猫が母になつきません 第390話「こつ」
新しいカーテンをつけて脚立を降りる時に一番下の段を踏み外してしまいました。尻餅をつき尾てい骨を打ってすごく痛い、うめきながら足を骨折した時のいやな記憶が蘇りました。寝るのもつらいし座るのもつらい、運転するのも痛いのを我慢しながら。歯医者さんで治療してもらっているときも我慢できなくて、途中で体勢を変えさせてもらわなくてはならなかったほど。
整形外科に行って問診票を書くときに「骨密度を調べてほしい」という欄があったのでそこにもチェックを入れました。診察のあと患部のレントゲンを撮り、骨密度も測ってもらいました。測定する機器の上に寝ている間も「いてて」と痛みを我慢しながら。その病院では6年前にも骨密度を測ったことがあって、その時と比較すると10%ほど減っていると言われました。6年でそんなに…。今回、腰椎(背骨)の骨密度は若年成人との比較で91%(若年成人の80%以上で正常)で大丈夫でしたが、大腿骨(腰骨)は70%でした。70%以下は骨粗鬆症とされていて、私はもうそのボーダーライン上に立っていて向こうに落ちそうになっていました。骨密度が部位によって違うというのもこの日初めて知りました。
同年齢の人と比較しても自分の大腿骨の骨密度は85%…母が大腿骨の骨折を左右ともしてしまったことを考えるとこわくなります。さっそく治療を開始することにしました。治療といっても薬を飲むだけですが、定期的に血液検査をして薬の効果がでているかどうか調べ、あまり効果がなければ薬を変えます。
以前足を骨折したときにつくづく思ったのは80代になってから骨折したら本当に大変だなということ。松葉杖をついて歩くというのは結構大変なことで腕の力に加えバランス感覚もないと無理なのです。実際、80代で骨折した母は車椅子生活になりました。ほんとうに骨は大事です。
結局尾てい骨の方はどうだったのかというと、レントゲンを見ると普通はなだらかなカーブになっているらしいのですが、私の尾てい骨はカクッと曲がっていました。骨折?と見えなくもないのですが、先生が手で押さえても痛くないのでたぶんそれはもともとそういう形だったんだろうということになりました。実際、2週間くらいで痛みはなくなったのでただの打撲だったようです。
尻餅をついてわかったことは自分の大腿骨がまさに「ヤバイ」ってことと、尾てい骨がカクッとしてるということ。急に「骨」を意識するようになりました。一度減った骨密度を回復するのはかなり困難らしいのですが、運動や食事なども気をつけて地道に「こつこつ」骨育てしようと思います。
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作者プロフィール
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母とくらすため地元に帰る。典型的な介護離職。モノが堆積していた家を片付けたら居心地がよくなったせいかノラが縁の下で子どもを産んで置いていってしまい、猫二匹(わび♀、さび♀)も家族に。