入居者に施設選びの決め手を直撃!20年探してたどり着いた湘南の住まい<後編>
評判の高い高齢者施設や老人ホームなど、カテゴリーを問わず高齢者向けの住宅全般を幅広くピックアップし、実際に訪問して詳細にレポートしている「注目施設ウォッチング」シリーズ。
今回ご紹介するのは、自立した人と介護が必要な人の住まい両方を備えた施設「ライフ&シニアハウス湘南辻堂」だ。
「ライフ&シニアハウス湘南辻堂」入居者が語る実際の住心地と選んだ決め手
「ライフ&シニアハウス湘南辻堂」は前編で紹介したように自立の人の住まいである「ライフハウス」と介護が必要な人の「シニアハウス」に分かれている。ライフハウスからシニアハウスに住み替えできることが魅力の1つだが、実際に住んでいる人はどのように感じているのだろうか。こちらの施設を探したきっかけ、決め手などを入居者に伺った。
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今年の6月から、自立型の「ライフハウス」へ入居している高杉蓉子さんは現在80歳。なんと20年前から終の棲家探しを始めたのだそう。高杉さんの入居先選びのポイントは、自立した生活ができることと周囲の人との関わり方とのバランスだったという。
「高齢者向けの施設を探し始めた60歳のころは、まだ気楽な気持ちで…。75歳までには決めようと思っていましたので、70歳を過ぎたくらいからは、本腰を入れるようになりました。気になる施設には実際に足を運んで、中を見学したりお昼ご飯をいただいたり。自分に近い年齢の入居者方がいらっしゃると、参考になる話を直接伺う機会が持てるんです。遊び半分と言うと語弊がありますが、あまり真剣になってしまってから選ぶと視野が狭くなって、見えるものも見えなくなってしまいます」(高杉さん 以下「」は同)
高杉さんが入居を決めた理由の1つは、「ライフ&シニアハウス湘南辻堂」が公益社団法人「全国有料老人ホーム協会」に登録しているということだ。会社が倒産した場合に入居者を保護する「入居者生活保証制度」もあり、いい加減な運営はしないだろうという安心感があったという。また、寝たきりや認知症になったときや、看取りにも責任を持って対応をしてくれることへも魅力を感じたのだそう。
数多くの施設を見てきた高杉さん。施設探しをしていたときに、気になる施設を時間をあけて2回訪れてみたことがあったという。
「1回目の見学では気づかなかったことが見えてきたりします。施設長が交代していて、雰囲気が良くなっていたこともありました。何より、自分の体が動くうちに、自分の目で見て探しておきたいという気持ちが強かったです。自分で選んだところであれば、もし合わなかったとしても、自分の責任として捉えられます。そういう人生でありたいと思っていました」
入居直前に気づいた「自分が住まいに求めるもの」とは
高齢者向け施設の見学に来るのは入居者本人ではなく、その家族が圧倒的に多いと、多くの施設の職員は口を揃える。
入居する本人の主導で施設を決める例は、まだまだ少ないのが現実のようだ。自立期に入居可能かどうかでその割合は変わってくるだろうが、高杉さんのように、元気なうちに自身の将来を視野にいれて主体的に探している人はまだまだ少数派かもしれない。
そんな高杉さんが、入居直前に気がついたことがあるのだという。
「これまでは、あまり考えたことがありませんでしたが、社会とかけ離れた場所にはいたくないなと思ったんです。でも、『ライフ&シニアハウス湘南辻堂』には、社会とつながる仕組みがあるんです」
「ライフ&シニアハウス湘南辻堂」では、小規模多機能型居宅介護「辻堂倶楽部」が併設されていて、地域交流スペースのカフェや近隣の保育園などとの多世代交流の場が用意されている。
行動派の高杉さんは、施設の中に籠もりっきりになるのではなく、社会との接点を持ち続けたいという思いを強く持っている。近隣に今後できるマンションや一軒家の住民、特に若い人や子どもとも自然な形で話ができることを楽しみにしているそうだ。
ハウス長・管理者の大澤由美子さんによると、「ライフ&シニアハウス湘南辻堂」の入居者は、自分のポリシーを持って生活をしている人が多く、今年3月のオープンで入居が始まってからまだ数ヶ月だが、入居者同士のコミュニティができ始めているという。施設側から入居者同士の交流を促すような働きかけは、あえて積極的にはしていないそうだが、開設2ヶ月目くらいには、入居者が初対面同士とは思えないような和やかな雰囲気が醸し出されてきたそうだ。
昔なじみの美容院へパーマをかけに出かけ、戻ってきた高杉さんを迎えたのは、顔を見たとたん、口々に髪型を褒めてくれる入居者や職員たち。
自宅にいた時には、あまりなかった経験に戸惑うと言いながらも笑顔がこぼれる姿が印象的だった。
元気なうちに自分が入る施設を、自ら探して、入居先を決めることは、納得のいく老後を過すための1つの方法かもしれない。自立期に入居し、介護が必要になってからも、施設内で住まいを移行できる「ライフ&シニアハウス湘南辻堂」。ここで暮らす人たちの姿に、高齢者の新しいライフスタイルが見えてきた。
撮影/津野貴生
【データ】
施設名:ライフ&シニアハウス湘南辻堂
公式WEBサイト:http://www.seikatsu-kagaku.co.jp/kanagawa/shonan/
所在地:神奈川県藤沢市羽鳥1-1-60
最寄駅:JR東海道本線「辻堂」駅 徒歩約13分
類型:介護付有料老人ホーム
運営主体:株式会社生活科学運営
敷地面積:5140.71平方メートル
延床面積:5229.63平方メートル
室数:78室(自立型47室、介護型31室)
入居要件:ライフハウス湘南辻堂(自立型)は入居時自立・要支援、シニアハウス湘南辻堂(介護型)は入居時自立・要支援・要介護
構造:鉄筋コンクリート造 4階建
開設年月日: 2018年3月1日
料金:
【1】ライフハウス(自立型)
・前払い方式:入居一時金3120万円~5060万円(70~85歳の場合)+月額費用
・一部月払い方式:入居一時金2560万円~4510万円+月額家賃3万円(70~85歳の場合)+月額費用
・月払い方式:入居一時金なし(ただし入居時家賃3ヶ月相当額の敷金が必要)+家賃相当額20万円~32万4300円(70~85歳の場合)+月額費用
※月額費用(1人入居の場合)は、管理費10万8000円、食費6万1530円(1日3食30日の場合)、光熱水費は実費。
【2】シニアハウス(介護型)
・前払い方式:入居一時金+月額費用+介護費
入居一時金1050万円
1人入居の月額費用合計(目安):自立・21万2730円~要介護5・26万1315円
1人入居の月額費用内訳(目安):18万330円(管理費10万8000円、食費6万1530円、光熱水費1万800円)+上乗せ介護金5万3250円+介護保険自己負担額(要支援・要介護度による)
・月払い方式:入居一時金なし(ただし家賃3ヶ月相当額の敷金が必要)+月額利用料40万8580円(管理費10万8000円、上乗せ介護金5万3250円、食費6万1530円、光熱水費1万800円、家賃相当額17万5000円)+介護保険自己負担額(要支援・要介護度による)
※施設のご選択の際には、できるだけ事前に施設を見学し、担当者から直接お話を聞くなどなさったうえ、あくまでご自身の判断でお選びください。
【このシリーズのバックナンバー】
●要介護度改善が目標の老人ホーム!実践する自立支援介護とは?<後編>