小規模多機能型介護が併設 自立期に入居し要介護の将来を見据えて暮らせる住まい<前編>
評判の高い高齢者施設や老人ホームなど、カテゴリーを問わず高齢者向けの住宅全般を幅広くピックアップし、実際に訪問して詳細にレポートしている「注目施設ウォッチング」シリーズ。
今回ご紹介するのは、湘南の地・辻堂に誕生した「ライフ&シニアハウス湘南辻堂」だ。
ライフ&シニアハウス湘南辻堂
湘南の海に程近い神奈川・辻堂。海水浴のイメージと共に古い街並みや昔ながらの人情味あふれる落ち着いた雰囲気が頭に浮かぶ方も多いのではないだろうか。実は近年、辻堂駅前は再開発でオシャレな雰囲気のお店が増え、若い世代の住みたい街としても人気が上がってきているという。
そんな辻堂の街に、今年の3月に誕生したのが「ライフ&シニアハウス湘南辻堂」。近隣には「テラスモール湘南」などの商業施設、公共機関、医療施設も充実しているので住みやすさは折り紙付きだ。
当サイトでは昨年12月に「株式会社生活科学運営」が手がける「ライフ&シニアハウス日暮里」を紹介した。湘南辻堂も日暮里と同様、自立型の「ライフハウス」と介護型の「シニアハウス」が併設されている。自立期から要介護期まで対応しており、「ライフハウス」から「シニアハウス」への住み替えもできる。
これは高齢者住宅を作り続けて30年、30棟以上の運営ノウハウを持つ長谷工グループの同社が作り上げてきた”一人ひとりの生き方を支える”ための仕組みだ。
地域と交わる小規模多機能型居宅介護と地域交流スペース
ライフ&シニアハウス湘南辻堂は小規模多機能型居宅介護(※1)「辻堂倶楽部」を1階に併設し、在宅介護サービスにも取り組んでいる。隣接地には公園と市立保育園の開園が予定されており、多世代に渡って地域との交流をはかり、みんなが参加しあえるハウス作りを目指しているという。
実際に地域の人が気軽に立ち寄れる「地域交流スペース」が設置され、カフェなどが運営されている。
※1:小規模多機能型居宅介護とは、日帰りの施設への通いを中心に、通所(デイサービス)、「泊まり」(ショートステイ)、「訪問」の3つのサービスを組み合わせて利用すること。地域密着型のサービス。
ハウス長・管理者の大澤由美子さんは「地域から隔絶された場所にしない」という方針を、スタッフはもちろん、入居者とも共有しているという。
「地域と交流をすると、施設の中のシニアだけで生活するということにならずにすみます。中にいる人だけで完結するのはやっぱり不自然ですよね。地域の住民として当たり前に暮らし続けるためには、普通に会話があることが大切です」(大澤さん 以下「」は同)
地域交流スペースの目印は赤いパラソルだ。何か催しをしている時はパラソルが開いていて、地域の人は誰でも自由に出入りができる。もちろん、高齢者だけではなく、子どもやその親など、制限はない。藤沢市の「地域の縁側事業」(※2)にも選ばれており、体操やフラダンス、ウクレレやオカリナの教室が開かれるなど、段々とその内容も充実していっている。楽しみにしている近所の住民も増えてきているそうだ。
※2:住民同士のつながりや絆を大切にしながら人の和を広げ、お互いの暮らしを協力して支え合う仕組み(藤沢市HPより)
自立型の「ライフハウス」から介護型の「シニアハウス」への住み替え
ライフ&シニアハウス湘南辻堂へは、介護が必要かどうかに関係なく入居できる。それは自立型の「ライフハウス」と介護型の「シニアハウス」が併設しているからだ。そして最大の特長は、自立で入居し、介護が必要になった場合に住み替えができることだ。
「手前味噌ですが、住み替えができることはとてもいいと思っていて、このサービスに惚れ込んでいます。私が入社を希望した決めてになったくらいです。(笑い)。当社は、介護保険制度ができる1年前の1999年12月からこのサービスを始めました。介護の必要がない時から職員と顔見知りになり、介護のフロア(シニアハウス)にも行き来できるので、介護が必要になったらどういう生活になるのかを実際に見聞きできるのです。住み替え後の状況が分かり、安心感があります」
高齢期のどのライフステージにいても入居が可能なため、自分自身や家族の将来が不安になってきている人が、入居を検討しやすいという。実際、自立型「ライフハウス」入居者は、今までと同じ様なライフスタイルを続けている人が多いそうだ。職員はその生活に干渉せず、あくまでも手伝いをするというスタンスだ。
一方、緊急時の迅速な対応や毎朝の安否確認ボードなどのサービスも整っている。何より、介護が必要になったときに、慌てることなく、慣れた環境で住み替えができるのは安心だろう。
介護付き高齢者向けの施設への入居を考えるとき、いつからがいいのか、そこに移るタイミングを図るのは非常に難しい。しかし、「ライフハウス」から「シニアハウス」への住み替えができるここでは、その悩みからは開放されそうだ。
撮影/津野貴生
【データ】
施設名:ライフ&シニアハウス湘南辻堂
公式WEBサイト:http://www.seikatsu-kagaku.co.jp/kanagawa/shonan/
所在地:神奈川県藤沢市羽鳥1-1-60
最寄駅:JR東海道本線「辻堂」駅 徒歩約13分
類型:介護付有料老人ホーム
運営主体:株式会社生活科学運営
敷地面積:5140.71平方メートル
延床面積:5229.63平方メートル
室数:78室(自立型47室、介護型31室)
入居要件:ライフハウス湘南辻堂(自立型)は入居時自立・要支援、シニアハウス湘南辻堂(介護型)は入居時自立・要支援・要介護
構造:鉄筋コンクリート造 4階建
開設年月日: 2018年3月1日
料金:
【1】ライフハウス(自立型)
・前払い方式:入居一時金3120万円~5060万円(70~85歳の場合)+月額費用
・一部月払い方式:入居一時金2560万円~4510万円+月額家賃3万円(70~85歳の場合)+月額費用
・月払い方式:入居一時金なし(ただし入居時家賃3ヶ月相当額の敷金が必要)+家賃相当額20万円~32万4300円(70~85歳の場合)+月額費用
※月額費用(1人入居の場合)は、管理費10万8000円、食費6万1530円(1日3食30日の場合)、光熱水費は実費。
【2】シニアハウス(介護型)
・前払い方式:入居一時金+月額費用+介護費
入居一時金1050万円
1人入居の月額費用合計(目安):自立・21万2730円~要介護5・26万1315円
1人入居の月額費用内訳(目安):18万330円(管理費10万8000円、食費6万1530円、光熱水費1万800円)+上乗せ介護金5万3250円+介護保険自己負担額(要支援・要介護度による)
・月払い方式:入居一時金なし(ただし家賃3ヶ月相当額の敷金が必要)+月額利用料40万8580円(管理費10万8000円、上乗せ介護金5万3250円、食費6万1530円、光熱水費1万800円、家賃相当額17万5000円)+介護保険自己負担額(要支援・要介護度による)
※施設のご選択の際には、できるだけ事前に施設を見学し、担当者から直接お話を聞くなどなさったうえ、あくまでご自身の判断でお選びください。
【このシリーズのバックナンバー】
●要介護度改善が目標の老人ホーム!実践する自立支援介護とは?<後編>
●胃ろうが外れた人も!「あきらめない」自立支援介護を実践する老人ホーム<前編>