浅くて疲れが取れない」――そんな不眠の悩みを抱えていないだろうか。実は、快眠のカギを握るのは“深部体温”だという。1万人以上の睡眠トラブルを診てきた睡眠専門医に、自宅で簡単にできる3つの入眠準備体操と、寝つきと眠りの質を高める方法を解説していただいた。
教えてくれた人
白濱龍太郎さん/睡眠専門医
深部体温が下がると人間は眠くなる
「夜なかなか寝つけない」「眠りが浅く熟睡できない」──そんな悩みを抱える人は多いが、快眠のアプローチとして「深部体温」がカギとなることはあまり知られていない。
1万人以上の睡眠に悩む患者を診てきた睡眠専門医の白濱龍太郎医師が解説する。
「深部体温とは内臓などの体の深い部分の体温のことで、人間の脳は深部体温が下がると眠気を生じるという特徴があります。深部体温は朝起きると上昇し始め、ピークを迎える夕方から下がっていきますが、そのリズムが崩れて寝る時間になっても深部体温が高いままの人は寝つきが悪くなる。結果、眠りが浅くなり、夜中に何度も目覚める『中途覚醒』も生じてしまいます」(以下「」内のコメントは白濱医師)
重要なのは、深部体温のリズムは「自分で調節できる」ことだ。
「寝床に入るまでに徐々に深部体温を下げることが肝要なので、逆算すると、睡眠の1・5~2時間前までに深部体温を上げれば〝快眠のリズム〟が作れるということです」
白濱医師が勧めるのは、深部体温が上がる「入眠準備体操」を睡眠の1.5~2時間前に行なうことで、寝るまでに深部体温を下げていく方法だ。他にも、深部体温の調節に大切なのが「入浴のタイミング」だ。
「入眠2時間前がベストです。40度の湯船に10~15分浸かれば深部体温が0.8~1度ほど上昇するので、浴室を出て眠るまでに適度に下がり、熟睡への準備が整います。逆に、寝る直前に湯船に浸かると深部体温が上がりすぎるため、入眠の妨げとなります」
快眠のリズムを作る3つの「入眠準備体操」
大切なのは、できる範囲で続けること。無理のないペースで毎日続けよう。
1.お風呂で首もみストレッチ
<やり方>
【1】シャワーで首の後ろを温める。シャワーを固定し、43℃ほどのお湯を首の後ろに5~10分あてる。
【2】手指を組む。親指以外の指を軽く組み合わせる。
【3】首の横のくぼみを揉む。シャワーはあてたまま、組んだ状態で親指を首の横のくぼみに置き、上下にゆっくりと1分ほど動かして揉む。
2.腕回しストレッチ
<やり方>
【1】両ひじを上げる。両腕を曲げ、わきを開いてひじをできるだけ高く上げる。
【2】後ろに大きく回す両腕を後方に大きく、ゆっくりと回す。肩甲骨を背骨に寄せるようなイメージで。
【3】手を組んで腕を前に伸ばす。腕が前に戻ってきたら手を組み、ひっくり返して腕を前方に伸ばす。
【4】腕を上に伸ばす。そのまま腕を頭上にできるだけ伸ばし、2秒ほどキープ。【1】~【4】を5回繰り返す。
3.足首曲げ深呼吸
<やり方>
【1】足首を手前に曲げる。布団の上で仰向けに寝る。3秒くらいかけて鼻から大きく息を吸うと同時に、足首を手前にグッと曲げる。
【2】足首を下向きに伸ばす。口をすぼめて3~5秒くらいかけて息を吐くと同時に、足首を下向きに伸ばす。ふくらはぎを緩ませるイメージで。【1】【2】を1分ほど繰り返す。
撮影/横田紋子 モデル/吉岡由梨菜 取材・文/池田道大 イラスト/タナカデザイン
※週刊ポスト2026年2月13日号
