介護認定調査の受け方 要介護認定調査は「同伴」「夕方」が鉄則
下の表は、要支援・要介護の区分による目安と、支給限度額をまとめたものだ。介護を必要としない「自立」から、「要支援」が2段階、「要介護」が5段階の全部で8つに区分される。
仮に、「要介護1」と判定されるべきところを、1段階低い「要支援2」と認定されてしまったとしたら、月の支給限度額に6万円以上の差が生まれることになる。
認定調査は夕方に。困っているポイントをメモしておく
訪問調査は原則1回で、時間も90分ほどと限られている。その時間内に、親の状況をすべて調査員に伝えるのは至難の業だ。
「対策としては、事前に“困っているポイント”のメモを作っておくことです。日常生活で起きたことを漏らさず伝えられるし、親が“日常生活に支障があることを他人に知られたくない”と状況を詳らかにすることを拒絶する可能性がある場合にも有効です。また、困っていることはできるだけ具体的に伝える。“足腰が弱ってきた”と言っても、少し足を引きずる程度から、ベッドや椅子から立ち上がれないといった状態まで様々。それによって、認定の度合いが変わってくる可能性があります」(同前)
ケアタウン総合研究所代表の高室成幸氏が話す。
「認定調査の日時は申請後に調整することになりますが、午前中は親も体力的に余裕があり、調査時に元気に振る舞ってしまうケースが少なくない。可能なら、調査は夕方に設定するべきでしょう。そのほうが正確な状況を伝えられます。実際の介護の現場でも、夕方から夜にかけてのほうが大変とされています」
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「主治医意見書」かかりつけ医に作成をお願いするのが◎
要介護認定は、訪問調査と「主治医意見書」から総合的に判断される。前出の結城氏は、「主治医意見書の作成はかかりつけ医にお願いするのが理想」と強調する。
「理想は、近所の開業医など身近な医師です。普段から接していると、意見書に実情が反映されやすい。大病院の医師の場合、多忙で意見書作成に時間がかかるうえ、たくさんの患者を相手にしているためコミュニケーションが十分でない心配があります」
長期にわたって診察を受けていれば、既往歴や持病なども見逃しなく反映してもらえる。
「一方、できるだけ認定を重くしてもらいたいからと、訪問時に状況をオーバーに伝えてしまうと、後の審査会で“意見書と合わない”とされ、再調査を受けなければならなくなることもあります」(同前)
認定結果が通知されるまでに介護サービスを受けるには?
認定結果が通知されるまでは、調査から1か月前後かかる。病気やケガなどで突発的に親の介護が必要となったような場合、通知までの間にどうしても介護サービスを必要とするケースもある。
「結果通知前にサービスを受けることは可能です。介護保険法で、要介護認定の効力は申請した日まで遡って発生することになっています。支援センターなどでの暫定的な判断のもとサービスを受けられる一方、最終的な認定区分と誤差があった場合、サービス利用料の支給限度額からはみ出した範囲は自己負担になります。極端な例で言えば、仮に“非該当”と判定された場合は全額負担しなければならないので注意が必要です」(同前)
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更新忘れの失効に注意
判定は訪問調査結果に基づくコンピューターによる一次判定と、複数の専門家によって行なわれる介護認定審査会での二次判定で最終決定される。
「要介護認定が一度なされても、定期的な更新が必要です。初回認定後は原則6か月後で更新。以降は12か月ごとに更新です。病気の進行で、より支援が必要と判断されれば、更新時に要支援・要介護度の区分が重くなる。認定は自動更新されないので、有効期限が過ぎるとそのまま認定の効力は失われ、保険適用で介護サービスを受けられなくなります。忘れずに更新手続きをしなければなりません」(同前)
※週刊ポスト2019年3月15日号