猫が母になつきません 第456話「きょうめん」
私はハウスダストアレルギーです。綺麗好きなのは必要に迫られているということもある。毎朝ほうきで隅々まで掃き掃除をし、さびのブラッシングもこまめに。たぶんアレルギーは過敏なほうで、若い頃アジアのある国に旅行した時、道路に面した2階の部屋に宿泊したら窓を閉めていたにもかかわらず道からの砂ぼこりに反応して咳が止まらなくなり、病院に担ぎ込まれたことがありました。日本で普通に生活しているぶんには特に不便はありません。花粉や黄砂も苦手ではありますが、マスクや帽子などで防御すればそんなに重い症状がでることもないのです。
アレルギーのことはあるにしても、やはり掃除は好きなのだと思います。綺麗だと安心するという以上に、散らかっているのを見ると「片付けたい!」と思ってしまう。仕事の打ち合わせに行って、そこの事務所の棚の本が斜めになっていたりファイルが乱雑に重ねられたりしていると気になって話が入ってこなかったり(苦笑)。片付けるのが許される環境であれば、自分の家でなくてもどんどん片付けます。もちろん嫌われない程度にではありますが。
デザイナーという職業も文字や画像などの情報を整理整頓して見せるのが仕事なので、やはり性分なのでしょうか。
今の家は古いのでキッチンのステンレスはかなり曇っていました。まずは百円均一ショップで買ったマイクロファイバーのクロスとクレンザーで汚れ落としと傷消し。よく使う箇所は傷がたくさんついているので完全には消せませんが、壁面のステンレスは傷がないのでかなり綺麗になります。その後ステンレス磨き用のクリームを使って仕上げるとピカピカに。ほぼ鏡面です。キッチンにしてはピカピカすぎるくらい。こうなるとちょっとした凹みとかが目立ってくるなーとか思いつつピカピカにご満悦でさらにふきふきが止まりません。
ふと実家のキッチンを思い出しました。毎晩キッチンをピカピカにして1日が終わっていました。家を売却することになり、引き渡し前には家中をピカピカにしました。でも、もうその家は取り壊されてしまったらしい。形あるものすべていつかは滅びるとしても、自分の手にあるうちは大事に、綺麗につかってあげたい、どんなものも。そのほうがお別れも悔いが残らない気がします。
作者プロフィール
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母と暮らすため地元に帰る。ゴミ屋敷を片付け、野良の母猫に託された猫二匹(わび♀、さび♀)も一緒に暮らしていたが、帰って12年目に母が亡くなる。猫も今はさびだけ。実家を売却後60年近く前に建てられた海が見える平屋に引越し、草ボーボーの庭を楽園に変えようと奮闘中(←賃貸なので制限あり)。
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