老親へのお年玉に!プレゼントしたい「親孝行家電」10選~安心編
年末年始に久しぶりに帰省し、また実家から帰るときは誰しも後ろ髪を引かれるもの。「次に会うときまで元気でいてくれるかな」「振り込め詐欺などに引っかからないかな」と心配のタネは尽きない。
そんな悩みを減らすのにひと役買ってくれるのが“親孝行家電”だ。
→帰省時にプレゼントしたい!「親孝行家電」10選~快適編を読む
「いつも気にかけているよ」の気持ちをこめて
セレクトしてくれるのは前編・「快適編」に続き、家電+ライフスタイルプロデューサーの神原サリーさん。1年半ほど前から90歳の父の介護を続けている。
「89歳までは、カラオケグループの仲間と一緒に介護施設に慰問に行くほど元気な父でしたが、大腿骨を骨折して手術し、入院。約1年前からサポート付き高齢者住宅で生活しています。今は週1回ほど会いに行き、冷蔵庫の中身を補充するなど、身の回りのお手伝いをしています」(サリーさん、以下「」内同)
その経験を踏まえて、後編では親の健康や安全を守るのに役立つ家電を紹介する。
「心配されるうれしさや幸せって誰もが感じるものだと思います。こういう家電をプレゼントして『いつも心配して、見守っているよ』という気持ちを伝えてみることが、コミュニケーションのよいきっかけになるかもしれません」
1:暮らしを優しく見守る「防犯電話機」
高齢者が巻き込まれやすい犯罪と聞いて、真っ先に思い浮かぶのが振り込め詐欺。「気をつけて」と口を酸っぱくして言うよりも確実に防衛したいなら、電話機を活用しない手はない。なかでも頼りになるのが「防犯電話機JD-AT82CL」(シャープ)。
振り込め詐欺をはじめ、さまざまなリスクを撃退する機能が盛りだくさんなのだ。
例えば、「振り込め詐欺対策モード」にしておくと、登録されていない番号から電話がかかってきたとき「ただいま振り込め詐欺対策モードになっています。この通話を録音します」というメッセージが流れる。また、かけてきた相手やタイミング次第で「年金支給日を狙った詐欺に気をつけてくださいね」と、注意をうながすメッセージが流れる。ほかにもフリーダイヤルや非通知の電話を拒否する機能もある。
「この電話機は危険な電話をシャットアウトしてくれる門番のような存在。帰省したときに、家族や友人の電話番号を登録してあげると、高齢者も家族も安心できるのでは」
さらにこの電話機には、防犯以外の安心機能もついている。そのひとつが「見守りモーニングコール」だ。指定時刻に自動的に電話をかけ、応答がないと登録先に連絡が入る。また、持ち運びできる「緊急呼び出しボタン」が付属していて、緊急時にボタンを押すと、まず家の電話が鳴り、応答がなければ緊急連絡先に指定した番号に電話をかける。
「『聞いてボタン』を押すと日付や季節に合わせたメッセージが流れます。安全・安心も大切ですが、こうしたお楽しみがあると親しみがわき、大切に使ってもらえますね」
2:「空間除菌脱臭機」で本気の菌・ウイルス対策を
高齢者の健康維持のために、菌やウイルス対策も考えておくべきこと。真剣に取り組みたいなら、空間除菌脱臭機「ジアイーノ」(パナソニック)を導入するのもいいかもしれない。
このマシン、一見すると空気清浄機のように見えるが、その性能には格段の差がある。次亜塩素酸という物質を空気中に放出することによって空間を除菌、ウイルスを抑制し、洗浄脱臭する。空中に漂う菌やウイルスだけでなく、ドアノブやソファなどに付着したものにまで効果を発揮する。
「ジアイーノはもともと介護や医療の現場で菌・ウイルス・ニオイ対策で使われていました。今年の秋にようやく一般家庭向けのタイプが発売されたばかり。高齢者の家はどうしても加齢臭や薬品臭など、独特のニオイがこもりがちですが、これを使うとまるで空気を洗ったかのようにすっきりします」
3:ヒートショック対策に有望な薄型「ファンヒーター」
冬に暖かいリビングから廊下やトイレに出るのは寒くてイヤなものだが、高齢者の場合はイヤと言って済む話ではない。急激な温度変化が血圧の乱高下を招き、最悪の場合は脳梗塞や心筋梗塞、突然死に至る可能性があるからだ。このような「ヒートショック」と呼ばれる現象はとくに冬に起こりやすいため、リビングや寝室以外にも暖房を設置し、気温差をなるべく減らすことが重要だ。
トイレや脱衣所などにぴったりの暖房器具が「人感センサー付 消臭セラミックファンヒーターDSF-VL083」(YAMAZEN)だ。幅27.6cm、高さ約41.7cmと小型で、厚さ14cmとかなりスリム。これなら狭いスペースにも設置できる。
「このファンヒーターには人感センサーがついていて、例えばトイレに入ると数秒で温風が吹き出し、人がいなくなると自動的に停止。すぐに温まるだけでなく、ムダな運転もしない賢いヒーターです。しかも消臭フィルターつきなのでトイレや脱衣所などのニオイ対策にもなります。『寒くてトイレに行きたくない』と水分を控える高齢者が多いですが、このファンヒーターがあれば安心して水分補給できますね」
4:絶対に取り替えたくなる1個2役の「LED電球」
「ここ数年、帰省シーズンになるたびに『実家の電球をLEDに替えましょう』と提案しています。LEDは長寿命なので、一度替えたら何年も心配せずにすみますから。もしまだ電球を使っている家があれば、今すぐこの電球に取り替えるべき」と神原さんが紹介してくれたのが、スイッチ操作だけで明かりの種類が切り替えられるLED電球(パナソニック)だ。
このLED電球がユニークなのは、工事をせず、今使っているスイッチのままで光の色や明るさを変えられるという点だ。例えばダイニング向けLED電球の場合、いつも通りにスイッチを1回押すと昼間のようなすっきりした明かりがつく。そのままスイッチをカチッカチッと2回押すと温かみのある食事向きの明かりに。廊下向けLEDではスイッチ1回押しで普段の明かり、2回押しだと明るさがぐっと抑えられ、常夜灯になる。
「夜、トイレに行くときも常夜灯がついていると足元が安心。また、外出の機会が少ない人の場合は光の色を変えることで昼と夜のメリハリがつき、生活のリズムを整えられます」
5:高齢者への思いやりがつまった「ベッドサイド冷蔵庫」
高齢になると寝室やベッドで過ごす時間が増えてくる。いったん横になると起き上がるのが億劫で、水分補給を怠りがちだ。そこで活躍するのが「ベッドサイド冷蔵庫」(ツインバード)。
引き出し式の冷蔵庫には500mlのペットボトル6本が入る。庫内の温度を弱冷(15度)に設定すれば、飲み物を体が冷えないほどよい温度に保つことができる。
冷蔵庫の上には小さな引き出しがあり、メガネや薬などを収納できる。しかも、引き出しを開けると内部にライトが点灯。夜中でも照明のスイッチを探すことなく必要なものを取り出せる。
「天面についているスイッチを押すと、黄色っぽい明かりの足元灯がつきます。夜に白い光が目に入ると覚醒してしまい、トイレから戻っても寝付きにくくなります。黄色い明かりならその点も安心。心憎いまでに高齢者のことを考え抜いた、まさに親孝行な冷蔵庫です」
親がこうした家電に守られていれば、遠くに離れて住む家族も安心できる。家族みんなにとって、安心は最高のプレゼントと言えそうだ。
監修 神原サリー
家電+ライフスタイルプロデューサー。新聞社勤務、フリーランスライターを経て、家電+ライフスタイルプロデューサーとして独立。All About家電ガイド。一般社団法人日本睡眠改善協議会認定・睡眠改善インストラクター。米飯管理技能士の資格をもち、テレビや新聞、雑誌など多方面で活躍。
取材・文/市原淳子
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