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「膵炎の母、転倒!お花見に行けるのか!?」NO老いるLIFE~母と娘のほんわか口福日誌~第46話

 漫画家で栄養士の資格をもつうえだのぶさんは、山口県で慢性膵炎を抱える母親とふたり暮らし。ここ最近は「歯」のトラブルが続いていた母だが、なんとまたピンチ到来。お花見を楽しみにしていた母娘だったが――。

お花見ドライブ目前、母が転倒!

 いやほんと、マジで勘弁して~~~と思いました。

 桜大好きな私、毎年満開の時期に合わせて「お花見ドライブ」に行きます。ここ数年は「家族サービスDay」と称して母も乗せ、ちょっと遠出のドライブに行くのが恒例になっています。

 毎日天気予報をチェックして仕事の段取りもして、お出かけ気分全開でウキウキだったんですよおおお、なのに…。母が前日に転んでケガをしました。

 夕方、ご近所のお宅に用事で行っていた母から着信が。

「はいはい?」

「のぶちゃん、転んだ…迎えに来て…」

 ――はああああ~~~??

 英会話できないのに頭の中で「オーマイガー‼」って言いましたよ。

 だってこの連載、年が明けてからずっとトラブルの話なんです。やっと方向転換できると思ってたのに。慌てて車で向かいながら、頭に浮かぶのは「骨折」「流血」「入院」「手術」と不穏な文字ばかり。ああああ~~~~‼

 ご近所さんのお宅に到着すると、玄関先に母がご近所さんと並んで立っていました。とりあえず倒れてない、ほっ。 母の顔を見ると、左の頬が赤く擦りむけて、すでに腫れています。

私「どうしたん⁉」

母「玄関を出て2、3歩進んだ所でつまづいたんよー」

ご近所さん「音がしたから外に出たら倒れちょっちゃったんよー」

 ご近所さんにお詫びを言って急いで病院へ。

母「まあでも今どこも痛くないし、明日は花見じゃし、〇〇ちゃん(母の友人)も誘っちょるけえー、もう病院は行かんでええいいね」

私「明日安心して花見に行くために今日中に病院に行くんじゃあ~~~~‼(激怒)」

 幸い、骨折もひびも捻挫もなく、頬の擦り傷に絆創膏を貼ってもらっただけで済みました。

 お医者さんに「ちょっと口を開けてみてくださいね」と言われ、口を開ける母。

「こういう時って、本人が気づかなくても頬やあごの骨にひびが入ってることがあるんです。口を大きく開いて痛くないなら大丈夫ですね」と説明され、そういう事もあるんだ~と勉強にはなりました。

お花見でふたたび転倒!?

 翌日、予定通り母のお友達も乗せて晴天の花見ドライブに出発。母は車内で「しょーがないいねー、年寄りは転ぶもんじゃけえ」とのんきなコメント(私は「家に帰ったらまとめてネタにしてやる」と思いながら平常心で運転)。

 途中の道の駅で「わけぎ(春が旬のネギの仲間)」を見つけてはしゃぐ母。

「これであんたの好きな“ぬた”を作っちゃげるけえ~」はいはい、迷惑料ですよね。どちらにしてもお昼は「天ぷら定食」だったから夕食は「NOオイル」な「ぬた」、いいでしょう。

 帰り際に寄った桜で有名な公園では桜吹雪の真っ最中。舞い上がる花びらに母もお友達も大はしゃぎで上を見ながら歩いていたら…。今度は母の友達が転びました。コロンと!

 うわー!大丈夫ですか⁉ ケガはない⁉ 

 慌てて駆け寄って手を添えて起こして泥をはらって。幸いやわらかい土の上だったので、手と膝が少し汚れたくらいでケガはありませんでした。

「恥ずかしい、恥ずかしい」というお友達に、「転ぶのは仕方ないですよね~」と笑いながら帰宅の途に就きました。

 ――夕食時。

母「あんたー、私にだけひどいっちゃね。〇〇ちゃんには優しくしてから」

私「しょうがないいねー(山口弁で「しょうがないよね」の意)、どこの家でも娘はひどいもんじゃけえ」

 実は内心、私もちょっと悪かったなとは思いました。母が転んだときは本気で「おいおい、勘弁して~」と思ったんで。

 同世代の友達も口を揃えて言います。「なんでだろう、親だと腹が立つ」

 そういえば死んだ父親もばあちゃんにキツかったなあ…。「身内あるある」なのかなあ。

 絆創膏を頬に貼った母をチラリと見ながら、静かに「ぬた」を食む春の夜でした。

NO老いるMemo「NOオイルな春の一品」わけぎのぬた

 辛子酢みそで茹でた野菜や魚介類をあえたものを「ぬた」と言います。我が家では春先に「わけぎ(ネギの一種)」が出始めると母が張り切って作り始めます。

 私が子どもの頃から母の「ぬた」は「わけぎとイカゲソ」の一択。イカは脂質ほぼゼロなたんぱく源なので、膵臓を労る食生活「脂質1食10g目安」の母にはピッタリの料理なのでした。

 山口県は麦と米の合わせみそが主流なので母はすり鉢で擦るんですが、白みそや米みそを使えばボウルで混ぜるだけでいいと思います。市販の辛子酢みそでもOKですよ~。

わけぎとイカゲソのぬた(2~3人分)

<材料>
イカゲソ…50g
わけぎ…1/2束(約50g)
みそ(わが家は合わせみそ)…大さじ1
砂糖…大さじ1
酢…大さじ1
からし(お好みで)

<作り方>
【1】イカゲソとわけぎは別々に茹でて冷まし、食べやすい大きさに切る。
【2】すり鉢にみそを入れ、なめらかになるまで擦る。
【3】砂糖と酢を加えてよく混ぜる(好みでねりからしを加える)。
【4】イカゲソとわけぎを入れてよく和えて完成!

 イカはタウリンを含み脂質ほぼゼロのたんぱく源。わけぎなどのネギ類にはカルシウムも含まれています。

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絵と文

漫画家・うえだのぶ

うえだのぶさん

 イラストレーター・漫画家。58才。山口県で82才の母とふたり暮らし。40代で地元の短大に入学し、栄養士の資格を取得。地元山口県を拠点に、漫画を利用した食育や時短調理などの栄養講座の講師なども務めている。
アメブロ:https://ameblo.jp/abareinupoti/ インスタ: https://www.instagram.com/nobuueda/?hl=ja
『読者体験!リアル迷惑人間大集合1 』Kindle版が発売中。

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この記事へのみんなのコメント

  • 愛妻ひろみ郷

    私も、歳をとるとなんでみんな転んだりするのかなあ?私は今年70歳になるけど、こんなにピンピンしてるのに〜と言っていた私ですが、最近、ちょっとした段差や道の凸凹、物を跨ぐ時などに結構つまづいて転倒してしまいます。マジかー⁈って言う感じです。

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