帰省時にプレゼントしたい!「親孝行家電」10選~快適編
年末年始にあたり、帰省する人も多いかもしれない。久しぶりに会う両親に何かプレゼントしたい…そんなときに、役立つ最新情報のご紹介。
ご自身も90才の父の介護をしている家電+ライフスタイルプロデューサーの神原サリーさんに、おすすめの家電をセレクトしてもらった。名付けて“親孝行家電”。前編は「暮らしを快適にする家電」だ。
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家電のプロとして真剣に吟味
サリーさんの父(90才)は1年半前、自転車に乗っていた際に転倒し、大腿骨を骨折。手術を待つ10日ほどの間、初めて寝たきりとなった。
「父は20年以上、何不自由なく1人暮らしをしていました。自転車にも車にも乗るし、仲間と一緒にカラオケのグループを作って、介護施設にボランティアとして歌いに行くくらい元気な人。89才(当時)なのに70代に見えてしまうくらい若々しくて矍鑠(かくしゃく)とした自慢の父だったんです。それがたった10日寝込んだだけで、別人かと思うほど老け込んでしまった。私自身もショックを受けました」(サリーさん、以下「」内同じ)
1ヶ月間入院した後、リハビリ病院に移って3ヶ月ほどリハビリに励み、歩く力を取り戻したサリーさんの父。幸い、自宅近くにサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)を見つけて入院から3ヶ月半後に入居することができた。
「そのサ高住は、家具や家電をすべてこちらで用意するタイプ。すべてを一気にそろえる必要がありました。私も焦っていましたし、家電の知識があるとはいえ、今考えると父の状態を把握しきれていなくて『失敗だった!』と思う選択もあります。
今回はそんな経験も踏まえ、実際に父が喜んでくれたアイテムも含めて選びました」
1 :あったか布団での安眠を贈る「ふとん乾燥機」
重たい布団の天日干しは、高齢者にとってはかなりの重労働。帰省したときに干してあげたくても、天気が悪ければあきらめざるを得ない。
そこで活用したいのが2017年デビューの「ふとん乾燥機UD-AF1」(シャープ)だ。
本体は軽く、高齢者でも簡単に移動できる。使い方もシンプルで、本体のフタを開けてアタッチメントを引き出し、布団の間に入れてスイッチを押すだけ。先端のきのこのような形をした部分から温風が吹き出し、布団を乾燥させながらダニ退治もできる。
睡眠改善インストラクターの資格ももつサリーさんが、さっぱり、ふっくらした布団で休んでほしいと願い、父にプレゼントしたのがこのふとん乾燥機。
「年をとると電気毛布を使う人が多いですが、実は電気毛布は体によくありません。寝ている間に体が温まりすぎて、脱水を招くことがあるからです。そこでぜひ使ってほしいのが“ふとん暖めモード”。寝る前に10分使うと足元が、20分使うと布団全体がポカポカになって、気持ちよく眠れますよ。
また、温風とともに噴き出すプラズマクラスター(※)が、汗のニオイや加齢臭、おねしょ臭を消臭してくれるので一石二鳥です」
※プラズマクラスター=シャープ独自の技術で発生させるプラズマクラスターイオンのこと。空気の浄化、消臭などができる。
2:バリアフリーだからこそ「床拭きロボット」の本領発揮
高齢になると掃除機の出し入れが面倒だからと、掃除はペーパーモップなどでさっとすませがち。しかし、高齢者は知らず知らずのうちに食べこぼしをしてしまい、その汚れを踏みつけて床をベトベトにしてしまう。
お掃除ロボット「ルンバ」でおなじみのアイロボットが開発した「ブラーバ ジェット240」(アイロボット)は、そんなこびりつき汚れも掃除できる床拭きロボットだ。
専用のクリーニングパッドを装着してボタンを押すと、自動的にお掃除スタート。水を床に噴射して汚れを浮かせ、こびりついた汚れや皮脂をきれいに拭き取ってくれる。
「がんこ汚れ用、普段の掃除用、乾拭き用の3タイプのクリーニングパッドがあり、パッドを付け替えることで自動的にモードが切り替わるので、操作は意外に簡単です。自分でパッドを付け替えられなくてもヘルパーさんにセットしてもらい、週1回でも床掃除するだけでお家はかなりきれいになります」
「自分のために働いてくれるお掃除ロボットをながめているだけで、ほっこりしそう。そういう意味ではペットロボット的な要素もあるかもしれません。
バリアフリーの高齢者住宅は、お掃除ロボットが活躍するのにぴったり。私も今週末には早速ブラーバ ジェットを持って行きます」
3:手持ちの掃除機をパワフルな洗濯機に変身させる「クリーナーヘッド」
もう一つ、高齢者の住まいで活躍しそうなお掃除アイテムを紹介したい。それが、水洗いクリーナーヘッド「スイトル」(シリウス)だ。カーペットやソファ、布団など、洗濯機で洗いにくいものを掃除機の力で水洗いするという、これまでにない発想のアイテムだ。
「スイトル」は家庭にある掃除機に取り付けて使用する。本体には500mlの水が入るスペースがあり、掃除機をオンにするとノズルの先端から汚れに向かって水が噴射され、汚れを含んだ水は瞬時に「スイトル」本体に吸い込まれる。食べこぼしや粗相をしたときも、これを使えばすぐに汚れを落とすことができる。
「家電の開発に定評のある元・三洋電機のメンバーが開発したものなので、性能は折り紙つき。最初はクラウドファンディングで資金を集めて開発が始まり、今年7月から量販店などに置かれるようになったばかりの画期的なクリーナーです。
汚れを含んだ水が本体にぐんぐん吸い込まれていく様子は、見ていて気持ちがいいくらい。後でたまった水を見ると『カーペットや布団、こんなに汚れていたんだ』とびっくりしますけど(笑い)」
4:腰を温めながらリラックスできる「マッサージソファ」
老母への年末のプレゼントにぴったりなのが、「ルルド エアソファ」(アテックス)。1人用のソファだが、コンパクトながら快適な機能が過不足なくつまっている。
マッサージチェアとしてはお尻・骨盤まわり・太ももを刺激する3つのコースを搭載。また、ヒーターが内蔵されていて、腰をじんわり温めることができる。コントローラーは、電源のオンオフを含めてたった5つのボタンでかなりシンプル。15分間で自動的に停止するので、うっかり寝込んでしまっても安心だ。
マッサージチェアとしてはお尻・骨盤まわり・太ももを刺激する3つのコースを搭載。また、ヒーターが内蔵されていて、腰をじんわり温めることができる。コントローラーは、電源のオンオフを含めてたった5つのボタンでかなりシンプル。15分間で自動的に停止するので、うっかり寝てしまっても安心だ。
「マッサージチェアとしてはプレゼントしやすい価格帯。コンパクトなのでどちらかというと女性向きです。シンプルで座り心地がいいので、リビングなどに置いて普段使いしても大丈夫。カラーもアンティークブルーのほか、シックなブラウンもあります」
5:快適な聞こえ方で家族団らんを楽しめる「首かけ集音器」
リビングに集まってテレビを見ているとき、どんどんボリュームを上げてしまう老親の様子に「年をとったな」と感じたことはないだろうか。あるいは「テレビの音がうるさい!」と一悶着することもあるかもしれない。
そんな家族を円満にするために取り入れたいのが、首かけ集音器(ソニー)。充電台とテレビをつないでおけばテレビの音声をワイヤレスで受信し、耳元のスピーカーでクリアな音声を聞くことができる。
「この機器が役立つのは、テレビを見ているときだけではありません。首にかけておくと、普段の会話や電話の声などが大きくクリアに聞こえるので、周りの人とコミュニケーションをとるのに便利。家族の会話から取り残されてしまう、というさびしさを味わわなくてすみます」
家電のおかげで生活が快適になれば、老親の気持ちも若返るかも? 一緒に使ってみることも、コミュニケーションのよいきっかけになりそうだ。
監修 神原サリー
家電+ライフスタイルプロデューサー。新聞社勤務、フリーランスライターを経て、家電+ライフスタイルプロデューサーとして独立。All About家電ガイド。一般社団法人日本睡眠改善協議会認定・睡眠改善インストラクター。米飯管理技能士の資格をもち、テレビや新聞、雑誌など多方面で活躍。
取材・文/市原淳子
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