山崎まゆみさんオススメ!【バリアフリー温泉】最新ガイド<5>~神奈川県 箱根
介護中こそ、温泉に入って元気になってもらいたい――。介護する人も、介護を受ける人も、家族みんなが行けて、みんなが笑顔になれる…そんな温泉施設の最新情報を、『バリアフリー温泉で家族旅行 (温泉ガイド)』の著者であり、温泉エッセイストの山崎まゆみさんが紹介するシリーズ。
今回は、箱根温泉。古くからの観光スポット箱根は、老若男女に人気があり家族旅行にはぴったり。バリアフリー情報は必見だ。
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温泉エッセイストとして、日本中の温泉を取材していますが、近年は、高齢の方、お体が不自由な方にも優しい配慮がある「バリアフリー温泉」が増えてきました。取材先で、ご主人や女将、スタッフの皆さんがバリアフリーを取り入れた心遣いなどをうかがい、ここぞと思う温泉施設をご紹介していきます。
今回は、首都圏からアクセスしやすく不動の人気を誇る、箱根の温泉です。
神奈川県箱根湯本温泉 一口メモ
「箱根温泉」は箱根町にある温泉の総称です。その中でも箱根湯本温泉の泉質・アルカリ性単純温泉は、匂いもなく、無色透明でつややか。のんびりと入っていても湯あたりしにくい泉質ですので、体力が落ちている病後の回復期などにもオススメです。また、玄関口である箱根湯本駅に乗り入れている小田急ロマンスカーには車椅子用の席も用意されています。
小田急 ホテルはつはな
箱根湯本駅近くにある湯本温泉旅館街はいつも混みあっています。最近は外国人観光客も多く、エキゾチックな感じさえします。
そんな中、須雲渓谷沿いにある「小田急 ホテルはつはな」は、湯本温泉の中でも最奥に位置し、目前には、湯坂山の雄大な姿が広がる、まるで別世界。客室や5種類の露天風呂では、鳥のさえずりが聞こえるほど、静けさが保たれています。
渓谷斜面に建つため、館内はどうしても高低差がありますが、大浴場へはスロープカーを設置し、各所にもスロープを配置、足腰の弱った方も車椅子を利用される方も移動しやすいように配慮がされています。
館内に配置された手すりやスロープは、あまり目立たず、バリアフリー温泉であることを気づかせません。そういったデザインの力はこの旅館の一番の魅力なのです。
大浴場へはスロープカーで移動する趣向が面白く、メディアでもよく話題になります。女性専用露天風呂のあるスパ「やまざくら」の湯上り処も緑を眺められる絶好の環境。また、敷地内の湧水を使用した「はつはな湧水豆腐」は名物です。こうして景観、食、全てにおいて自然に溶け込んでいることから、女性に、圧倒的な支持を受けています。
玄関に入ると木製の車椅子が目を引きます。100年以上の歴史を持ち、曲木家具を作り続ける日本唯一の専門工房にオーダーしたというしゃれた車椅子です。
「非日常を味わっていただきたいですから、そうした気持ちをでこの車椅子もオーダーしました」(宿泊マネージャー・宇山靖之さん)
純和風ホテルですが、館内には、「檜風呂付き和洋室」と「ビューバス付き和洋室」の足腰が弱った方が使いやすい2つの客室があります。
特に、「檜風呂付き和洋室」は、車椅子を利用される方によく使われるそうで、この部屋には、リピーターが多数いるとのこと。洋室には、車椅子に乗ったまま利用できるテーブルとイスが用意されていて、そこで食事をすることができます。
「お客様からは、お部屋で食事できることを喜んでいただいております」(前出・宇山さん)
バリアフリールームには、檜(ひのき)の風呂があり、車椅子での移動もスムーズにできます。湯船横にゆったりとしたスペースがあるのが特筆すべき点。車椅子を横付けでき、檜風呂に腰掛け、それから湯船という順で温泉に入ることができるからです。
バリアフリー温泉を利用される方は、数々の観光地を訪ね歩くよりも、旅館に滞在する時間が長い場合が多いので、こうした自然景観に恵まれた旅館を選ぶことも大切です。
旅館にいながら、どれだけ自然を感じることができるか…。温泉選びでは、それも大切な要素。アクセスの良さに加えて自然の風も体感できる『ホテルはつはな』はとても優れたお宿なのだと思います。
オススメポイント
静かで落ち着きのある宿です。ゆっくり寛ぐことを目的にした方には特にオススメ。高齢のご夫婦の利用者が多いそうです。
データ
箱根湯本温泉「小田急 ホテルはつはな」
住所:神奈川県足柄群箱根町須雲川20-1
電話:0460-85-7321
料金:「ひのき風呂付き和洋室」夕・朝食付きプラン 33.000円~
HP:http://www.odakyu-hotel.co.jp/hatsuhana/