介護が必要になったら誰に任せたい?「子供には世話になりたくない」人が圧倒的<介護の担い手に関する意識調査レポート>
平均寿命が延び人生100年時代となった今、長い老後生活へ漠然とした不安を抱える人もいるだろう。中でも、自身が要介護状態になった時はどうしたら…と悩んでいる人は多いのではないだろうか。「介護の担い手に関する意識調査」から、30代以上の男女が考える「理想の介護」をレポートする。
老後の面倒は誰にみて欲しい?「介護の担い手に関する意識調査」
年を重ねて来ると、どうしても頭によぎる老後の問題。「自分が介護される立場になったら、誰が面倒をみてくれるのだろう?」などと、誰しも一度は自身の介護への不安を抱いたことがあるのではないだろうか。「家族と暮らしたいけれど、一緒に暮らすことで迷惑はかけたくない」というジレンマを抱えている人もいるだろう。
そこでAlbaLinkが運営する「訳あり物件買取プロ」は、30代以上の男女500人を対象に「老後の面倒は誰にみてほしいか」についてアンケート調査を実施。そのランキング結果から、多くの人が抱く「自身の介護への理想」をレポートする。
介護が必要になった時に面倒をみてもらいたい相手は「介護施設の職員」
まず最初に「介護が必要になった時に、老後の面倒をみてもらいたい相手」を尋ねたところ、「介護施設の職員(60.0%)」が圧倒的1位となった。多くの人が「家族ではなく、専門家である介護スタッフにお世話になりたい」と考えていることがわかる。
また、次ぐ2位の「自分でなんとかしたい(27.6%)からも、できるだけ家族には負担をかけたくないという気持ちが読み取れる。
<1位 介護施設の職員>
介護施設の職員に介護を任せたい理由としては、「遠慮せずに介護を受けたい」「プロに任せることによる安心感」が多く挙げられた。
常識的な節度は必要になるものの、「お金を払ってサービスを受けている」と思うことで、遠慮なくやってほしいことを頼むことができると考える人が多いようだ。また介護職として経験を積み、高齢者の身体や精神について豊富な知識を持っている人に任せることで、本人のみならず家族も安心することができる。
一方、「身寄りがない」など、現実的な理由から介護職員に世話をしてもらうしかないというケースも。
<2位 自分でなんとかしたい>
「他人に迷惑をかけたくない」「介護される自分を見せたくない」などといった理由から、できるだけ自力で対応したいと考える人も。特に入浴や排泄のサポートについては、「申し訳ない」「恥ずかしい」と感じる人も少なくない。
「介護してくれる人がいないから、自分でやるしかない」という声もあったが、家族がいなくても介護サービスを頼ることはできるため、その根底には自立心が強く介護されること自体に抵抗感を抱いているという理由があると考えられる。
<3位 配偶者>
配偶者に介護してほしい理由としては、「信頼できる」「自分を理解してくれている」などが挙がった。長く一緒に暮らしていて、配偶者を最も身近な人と考えている場合には、配偶者に介護を依頼することで安心できるようだ。
配偶者との関係が良好である場合には、安心できて、かつ現実的な選択肢と言えるだろう。
<4位 子供>
子供に介護をお願いしたいと考えている人も一定数いる。「遠慮しない間柄」「日頃から気遣ってくれているから」など、親子関係が良好であると、子供に介護をお願いしやすいのだろう。
一方で、子供にお願いしたい気持ちはあるけれども、負担や迷惑はかけたくないという人も。子供に介護をお願いすることへの葛藤がある人も多いと推測できる。
<5位 訪問介護のスタッフ>
訪問介護のスタッフも施設介護のスタッフ同様、介護のプロだ。ただ訪問介護は在宅介護を前提としており、訪問介護スタッフがいない時間帯は家族に世話されることを意味する。
本音では在宅での介護を希望するものの、家族の負担を考慮して施設介護を選ぶ人もいるため、施設介護に比べて順位が低くなったと考えられる。
また、施設介護ではなく訪問介護を選ぶ理由としては、「施設入居はお金がかかるから」などが挙げられた。
介護が必要になった時に世話になりたくない相手は「子供」
続いて前問とは反対に、「介護が必要になった時に世話になりたくない相手」を尋ねた。その結果、1位は「子供(44.4%)」、2位は「配偶者(27.0%)」となり、身近な人に介護されるのは避けたいという傾向が顕著に。
「配偶者や子供・兄弟などと仲が悪いから」といった理由も挙げられたが、全体的には「家族に負担をかけたくない」という配慮を理由として挙げた人が多かった。介護経験の有無に関わらず、多くの人が「介護は大変なことだ」という意識をもっていると推測される。
理想の介護の形は「早めに施設入居する」
最後に「理想の介護の形」を尋ねると、「早めに施設入居する(28.0%)」が最も多い回答となった。2位の「介護サービスによる在宅介護(25.6%)」と回答した人も多くなっている。
施設であれ在宅であれ、多くの人が「プロによる介護」を望んでいる傾向が強く、その背景には「家族には介護の負担をかけたくない」「スキルのあるプロに介護してほしい」という気持ちがあるようだ。
<1位 早めに施設入居する>
早めに施設に入るメリットとしては、「しっかりしているうちに自分で施設を選べる」「施設での楽しみを見つけやすく、終の棲家だと思いやすい」「家族の負担が少なくなる」などが挙げられている。
かなり高齢になってから生活環境が変わると、パニックになったり塞ぎ込んでしまったりする人もいる。自分で選んで納得した施設に早くから入居することで、このような状況を防ごうと考える人も多いことが判明した。
また、早めに施設入居するため、資金の準備に取り掛かっているという人もいるようだ。
<2位 介護サービスによる在宅介護>
「訪問介護・訪問看護などを利用しつつ、できるだけ在宅で過ごしたい」という人も多くなっている。住み慣れた自宅での生活を大切にしつつ、必要な支援だけを外部サービスに委ねるパターンだ。
完全な自立は難しくても、介護サービスを利用することで、「自分の生活リズム」「パーソナルな空間」「住み慣れた環境」を保ちながら暮らすことができる。
<3位 どこかのタイミングで施設入居する>
具体的なタイミングまでは考えていないものの、施設入居を検討しているという人も。「自立が難しくなってきたら」「配偶者が亡くなったら」「資金が準備できたら」など各々のタイミングで、施設入居することになると考えられる。「早めに」「自分では生活できなくなったら」など初めから入居タイミングを決めてしまうのではなく、柔軟性を持たせているとも言えるだろう。
<4位 何らかの形で在宅介護>
介護サービスを利用するのか、家族に介護してもらうのかまでは希望がないものの、「とにかく在宅で過ごしたい」と考え、施設入居への拒否感を抱いている人も一定数いるようだ。
ただ、「家で過ごすのが理想だけど、現実的には困難」という認識も。在宅だと家族に介護の負担がかかるほか、「自宅のバリアフリー状態によっては、重度の要介護になると暮らせない」という現実的なハードルが理由だと考えられる。そのため、理想は在宅介護だけれども、現実的には無理だろうと諦めている人もいた。
<5位 必要になったら施設入居する>
また、「自分ひとりではどうしても生活できなくなったら施設へ」と回答した人もいた。ぎりぎりまでは在宅で過ごしたいという希望を持ち、在宅志向の高いパターンだと言えるだろう。
経済面や自由・慣れの面から早めの施設入居には抵抗がある一方で、「家族に大きな負担を強いることは避けたい」と考えていることが窺える。
<6位 あくまで自分で暮らす>
「そもそも介護を受けずに暮らしたい」という、自立志向の強いケースも。介護を受けないことを選択肢に入れるのであれば、「健康寿命を延ばし、最期まで自分の力で生活したい」という考えは、多くの人にとって理想的だろう。
その背景には「介護=周囲の負担」「介護されること=恥・自尊心が傷つく」といった強い感情があると推測できる。
<7位 介護付き住宅で暮らす>
特別養護老人ホームのようないわゆる「介護施設」ではなく、「バリアフリーや介護サービスが充実している高齢者向けの住宅」で暮らしたいという希望もあった。
上記のような住宅は比較的自立度の高い高齢者を対象としており、必要に応じて介護サービスを契約・利用する形となる。そのため介護付き住宅を希望する理由としては、「自立」と「安心」を両立できることが挙げられた。
将来の介護について「家族に負担をかけたくない」人が多数派
調査の結果、将来介護が必要になった時には、家族ではなく介護施設や訪問介護事業所の介護職に世話をしてもらいたいと考えている人が多数だと判明した。
その理由には「家族の負担への配慮」が多く挙げられ、「家族の介護=大きな負担」という認識を持つ人が多いことが窺える。家族の負担を減らすため、「早めに施設入居したい」と考える人も少なくないようだ。
ただ「本音は家で暮らしたいけど、家族に迷惑をかけるのは嫌だから」という理由で、理想として施設入居を挙げたという人も。「施設入居したい」という人が多かったからといって、在宅志向が薄いとは言い切れない結果となった。
自身の介護について「理想」と「本音」を見つめ直し、そこに差異があるのなら早めのうちに家族に打ち明けてみるのもいいかもしれない。
【データ】
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【老後の面倒は誰にみてほしい?】介護の担い手に関する意識調査
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【調査概要】
調査対象:30代以上の男女
調査期間:2025年4月23日~25日
調査機関:自社調査
調査方法:インターネットによる任意回答
有効回答数:500人(女性360人/男性140人)
回答者の年代:30代46.8%/40代29.6%/50代18.2%/60代以上5.4%
※AlbaLinkの発表したプレスリリース(2025年5月9日)を元に記事を作成。
図表/AlbaLink提供 構成・文/秋山莉菜