体の不調には“尻トレ”!腰痛、不眠、尿もれを予防して一生歩ける体になる
加齢とともに現れる体の不調、実は足腰よりも体の中心にある「お尻」を使えていないことが大きく関係しているという。お尻を正しい位置に整えるだけで、毎日ちょこっと鍛えるだけで足腰の痛みはもちろん、認知症や寝たきりを予防できます。
今すぐ始められるカンタン“尻トレ”で、美しい姿勢をキープし、いつまでも若々しい体を手に入れましょう!
正しい姿勢でお尻の筋肉を使う習慣を
「昔は和式トイレをはじめ、家事なども不便があるぶんお尻の筋肉を使うことが多かった。便利さに慣れた現代人はほぼお尻を使っておらず、筋肉も落ちやすくなっています」(アピア均整院統括代表・松岡博子さん)
女性は40代以降それが顕著に。
「閉経を境に女性ホルモンが激減して骨が弱り、筋肉も衰えます。最悪、転倒が原因で寝たきりになることも…。それを食い止めるには、とくにお尻の筋力アップが大切です」(医学博士・宮田重樹さん)
姿勢に気をつけるだけでも、お尻のトレーニングにつながるという。実生活でそれを習慣にしているのが、タレントの江口ともみさん。
「私は椅子に深く腰掛けると逆に疲れてしまうんです。新聞を読んだり、アイロンをかける時も立っていることが多く、主人には江口家の女性は(母と姉も)常に立ってるね、と言われるほど。母は今年83才ですが、海外旅行や登山などにも出かけ、一生歩ける体の持ち主です」(江口さん)
お尻を鍛えるメリット10
【1】いくつになっても自力で歩ける
【2】転倒やケガを回避できる
【3】関節の故障を防げる
【4】腰痛や膝痛を解消できる
【5】更年期症状が軽くなる
【6】尿もれを防げる
【7】姿勢がよくなりスタイルアップする
【8】若々しい声をキープできる
【9】腰が曲がらない
【10】寝たきりや認知症を防げる
キレイな“立ち姿”はしっかりお尻の筋肉を使っている!
頭が天井から糸で引っ張られるように、重心をまっすぐにし、骨盤を水平に保つ。お尻に意識を集め、背筋をピンと伸ばそう。
『立ち姿』を美しくする!尻トレ
「背中が丸まり肩が傾いている人は、お尻の筋肉が弱っている証拠。骨盤のゆがみを取り、骨盤底筋や脚の内側の筋肉を鍛えて」(松岡さん・以下同)
●お尻締め 5秒×3回
両足を開きつま先を外側に向ける。息を吸いながらお尻を締め、太ももの内側に力を入れる。
●お尻・お腹引き上げ 3秒×6回
足を肩幅に開き、お腹とお尻に力を入れてつま先立ちし、上がり切ったところでキープ。
●脚ゆらし 内・外交互に各10回
足を肩幅に開き、右足のつま先を床につけたままかかとを上げ、脚の付け根から内・外側に回す。反対の脚も同様に。
キレイな“座り姿”はしっかりお尻の筋肉を使っている!
お尻の筋肉を使った美しい座り姿は、骨盤が立ち、お尻は自然な丸み。頭からお尻までが一直線で背筋が伸びていること。
『座り姿』を美しくする!尻トレ
「脚を組んだり、すぐ背もたれに寄りかかるのは、腹筋や背筋の筋力がないから。骨盤を立てて美しく座り、お尻を鍛えて」
●片足のももを持ち上げる 左右各10回
椅子の側面を持ち、片方の膝を胸の高さまでゆっくり持ち上げる。逆の足も同様に。
●お尻を突き出し、丸める それぞれ4秒かけて行う
【1】上体を前に倒しながら、4秒かけてお尻を突き出す。座った時、座面に当たる坐骨を真下に意識して。
【2】お腹を見ながら、背中と腰を丸め、お尻を引く。4秒かけて丸める。坐骨の動きを感じながらこれを3回行う。
●両脚を持ち上げて背中をまっすぐ伸ばす 5秒×6回
椅子に浅く座る。両手で椅子の側面をつかみ、軽くそろえた両膝をゆっくりおへその高さまで上げてキープ。
便秘・不眠&腰痛・尿もれ…40代以降抱えがちなお悩みを改善!
加齢とともに増えるさまざまな体の悩みも尻トレで改善! 超簡単トレーニングだから、寝る前や、テレビを見ながらなど習慣づけましょう。
●便秘
「骨盤がゆがむと腸が圧迫され、ぜん動運動がスムーズにいきません。左足を蹴り上げて、直腸の動きを活発に」(前出・松岡さん。以下同)
【1】仰向けになり、左足のかかとを右ももの内側につける。膝上につけるのがポイント。
【2】左足のつま先でボールを蹴るようにして膝を伸ばし、そのまま下ろして3秒休む。これを3回行う。左足のみでOK。
●下半身のむくみ
「骨盤がゆがんでいると血管や内臓が圧迫されて代謝が悪くなり、むくみが生じます。上半身と下半身をねじってゆがみを矯正して」
【1】仰向けに寝て、両手両脚を大の字に開く。まっすぐ上を見て、全身をリラックスさせる。
【2】左脚の付け根から右側に伸ばすと同時に、右腕を左側に投げ出すように全身をねじる。
【3】頭は動かさないのがポイント。反対の足も同様に。これを2回行う。
●不眠&腰痛
「骨盤やお尻の筋肉のバランスを整えることで、不眠や腰痛の解消に。お尻を床につけてごろごろと揺らし、お尻の左右差を調整します」
【1】仰向けに寝て全身をリラックスさせる。脚は腰幅に広げる。
【2】両手で両膝を持ち、安定させる。上体と太ももが90度くらいになるよう膝を立てる。
【3】お尻全体を床に擦りつけるようにして左右にゆっくり動かす。これを12回行う。
・NG!
膝を胸につけるように抱え込んでしまうと、お尻が浮いて、背中を使ってしまうため効果なし。
●尿もれ
「骨盤がゆがんでいると排尿をコントロールする骨盤底筋も衰えます。お尻とお腹に力を入れ、膣を収縮させるイメージで締めましょう」
かかとをつけ、つま先にこぶし一個分の隙間を開けて立ち、10秒つま先立ちをする。3回行う。
・NG!
つま先立ちになった時にかかとが離れてしまうと、骨盤底筋には効かないので注意。
●つまずき
「つまずいたり、歩くのが遅くなったと感じる人はお尻と脚の筋力が弱っているから。体重を支えるお尻と太ももを同時に強化して」
・つまづきトレーニング1
【1】椅子の背につかまり、30㎝ほど離れてまっすぐ立つ。右脚を右斜め前方に振り上げる。
【2】右脚で左脚の太ももをこするように斜め後ろに振りお尻を締める。30回行う。反対の脚も同様に。
・つまづきトレーニング2
目を軽く閉じ、まっすぐ立つ。左足を床から5cmほど上げて1分間静止。反対の足も同様に。
・NG!
高く足を上げ過ぎると、お尻に効かず太もものトレーニングになってしまうので注意。
●頻尿
「骨盤のゆがみや広がりを改善し、膀胱を正常な位置に戻してあげましょう」
【1】仰向けに寝て、軽く膝を立てる。腕は体の横に自然に伸ばし、小指側を床につける。
【2】手の小指と足裏全体で床を押すようにお尻を持ち上げて、5秒キープする。
【3】両膝の高さは同じまま、膝下だけを上げ5秒キープ。反対の足も同様に。これを3回行う。
・NG!
足を無理に高く上げようとすると、姿勢が崩れるだけでなく、効果がなくなるので注意。
誰でもカンタンにできる! 体を支えるお尻は、今からでも作れます!
筋肉は使わないと確実に衰えるため、今ある筋肉を減らさないよう適度に刺激することが大切。少しずつ負荷をかけ、ゆっくり伸縮させるだけで、丈夫な下半身を取り戻すことができます!
「お尻の筋肉は、パワーマッスルといわれるほど、体全体を支えるのに重要な場所。とくに大きな筋肉である大臀筋を動かすことが大切です」(筋肉デザイナー・藤本陽平さん)
お尻スクワットなら、お尻に特化して鍛えることができ効果大。しかも椅子と机を使うため、負荷が少なく無理なく続けられる。毎日継続すれば、一生歩けるお尻が手に入る!
●これできる!? お尻の衰えをチェック!
お尻と脚の筋肉の衰えはこの動作で簡単にチェックできる。グラついたり、反動を使って立ち上がろうとする人は、お尻が衰え始めている証拠。
椅子に浅く座り、両手を胸の前で交差する。片方の足を上げ、前傾しながら床についた足で立ち上がり3秒キープ。逆の足も同様に行う。
まずはストレッチで体をスムーズに動かせるように!
お尻スクワットの前に、全身がほぐれるストレッチ「お尻クルクル」と「足裏シーソー」を行う。その後にスクワットをスタート!
●尻クルクル 左右交互に各5回
机に両手を添え、両足を肩幅よりやや広く開く。股関節全体をゆっくり左回り、右回りと交互に回す。
●足裏シーソー 往復10回
机に両手を添え、両足を肩幅よりやや広く開く。足裏の前後に体重を移動させ、シーソーのように動かす。
キツくない“お尻スクワット”で一生歩けるお尻に!
前に机、後ろに安定した椅子を用意。無理のないスクワットだが、しっかりお尻に効いてくれる。動く時は呼吸を止めずに。
●椅子と机を使ったお手軽スクワット! 5回を1日4セット
【1】机の前に立ち、足は肩幅よりやや広く、つま先を外側に向ける。両腕、両脚を伸ばして机に手をつく。
【2】背中をまっすぐにしたまま、お尻だけを後ろに突き出していくイメージ。
【3】椅子を目標点にし、お尻をそこにつけるイメージで、2~3秒かけてお尻だけを下ろしていく。
【4】膝がつま先より前に出ないように、お尻をプリッと突き出し、ほんの少し椅子にタッチ(座らない)。その後【1】の状態に1秒かけて戻す。これを5回行う。
・ここをチェック!
お尻の筋肉が伸びてハリがあるのを確認!
膝はつま先の真上の位置にそろえる
教えてくれたのは
医学博士・宮田重樹さん
整形外科医として体の痛みと動きを研究。著書に『一生寝たきりにならない「おしり」の鍛え方』(PHP研究所)など。
アピア均整院統括代表・松岡博子さん
体のバランスを整えることで、心身の不調を改善する治療を推進。監修書に『お尻を鍛えてずっと健康!』(宝島社)など。
筋肉デザイナー・藤本陽平さん
これまで3万人以上にお尻スクワットを指導。著書に『筋肉がプリッとよみがえる! おしりスクワット』(新星出版社)。
撮影/平林直己
※女性セブン2019年8月15日号
●毎日無理なく!腰痛対策トレーニング|寝起きに、お風呂で、自宅で簡単に【まとめ】