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兄がボケました~若年性認知症の家族との暮らし【第103回 兄のお薬とあの事件と…】

 若年性認知症を患う兄、直近のMRI検査では「脳の萎縮の中でも“海馬”の萎縮が著しい」という結果で、新たな薬を増やすことを提案されました。兄と暮らす妹のツガエマナミコさんは、薬の副作用が気になり複雑な心境ではあるものの、「かなり深刻な状況」との医師の言葉になす術もなく…。

「明るく、時にシュールに」、でも前向きに認知症を考えます。

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 * * *

ジェネリックデビューしました!

 最近やっと「アデュカヌマブ」が言えるようになりました。「きゃりーぱみゅぱみゅ」ぐらい発音しづらいですけれどもアルツハイマー認知症薬としてアメリカで承認された新薬の名前でございます。これまでの認知症薬は進行を少々遅らせるだけの気休めみたいなお薬でしたしたが、今度は脳に溜まった悪いたんぱく質を何割か除去する効果があるそうな。日本でも年内に承認されるかもしれません。

 ただ、手持ちの新聞記事によると効果がある分、副作用の可能性も高く、点滴投与で長期的な通院を余儀なくされるようでございます。しかも価格は高額になると予想されていまして、我ら庶民には高値の華。保険適応されれば、間違いなくお国の財政を脅かすことになりそうです。しかも失った神経細胞を回復するには至らないというのですから、海馬が壊滅的なダメージを受けている我が兄上の記憶は元通りにはならないのでしょう。若者言葉で言う「ぴえん」でございます。

 それはそうと、我が兄は旧式となるであろう認知症薬アリセプトに、この度メマンチンというこれまた旧式の認知症薬が増量されました。それを機にお薬の購入先を家の近くの薬局から病院の真横にある大きな調剤薬局に変えてみました。もちろん、1割負担になる調剤薬局でございます。

 ご存じでない方のために説明いたしますと、自立支援医療受給者証というのを区役所で申請しますと1つの医療機関と2つの調剤薬局を登録できまして、そこに限って1割負担(兄の場合は認知症の医療費のみ)となるシステムなのでございます。

 ずっと地元の薬局を愛用してまいりましたけれども、なにしろ、古くからあるこぢんまりとした店舗で、化粧品や日用雑貨の片隅に高齢のご店主がのんびり店番をしているようなところ。この5年間、来店の度に薬のストックが足らず、すんなり買えた試しがございません。「地元を応援」と思ってきましたけれど、今回、薬の種類と量が増えたので「かえってご迷惑かも……」と身を引かせていただきました。

 病院横の大きな調剤薬局は、最寄りだけに利用者も多いのですがスタッフも多く、システマチックに動いていて安心感がありました。その雰囲気もあって、ついにわたくし、「ジェネリックデビュー」いたしました。これまできっかけがつかめなかったのですが、今回調剤薬局の方から「ジェネリックのお薬でいいですか?」と言われて、「どのくらいお値段違うんですか?」と伺いましたところ、計算してくださり「2000円以上お安くなります」とのことで、嬉しくなって即快諾いたしました。

 お会計は9週間分でたった1070円。アリセプト10mgだけでも9週間分で2470円だったのに、メマンチンを増量してまさかのプライスダウン。そりゃ黒柳徹子さんもCMでジェネリックをオススメするわけでございます。

 そして今朝、兄にジェネリックの「メマンチン」を飲んでもらいました。副作用のことは言わずに経過観察中でございます。そろそろ夕方ですが、今のところ異常はございません。
 
 文末になりましたが、先日、あの人気企画の第3弾が実施されました~!恒例の「脱糞事件」でございます。(第84、90回ご参照)。前回から3か月のブランクを経てついに復活。起きて顔を洗いに洗面所の電気をつけましたら、「おおっと、危ない」踏むところでした。

→84回を読む

→90回を読む

 今回は控えめな感じで、範囲も狭く、黄色に染まった箇所が5か所ほど。いつものように本人によるふき取りの形跡もあり、事件としては軽度で済みました。

 今回の脱糞は「メマンチン」を飲む前の粗相なので関係ありませんが、お薬が増えるというのは、何らかの異変をはらんでいるもの。「めまいやけいれん、失神……」お薬の注意事項には怖い言葉が並んでおります。しばらくは注意しなければなりません。一生副作用が出ないことを祈るツガエでございます。

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文/ツガエマナミコ

職業ライター。女性58才。両親と独身の兄妹が、7年前にそれぞれの住処を処分して再集合。再び家族でマンション生活を始めたが父が死去、母の認知症が進み、兄妹で介護をしながら暮らしていたが、母も死去。そのころ、兄の若年性認知症がわかる(当時57才、現62才)。通院しながら仕事を続けてきた兄だったが、ついに退職し隠居暮らしを開始。病院への付き添いは筆者。

イラスト/なとみみわ

●認知症の新薬アデュカヌマブの承認がアメリカで波紋を呼んでいる2つの理由

#介護が始まるときに知っておきたいこと

#介護保険制度の基礎知

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この記事へのみんなのコメント

  • 匿名

    かつて結核も不治の病と呼ばれて恐れられていましたし、癌も病名を隠すほど恐ろしい病気でした。脳卒中はMRIもなく、とにかく安静にしろと言われ逆効果でした。きっと認知症も画期的な治療法やくすりが見つかるはずだと信じたいです。それにしてもジェネリックはお得ですね。

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