安心して行きたい!【バリアフリー温泉】ガイド<2>旅のサポーター
介護する人も受ける人も、ゆっくりと温泉で心も体も休めてほしい――。
そんな思いをこめて、『バリアフリー温泉で家族旅行』(昭文社)の著者であり温泉エッセイストの山崎まゆみさんが、誰もが安心して温泉を利用するためのアドバイスするシリーズ、第2回は、バリアフリー温泉旅を手伝う心強いサポーターを紹介する。
* * *
温泉に入れる喜びを実現するために
せっかくバリアフリーの整っている宿に宿泊しても、「結局は付き添いの人は介助が大変で、心から楽しめないのではないか」と、旅を躊躇する方も多いのではないかと思います。
そんな時には、直接相談に乗ってくれるところがあるんです。「バリアフリーツアーセンター」もその一つ。全国に20か所あります。
「バリアフリーツアーセンター」では、「パーソナルバリアフリー基準」というものを採用しています。
これは、障がいのある人(旅行者)が、行けるところに行くのではなく、行きたいところや楽しみたいことを実現するために、一人ひとりの状況に合わせて情報提供や旅行アドバイスを行う相談システムです。
”障がいのある人の数だけバリアの数はある”、という考えにもとづき、「段差あり、なし」などといった画一的な基準ではなく、その施設の「バリア」をすべて詳しく調べあげ、ありのまま紹介。実際に障がいを持つ人たちも参加し体験した、信頼できる情報を集めているのが特長です。
「伊勢志摩バリアフリーツアーセンター」が開発したシステムですが、現在では、全国各地のバリアフリーツアーセンターでこのシステムに基づいたバリアフリー旅行相談が行われています。
また、旅に同行し、補助をしてくれる「トラベルヘルパー(外出支援専門員)」という存在もあります。
今回は、是非利用したい、心強いサポートを紹介いたします。
温泉旅のサポーター「バリアフリーツアーセンター」
「車椅子の人は、旅をするといっても、それは日常の延長なんです」と話すのは、佐賀県嬉野温泉にある「佐賀 嬉野バリアフリーツアーセンター」事務局の職員さん。
こちらは、全国で20か所あるバリアフリーツアーセンターの中でも、温泉地で先進的な取り組みをしています。センターに連絡すると、食事やお風呂、移動など、日常生活の中でできること、できないことを、職員がヒアリングし、その状態に応じて、旅館選びや観光ルートの提案をしてくれます。
嬉野温泉には、バリアフリー客室を持つ宿が12施設ありますが、それぞれの特徴や料金を案内し、利用者の要望にあった宿を紹介してくれ、これらの相談は無料で行われています。車椅子(自走式も含む)やシャワーキャリー、浴槽内電動昇降機などの無料貸し出しもあります。
一時間で2人の介助人が付く、入浴介助制度も嬉野温泉ならではの取り組みです。
嬉野温泉街では、「車椅子が利用できるトイレがあります」、「筆談ができます」など店の情報が表記されているところが多く、また公衆浴場「シーボルトの湯」では、リフト付きの貸し切り風呂もあります。
全国の温泉地でも珍しい「バリアフリータウン」としてのモデルケースとなっており、2015年には国土交通省の「バリアフリー化推進功労者大臣賞」を受賞し、今さらに注目されているのです。
佐賀嬉野バリアフリーツアーセンター http://ud-uresino.org/udweb/