介護中でも行きたい!【バリアフリー温泉】ガイド<1>
山形県米沢市に湧く、小野小町を美人にしたという言い伝えが残る小野川温泉。ここの「登府屋旅館」の若旦那・遠藤直人さんは、他県の温泉宿での修行を終えて、戻って来た時に、この宿の利用客の大半が高齢者であったことと、「父が晩年、車椅子を使うようになったんです。初めて車椅子を押した時に、こんなに不自由なんだと思いました」という経験から、高齢者や体の不自由な人に優しい宿をつくろうと約7年をかけて、バリアフリーに取り組んできたのだそうです。
元々、遠藤さんはインターネットを使いこなす世代ということもあり、HP、ブログ、Twitter、facebookと宿情報の発信力は群を抜いています。特に、館内段差の詳細な表記は、体の不自由な人の受け入れを心得ている人ならではです。
バリアフリールーム「月山」は、2階のエレベーター前にあり、段差もなく、車椅子のまま進めます。優しい風合いの草木染の布で飾られた部屋は、他の一般客室よりも洗練された印象です。また、館内用に無料で貸し出す車椅子は、紺と緑色のかわいらしいチェック柄。
「楽しんでもらうには、デザインも大切ですよ」と語る遠藤さんの気遣いが感じられるのです。
「時間帯によって貸し切りにしてくつろいでもらってます」という大浴場では、広めの脱衣場に、湯船までそのまま入れるお風呂用の車椅子が用意されていますし、足腰の弱った人に優しい、ゆるやかなスロープが施してあります。
「遠慮なく、下見に来てください。それが一番いいですから」と話す遠藤さん。電話での相談にも、丁寧に応じていますので、気軽に問い合わせてみてはいかがでしょうか。
【データ】
小野川温泉 鈴の宿 登府屋旅館
住所:山形県米沢市小野川町2493
https://tofuya.jp/
【バリア温泉シリーズを読む】
●【バリアフリー温泉】最新ガイド<3>山形県 かみのやま温泉
●山崎まゆみさんオススメ!【バリアフリー温泉】最新ガイド<5>~神奈川県 箱根
山崎まゆみ
温泉エッセイスト、ノンフィクションライター。新潟県長岡市出身。日本全国のみならず、世界31カ国以上の温泉を巡り、その魅力をテレビ、ラジオ、新聞、雑誌などで紹介している。著書に、『だから温泉はやめられない』『ラバウル温泉遊撃隊』(ともに新潮社)、『白菊-shiragiku-』(小学館)などがある。
公式HP http://ingsnet.com/mayumi/
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