要介護度改善が目標の老人ホーム!実践する自立支援介護とは?<後編>
自立支援介護、4つの基本とは
介護付有料老人ホーム「ウェルケアガーデン馬事公苑」は前編で紹介したように自立支援介護を推進している。
自立支援介護とは、「できないことを介助する」のではなく、「できることを増やしていくことを目指す」ものだ。「1日に1500mlの水を飲む」「しっかり噛んで、おいしく楽しく食事をする」「歩くこと。神経や筋肉を目覚めさせること」「オムツを使わずに、トイレに行って排便する」という4つを基本として、介護が行われている。
ウェルケアガーデン馬事公苑では、自立支援介護をサポートするために介護体制や住環境を整えている。入居者2人に対して1人の介護・看護スタッフを配置。看護スタッフは24時間常駐しており、提携医療機関の医師が定期的に診察し、健康状態を把握してくれるという。胃ろうや鼻腔経管、ストーマ、在宅酸素、尿バルーン、透析、褥瘡、インスリンなどの医療処置も可能(※)。
※症状によっては難しい場合もあるので、対応可能かどうか入居時に要相談。
コンシェルジュとの交流も盛ん
充実した自立支援のための体制が注目される施設だが、ここウェルケアガーデン馬事公苑では、介護が必要ない自立の人も入居でき、快適な暮らしを送っている。
開設から5年、建物は劣化を感じさせないが、一部に改装の手を入れるなど、入居者のために快適な住空間を維持する努力をしている。また、充実しているのはハード面だけではない。コンシェルジュが入居者と自然に接し、用事や頼み事がある時に限らず日常的に会話を楽しんでいる様子が印象的だ。
高齢者も何らかの役割を持ち、人の役に立っているという充実感を持っていた方が心身ともに健康に過ごせるといわれている。しかし、高齢者向けの施設に入居した後は一方的にサービスを受ける存在になってしまいがち。ここウェルケアガーデン馬事公苑では、入居者がアクティビティやリハビリで指導役になることがあるという。
この日もアクティビティのひとつ、茶道で先生をやっていたのは入居者の一人だった。リハビリでは体を動かす時の声がけや部屋からリハビリルームに移動する際の付き添いを入居者が担当。機械も使うので、もちろん安全のためにスタッフも一緒に行っている。
リハビリでは歩くことを重視しているそうだ。歩くことは脳への良い刺激も期待できるというデータがあるという。1日に5000~6000歩ほど歩くことが理想だが、そもそも歩くことが難しい場合は機能訓練指導員による機能回復プログラムに沿って歩行訓練からスタート。機械を使って軽い負荷をかけるパワーリハビリテーションも導入しており、生活動作を楽に行えるようにすることを目標にしている。近隣の馬事公苑などを歩きながら四季を楽しむプログラムもある。
さらに豊かな生活環境を充実させるために
「開設から5年経ち、運営には安定感が出てきた」と支配人の関口毅さん。今後は地域により密着した運営をしていきたいと語る。
「世田谷区から認可を受けて、毎週土曜日にデイサービスの提供をしています。その講師をご入居者が務めています。また、地域とのつながりも重視し、町内会にも加入させていただきました。夏祭りに向けても相談しています」(ウェルケアガーデン馬事公苑・支配人の関口毅さん)
ウェルケアガーデン馬事公苑・総支配人の今村卓弥さんは仕事柄、知人から高齢者向け施設の見極め方を聞かれることも多いそう。施設を選ぶときのアドバイスをこう語る。
「入居者の方々の表情や服装、雰囲気を見るといいですね。また、スタッフに笑顔があるかどうかも重要で、要である支配人には必ず会いましょう」
ウェルケアガーデン馬事公苑を見学する際、最初はハード面の充実ぶりに目がいくかもしれないが、支配人の関口さんと話し、入居者の様子を見ているうちに、この施設が自立支援介護で結果を出している理由が分かってくるだろう。
エビデンスに基づいたメソッドを毎日続けて元気になっていくための仕組みが整っている。見学だけではなく体験入居もできるので、関心のある方はぜひ問合せをしてみてほしい。
撮影/津野貴生
【データ】
施設名:ウェルケアガーデン馬事公苑
公式WEBサイト:https://www.sankeiwellcare.com/facilities/bajikouen/
所在地:東京都世田谷区上用賀2-2-15
最寄駅:東急田園都市線「桜新町」駅より徒歩19分、小田急電鉄小田原線「千歳船橋駅」よりバスで約10分、「農大前」バス停より徒歩1分
類型:介護付有料老人ホーム
運営主体:株式会社サンケイビルウェルケア
敷地面積:1952.53平方メートル
延床面積:4114.06平方メートル
室数:81室(全室個室・定員81名)
入居要件:満65歳以上、自立、要支援、要介護の方
構造:鉄筋コンクリート造、地上5階建
開設年月日: 2013年3月1日
料金:
【1】標準プラン
入居前払金/65~84歳3020万円、85~94歳2168万円、95歳以上1734万円
月額利用料(全年齢共通)/25万5500円(内訳は月払い家賃8万500円、管理費4万円、水道光熱費6480円、食費7万4520円、上乗せ介護費用5万4000円
【2】月額低額プラン
入居前払金/65~84歳3800万円、85~94歳2790万円、95歳以上2250万円
月額利用料(全年齢共通)/17万5000円(内訳は月払い家賃0円、管理費4万円、水道光熱費6480円、食費7万4520円、上乗せ介護費用5万4000円
【3】1年プラン
入居前払金/469万8600円
月額利用料(全年齢共通)/27万5500円(内訳は月払い家賃8万500円、管理費6万円、水道光熱費6480円、食費7万4520円、上乗せ介護費用5万4000円
【4】0円プラン
入居前払金/0円(敷金190万円)
月額利用料(全年齢共通)/66万7050円(内訳は月払い家賃47万2050円、管理費6万円、水道光熱費6480円、食費7万4520円、上乗せ介護費用5万4000円
※施設のご選択の際には、できるだけ事前に施設を見学し、担当者から直接お話を聞くなどなさった上、あくまでご自身の判断でお選びください。
【このシリーズのバックナンバー】
●小田急沿線で「住まい」にこだわるサービス付き高齢者向け住宅<前編>