認知症患者との共生を目指す「オレンジイノベーション・プロジェクト」とは?参画企業の取り組みをレポート
高齢者が増えるにつれて、深刻になる高齢者における認知症患者の割合。2040年には高齢者の6.7人に1人が認知症になると推計されている。認知症の人が自分らしく暮らし続けるためには様々なサポートが必要となってくるが、認知症当事者のニーズや声は開発を行う企業には届きづらいのが現状だ。そんな中で、認知症当事者が企業の開発プロセスに「参画」し、共生社会の実現を目指すあるプロジェクトが注目されている。
増え続ける認知症当事者と「共創」を
超高齢化社会となった現代日本の深刻な問題のひとつが、増え続ける高齢認知症当事者への対応だ。認知症の人の数は、2040年には584.2万人に達し、65才以上の高齢者の6.7人に1人を占めると推計されている。認知症当事者が住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けるためには、様々なサポートをしてくれる製品やサービスが必要不可欠。とはいえ認知症当事者のニーズや声は開発を行う企業に届きづらく、充分な提供がなされているとは言えないのが現状だ。
そこで注目されているのが、経済産業省「令和6年度ヘルスケア産業基盤高度化推進事業(地域におけるヘルスケア産業推進事業)」の一環である「オレンジイノベーション・プロジェクト」だ。認知症当事者が企業の開発プロセスに「参画」し、企業と共に新しい価値を生み出す「共創」を行う「当事者参画型開発」であり、認知症当事者の真のニーズを捉えた製品・サービスの開発を行い、「共生」を目指すプロジェクトとなっている。
健康教室やプログラムを通して「共生」社会の実現へ
総合型スポーツクラブや介護リハビリ施設の展開などを行うルネサンスは、「オレンジイノベーション・プロジェクト」の実践企業として参画。約400の介護施設で実践されている、自社開発の脳活性化メソッド「シナプソロジー(R)」をはじめとしたプログラムや指導ノウハウを活かし、高齢者が直面する様々な課題解決に取り組んでいる。
今回の参画では、認知症・軽度認知障害の当事者やその家族の声を反映した健康教室やプログラム等を共創し実施。「オレンジイノベーション・プロジェクト」の理念である、認知症になっても自分らしく暮らし続けることができる「共生」社会の実現を目指している。
脳活性化メソッド「シナプソロジー(R)」について
「シナプソロジー(R)」とは、じゃんけんやボール回しといった基本動作に対し、感覚器を通じて入る刺激や、認知機能に対する刺激を変化させ続け、その刺激に対して反応することで脳を活性化させていくメソッドのことだ。できること(習得)を目的とせずできないことに対応する状態を作り出すことで、脳機能の向上を図っている。
現在、介護サービス事業、介護予防教室、企業の健康経営、ドラッグストア・薬局による地域の健康づくり、教育分野、アスリートのパフォーマンス向上等、様々な分野で活用されている。
シナプソロジー研究所HP:https://synapsology.com/sy/
(※シナプソロジーはルネサンスの登録商標です)
介護リハビリ事業の機能改善プログラムについて
リハビリや運動の専門家による運動機能改善を目的とするリハビリトレーニングを提供している。「歩く」など日常的な動作に繋がる簡単なストレッチからマシンを使った有酸素運動や筋力トレーニングなど様々なトレーニングを実施。より楽しく元気に活動出来る身体づくりを目指し、着実に「自分でできる」ことが増える喜びを感じられるよう、利用者やその家族へのサポートを行っている。
このような「当事者参画型開発」が普及し、より一般的となって行けば、認知症当事者は必要なサポートを受けやすくなり、企業は潜在的な利用者の真のニーズを把握して開発が出来るようになるだろう。誰もが自分らしく暮らすことの出来る「共生」社会の実現を目指したプロジェクトがどう発展していくのか。今後に期待したい。
プログラムの詳細:https://kaigo.s-re.jp/kg/genki/program/
【データ】
ルネサンス
https://www.s-renaissance.co.jp/
オレンジイノベーション・プロジェクト
https://dementia-pr.com/
ルネサンス ヘルスケア事業サービスサイト
地域の健康づくり
https://rena-bg.s-re.jp/service/community/
高齢者の健康づくりをサポート
https://rena-bg.s-re.jp/rena_kaigoyobou/
※ルネサンスの発表したプレスリリース(2024年8月22日)を元に記事を作成。
図表/株式会社ルネサンス提供 構成・文/秋山莉菜
●古い情報をアップデート! 「ウオーキングは1日6000歩」「理想の睡眠は6~7時間」健康効果を高める最新情報を医師が解説