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高島礼子、介護を続けてきた93才父の延命治療は「私の自己満足か」と葛藤

 病気や事故などで回復の見込みのなくなった“終末期”に患者の命を少しでも延ばすために人工的な処置を施すことを延命治療という。

 延命治療で胃ろうを行うと、本人の意識がない状態で体にチューブが通されて、寝たきりの人生を送ることになる。それゆえ近年は「それで本当に幸せなのか」と胃ろうの是非が議論される。「やめ時」が難しいことも胃ろうの問題だ。

 終末期医療に詳しい長尾クリニックの長尾和宏院長が解説する。

「胃ろうは人工栄養法として最良の方法です。しかしそれを開始するかどうか、また、もし終末期と判断された時の対応が難しい。特に患者が意思疎通できない場合、始めるかどうかで家族の意見が食い違うことがよくあります。延命治療に関する要望を文書で記したものをリビングウイルといい、家族の同意があるものを事前指示書と呼びます。元気なうちにそれを作成するなどし、本人の意思を尊重して決めることが大切です」

 だが、事前に延命治療について話し合っているケースは少ない。

延命は自己満足なのではないか…

 高島も、父の意思を確認できていなかった。それゆえ、高島は治療について思い悩んでいるという。

「高島さんは母を若くして亡くした際、きちんと治療させられなかったことを深く後悔し、“お父さんは必ず自分が支える”と決意しました。これまで必死に介護を続け、一縷の望みでもあれば、治療を続けたのはそのためです。でも現在の彼女は“胃ろうをして本当によかったのか”“いつお父さんを楽にしてあげたらいいのか”とずっと考えています。迷いをふっ切るように今は仕事に打ち込んでいるように見えます」(高島の知人)

 高島は’18年1月に発売された終活情報誌『終活読本ソナエ』で、苦しい胸の内をこう明かしている。

《2年前に胃瘻(いろう)を始めたのですが、やって良かったのか、悩ましいところです。でも、ここまで治療に頑張ってしまうと、もう何が良いのか分からなくなってしまいます。正直言って、ひょっとすると自分たちの自己満足のために延命しているのではないか、という思いもあります》

 こうした思いは決して特殊なものではない。終末期医療を見守る家族のなかには、高島のように判断を迷ったり、自分を責める人が少なくない。

 長尾さんは、「あくまで本人を尊重して決めることが大事です」と指摘する。

「そもそも医療は患者を延命させることが目的で、延命治療が悪いわけではありません。大切なのは本人の意思を尊重した医療をすることで、死期が近づいたり、利益より不利益が大きくなったら中止が検討されることもあります。一般に本人の意思が不明な場合、家族に加えて医師や看護師などの多職種が集まり何度も話し合ったうえで決定することが重要です」

 誰よりも父思いだからこそ葛藤し続けている高島。この先、彼女が下す判断を尊重したい。

※女性セブン2019年6月6日号

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この記事へのみんなのコメント

  • まむ❤️

    20年程前、89歳の父の、延命治療で、胃ろうの話が、医師のほうから、出ましたが、ただただ、生かされているだけの状態は、父が、一番、望まなかったろうと、断りました。今は、それで、良かったと、思っています。

  • まゆちゃん

    胃瘻は患者様にとっては苦痛ではないだろうか?人はいつか死ぬということを忘れているように思えて仕方がないと思うのは自分だけだろうか? 何時までも生きていてもらいたいのは当たり前であるが、、、。

  • hanabatake

    くも膜下出血で寝たきりに近かった義母も、エンシュアリキッドの経鼻胃管から流動食を食べるまで回復しましたが、誤嚥で頻繁にむせるようになり、胃ろうを作りました。 最初は口から食べなくて済むので本人は楽と言っていましたが、食べ物の匂いにつられ少しずつ口からも食べるようになり、最終的に胃ろうは不要になりました。その後老衰で穏やかに亡くなりましたが、点滴などより胃ろうであっても胃から吸収される栄養は生きる力に直結します。 胃ろうを作ることで生きる可能性を探るのは決して悪いことではありません。 亡くなる時は亡くなりますから、やれることはやったほうが後々後悔しなくて済みます。

  • ぽめ

    胃瘻を作ることで経鼻胃管から解放されて元気になる人もいる。 必要な人にとって胃瘻は有用だし、決して害でも悪でもない。

  • まさに老後

    以前、医療療養病床を訪問しました。どの部屋も寝たきりの高齢者で胃ろうからの栄養剤の注入を受けていたり、終日栄養剤の点滴の管がつながっている方ばかりでした。意識のない方や声掛けしても返答がなくボーっと宙を見ていて、生きる意欲は微塵もなく幸せな老後とはほど遠く、医療に生かされていると強く感じました。そんな病床が長い廊下の両側に並び、恐怖心さえ覚えました。

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