猫が母になつきません 第452話「パターン」
さびは12歳になりました。実家の縁の下、野良の母猫から12年前の春に生まれ、7月までは母猫と一緒にいましたが、8月のある日母猫が突然姿を消し、置き去りにされたさびは縁の下で一日中鳴き続けていました。ついこないだのことのようです。
12年も一緒にいれば鳴き声で何をしてほしいかだいたいわかります。
遊びたいとか、自分の方を見てほしいとか、とにかくかまってほしいときは「にゃーにゃー」。電話をしているときにもよく「にゃーにゃー」鳴きます。「あっちの部屋に来て」とか「トイレしたから掃除して」とか具体的な要望があるときには「なーう」と少し低い声で鳴きます。要望というより命令かもしれません。ごはんとかおやつとか大歓迎なものには「うん!」と返事をします。すぐにほしいから短い返事をするのでそうなったのでしょうか。やたらはっきりした「うん!」なので、かわいくていつも笑ってしまう。
認知症の予防には家族や友人との会話や地域の社会活動に参加したりするのがいいらしいのですが、私の日頃のコミュニケーションのほとんどはこんなものです。まずい…いや、動物の種を超えているのである意味高度とは言えまいか。
人との付き合いでは自分の要望がなかなか伝わらず、しょんぼりすることも多い。私の伝え方が悪かったのかとうにょうにょ試行錯誤したあげく考え疲れてあきらめる。人を変えるのは難しく、社会はあまりにも複雑です。にゃーにゃーにゃーにゃーーーーぁ…
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作者プロフィール
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母と暮らすため地元に帰る。ゴミ屋敷を片付け、野良の母猫に託された猫二匹(わび♀、さび♀)も一緒に暮らしていたが、帰って12年目に母が亡くなる。猫も今はさびだけ。実家を売却後60年近く前に建てられた海が見える平屋に引越し、草ボーボーの庭を楽園に変えようと奮闘中(←賃貸なので制限あり)。
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