花粉症対策<最前線レポート>薬の選び方や人気の治療法を医師が解説「即効性が期待できる漢方薬は3つ」
暖冬の影響で、今年は例年より早く始まるといわれている花粉の飛散。国内でのスギ花粉症患者は年々増え、いまでは2人に1人が発症しているという。市販薬も多数販売されているが、実はそれぞれ効果は違う。正しい知識を持って花粉症に挑もう。花粉症の基礎知識とともに最新の治療情報を解説します。
教えてくれた人
耳鼻咽喉科医・長友孝文さん/池袋ながとも耳鼻咽喉科院長。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定専門医。耳、鼻、のどの疾患はもちろん、アレルギー性疾患などの診療も行う。「鼻がつまったらペットボトルをわきに挟みます」
内科医・岡宮裕さん/代官山パークサイドクリニック院長。生活習慣病、アレルギー疾患など、内科全般に従事。予防医学にも尽力し、西洋医学・漢方医学を融合した診療を行う。「毎日緑茶を飲んでいます。べにふうき緑茶もおすすめ」
花粉症はなぜ起こる?原因や症状を医師が解説
花粉症とは、花粉が原因で引き起こされるさまざまなアレルギー疾患の総称で、主な症状は、鼻水やせき、目や皮膚のかゆみなどがあげられる。そもそも、花粉が体内に入ると、なぜこのような症状が起こるのか。耳鼻咽喉科医・長友孝文さんが話す。
「花粉が体内に侵入すると、体は異物(アレルゲン)が侵入したと認識。リンパ球がこれらを排除すべきと判断すると、IgE抗体が作られます。その後再び花粉が入ると、鼻や目の粘膜にある肥満細胞にIgE抗体が結合。すると肥満細胞からヒスタミンなどの化学物質が分泌され、くしゃみや鼻水、涙などを誘発。花粉を体外に出そうとするわけです」
体内に入る花粉量が多いとIgE抗体が過剰に作られ、ヒスタミンが大量に分泌される。その結果、鼻水が止まらないなどの症状を引き起こす。そうなった際の基本的な治療法としては、抗ヒスタミン薬、ステロイド点鼻薬、抗ロイコトリエン薬の投与があげられる。
《花粉が入ると体内ではこんなことが!》
花粉症の薬の選び方「抗ヒスタミン薬」は特徴を知っておく
「鼻水やせきなどの症状を緩和する抗ヒスタミン薬には多くの種類があり、それぞれ効き目や眠気の強さなどが違います。
効き目が弱いからよくないわけではなく、車を運転するなら、眠気が強くならないものを選ぶなど、各成分の特徴を知ったうえで、自分の症状やライフスタイルに合った薬を選ぶことが大切です」(長友さん・以下同)
抗ヒスタミン薬はこんなにある! ~眠気と効き目の相関図~
ステロイド点鼻薬を併用する方法も
抗ヒスタミン薬だけで症状が治まらない場合は、ステロイド点鼻薬を併用するのがおすすめだという。
「この薬は特に、くしゃみや鼻水を抑える効果にすぐれています。有効成分が鼻水で流れないよう、就寝前に使用しましょう」
一方、抗ロイコトリエン薬は鼻づまり・ぜんそくなどの治療に使われる。抗ヒスタミン薬とステロイド点鼻薬は市販薬としてドラッグストアなどで手に入れられるが、2週間ほど服用しても効果がなければ医師に相談し、より的確な治療を受けることが大切だ。
各市販薬の特徴を知らずに選んでいる人が多いという。素人判断は危険なので、軽症でも、まずは受診することが望ましい。
花粉症に効果的な漢方薬はコレ!
仕事で車の運転が欠かせない人や、受験生らを悩ませるのが抗ヒスタミン薬による眠気の副作用だ。内科医・岡宮裕さんがいう。
「そんなときは漢方薬がおすすめ。長くのみ続けないと効果が発揮されないと思われがちですが、花粉症適用となる左の3種の漢方薬は即効性が期待できます」(岡宮さん)
■小青竜湯(しょうせいりゅうとう)
くしゃみ、鼻水などの症状全般に有効。冷え症の人におすすめ。
■苓甘姜味辛夏仁湯(りょうかんきょうみしんげにんとう)
くしゃみ、鼻水などの症状に効果的。小青竜湯ではお腹がゴロゴロしがちな人におすすめ。
■葛根湯
鼻水よりも、鼻づまりがつらい人におすすめ。