餅が喉につまったときどうする?知っておきたい正しい知識と対処法
楽しみにしていたはずのお正月に、お餅を喉に詰まらせる事故が――。誰にでも起こりうることたが、高齢者は、より注意が必要だ。
在宅で療養している高齢者の約7割に当たる人が「食べているもの」と「口の機能」が合っておらず、誤嚥や窒息の危険があるという。
「高齢者の嚥下(えんげ)障害と食事の工夫」をテーマとした特別セミナー(11月29日開催 主催:日本医療企画 協賛:ネスレ)で、日本歯科大学大学院生命歯学研究科臨床口腔機能学教授、口腔リハビリテーション多摩クリニック院長の菊谷武さんは高齢者を対象にした嚥下機能と食事調査の結果を示しながら、事故が増える季節を前に、誤嚥と窒息を防ぐ大切さを呼びかけた。
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高齢者はなぜ誤嚥するのか、誤嚥が招くリスクとは?
「誤嚥(ごえん)とは、本来、食道に送られるはずの食べ物が誤って気管に入ってしまうことです。嚥下機能が低下していると、“ごっくん”と飲み込むタイミングと、気管が塞がるタイミングがずれたり、飲み込み切らないうちに気管が開いたりして、誤嚥してしまいます。すると、反射的に食べ物を出そうとして“むせ”が起こります。
ただし、高齢者には“むせ”の反射が弱くなり、出ない人もいます。この症状は『不顕性誤嚥(ふけんせいごえん)』と呼ばれます」と菊谷さん。
高齢者が誤嚥を起こした場合の対処はどうすればいい?
「むせていたら、無理にこらえたりしようとせず、むしろ“むせ切る”ことが大切です。特に水分は誤嚥しやすいので、水を飲ませるのはもってのほか。誤嚥した人に前かがみになってもらい、介助する人が後ろにまわり、背中の中央より少し上あたりを強く叩くと、誤嚥した物を吐き出せることがあります」(菊谷さん、以下「」内同)
不顕性誤嚥(“むせ”の症状が出ない場合)は誤嚥したかどうか分かりにくいが、次のような症状があれば誤嚥が起きている可能性があるがあるので、医療機関を受診した方がいいという。
・食事にかかる時間が非常に長くなった
・食べた後に声がかすれている
・食べた後は喉がごろごろする
・よく痰がからむ
・咳払いができない
・微熱を繰り返す