《後悔なく見送るために話し合っておきたい葬式の希望》業者に勧められるまま、その場で決めるのはNG
以前は広く関係者を招いて行うのが一般的だったお葬式だが、近年では簡素に行うことも増えている。しかし、故人とのお別れの時間が短くなると、家族の後悔につながったり、故人の友人がお別れを告げられなかったりすることもある。そこで、見送る人、見送られる人、それぞれのためにどんなことを考え、準備しておくべきか、節約アドバイザー・ファイナンシャルプランナーの丸山晴美さんに詳しく教えてもらった。
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教えてくれた人
丸山晴美さん/節約アドバイザー。ファイナンシャルプランナー
22歳で節約に目覚め、1年間で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニの店長などを経て、2001年に節約アドバイザーとして独立。ファイナンシャルプランナー(AFP)、消費生活アドバイザー、宅地建物主任士(登録)、認定心理士などの様々な資
盛大に行う人が減っている「お葬式」
かつてお葬式といえば、300万円程度の費用をかけるのが一般的でした。しかし、コロナ禍を経て小規模化が進み、最近では50万円前後、場合によっては10万円程度で執り行うケースも増えています。
しかし、お葬式は高ければいいというものでも、安ければいいというものでもありません。大切なのは、故人と遺族の双方が納得できる形で見送ることです。亡くなってしまった後では、遺族が本人の希望を察するのは難しいため、どのような形を望むのかを事前に家族で話し合っておくといいでしょう。
一般的な葬式は主に4種類
お葬式は埋葬方法など細かく分けるとさまざまな種類がありますが、一般的なのは「一般葬」「家族葬」「一日葬」「直葬(火葬式)」の4種類です。一般葬は参列者を限定せず、関係者を広く呼び、通夜、告別式、火葬の順に執り行うもの。故人の関係者を広く招待できますが、返礼品や通夜振る舞いなども用意することになるため、葬儀費用は高額になりがちです。
家族葬は家族や親族、ごく親しい友人など少人数で行うもので、流れは一般葬と同様です。家族が参列者の対応に追われず、故人とゆっくりお別れできますが、故人の関係者をどこまで招待するかが問題になりやすいというデメリットがあります。家族葬の場合は、訃報の際に「葬儀は家族のみで執り行う」旨を明確に伝えるようにしましょう。
一方、一日葬は通夜を行わず、午前中に告別式、午後に火葬と収骨を行うのが一般的です。かかる時間や参列者が少なくなるため、家族や高齢の遺族、遠方からの参列者の負担が少なく、通夜振る舞いや返礼品の負担がないため、費用も比較的おさえられるというメリットがあります。
そして、最も簡素な形となるのが直葬(火葬式)です。通夜と告別式を省き、火葬のみ行うもので、時間、体力、費用面の負担を大幅におさえられる一方、故人とのお別れの時間が非常に短く、参列者も限定的となるデメリットがあります。また、読経や戒名授与を省略したことによる「供養不足」や「宗派の教えへの不適合」「戒名の不在」などの理由で菩提寺に納骨を断られる場合がある点もあるため、注意が必要です。
お葬式の種類によって、時間や費用、参列者の数も大きく変わるため、どういうお葬式にしたいのか、しっかりと考えておくことが大切です。
「葬儀」と「告別式」に分けて考える
お葬式の希望を考える時は、故人を見送る葬送儀礼である「葬儀」と、故人が生前お世話になった方々へ社会的な節目を伝える「告別式」の2つに分けて考えるといいでしょう。
例えば「費用はおさえたいけれど、故人とのお別れはしっかりとやりたい」という場合は、葬儀は一日葬や直葬(火葬式)で簡素に行いつつ、告別式の代わりに故人の友人や知人を招いた「お別れ会」や「偲ぶ会」を別途設けるという選択肢もあります。
葬儀・告別式の希望と第一報を伝えたい人など決めておくべきこと
一般葬や一日葬などの形式だけでなく、葬儀の場所や宗教、戒名や遺影、祭壇や死装束など、お葬式の希望を考えるときの項目は多岐にわたります。本人のこだわりが少ない場合でも、「盛大にしたいのか」「シンプルにしたいのか」「家族の判断に任せるのか」といった大まかな方針だけは共有しておきましょう。
また、亡くなった後に第一報を出してほしい人のリストも用意しておくと、いざという時の家族の負担を大きく減らすことができます。
音楽や遺影を決めておけば故人らしいお葬式に
具体的な希望がある場合は、詳細を聞いておくだけでなく、葬儀社と生前契約を結んでおくのも1つの手です。また、お葬式で流してほしい曲や遺影に使ってほしい写真なども用意しておけば、より故人の人柄が伝わるお葬式にすることができます。
事前に準備ができなかった際の注意点
お葬式については事前に家族で話し合っておくのが理想ですが、準備がないままその時を迎えてしまうことも少なくありません。しかし、急な事態であっても、病院から紹介された葬儀社に勧められるまま、その場ですべてを決めてしまわないよう注意が必要です。
お葬式の経験がない場合、費用等の相場観がわからず、葬儀社が提示するままに契約をしてしまうと、後になって想定以上の高額な請求になってしまうことがあります。大切な家族を亡くして気が動転しているタイミングではありますが、複数社から見積りを取り、内容を比較検討することが、納得のいくお別れへのためには大切です。
とはいえ、病院から紹介される葬儀社は、提携関係があるため迅速な搬送・安置など手配が早いといったメリットもあります。もちろん事前に葬儀社が決まっている場合はお断りしても問題はありません。
お葬式は残された人たちにとって大切な節目でもあるため、後悔のないように家族でしっかりと話し合っておくのがよいでしょう。
取材・文/新藤まつり
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