日常のほんのわずかな衝撃で起こる腰椎圧迫骨折に注意!気づかず悪化することも。早期発見と正しい治療が大切と専門医「NG行動と推奨食物とは」
ひと言で「腰痛」といっても、症状によってタイプは様々だ。本来、痛みの改善にはその症状ごとに正しいアプローチが必要なのだが、自分がどのタイプなのかを分かっておらず、漫然と対策を続け、逆に悪化させてしまうケースが多々あるという。症状別に痛みを改善する方法を腰痛治療の専門医が伝授する。
教えてくれた人
戸田佳孝さん/医師・戸田整形外科リウマチ科クリニック院長
黒澤尚さん/順天堂大学医学部名誉教授・江東病院理事長
腰痛にはタイプがあり、原因によって対処法が違う
厚生労働省の調査では、日本人の約2800万人、実に4人に1人が腰痛に悩んでいると推定されている。
脊柱管狭窄症、腰椎すべり症、椎間板ヘルニア、腰椎圧迫骨折といった代表的な腰痛は腰椎のトラブルが原因で起こる一方、ぎっくり腰は筋肉への急な負担によって発症する。それぞれ症状や対処法は異なるが、患者自身が自分の腰痛のタイプを正しく把握していないケースが多いと、順天堂大学医学部名誉教授の黒澤尚医師(江東病院理事長)が指摘する。
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特に腰椎の病気の中には、徐々に悪化するものと突然強い痛みが出るものがあり、脊柱管狭窄症や腰椎すべり症は下半身の痛みや痺れが徐々に強くなる一方、椎間板ヘルニアや腰椎圧迫骨折は急激な痛みとして現れることも少なくない。腰椎圧迫骨折は、早期発見と正しい対処が重要な腰痛のひとつである。
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気づかぬうちに進む腰椎圧迫骨折
腰椎そのものが折れてしまうのが腰椎圧迫骨折である。
大きな要因となるのは加齢による骨の脆弱化だ。
「脆くなった腰椎にヒビが入り、潰れるように骨折するのが腰椎圧迫骨折です」
と、話すのは戸田整形外科リウマチ科クリニック院長の戸田医師。
転倒や尻もちといった明確な外傷ではなく、床の段差を踏み外す、重い荷物を持つ、咳やくしゃみをするといった日常のほんのわずかな衝撃で骨折していることがあるという。
「怖いのは、気付かずに骨折しているケースが散見されること。折れた腰椎が神経を圧迫しなければ痛みを生じないため、“いつの間にか骨折”とも呼ばれます。ただし、放置すると骨折部分が広がり、神経に達して激しい痛みが出る可能性があります」(同前)
チェックポイントで触れたように、圧迫骨折は起き上がる際や前屈みになった時に痛みが出やすいという特徴がある。
「骨折は連鎖することがあるため、背中が丸くなったり身長が縮んだという自覚がある人は要注意。複数の椎骨が骨折している可能性があります。異変を感じたらすぐに整形外科で検査を受けましょう」(同前)
早期発見と正しい治療・姿勢が悪化を防ぐ
治療の基本は保存療法となる。
「再発リスクが高いため、コルセットでの固定に加えて骨粗しょう症の改善をします。コルセットは市販のお腹用コルセットと骨盤用コルセットの2つをつなげた、腰椎全体をカバーするロングコルセットを自作して巻いて背骨から骨盤まで安定させ安静にします。
痛みが強く出ている場合はホルモン製剤『カルシトニン薬』などを注射し鎮静します。同時に骨を丈夫にするため、カルシウムやミネラル含有量の多い硬水を飲み、カルシウムの吸収を補助するビタミンKが豊富な納豆を食べるといいでしょう」(同前)
痛みの悪化を招く姿勢にも注意する。
「腰椎の前側が骨折するケースが多いので前屈みになると骨折部分に圧力がかかって痛みが出やすい。座り続けるのも腰椎周辺の筋肉が硬直し、痛みを感じやすくなります。最低でも1時間に1度は立ち上がって筋肉と骨への負担をリセットしましょう。椅子に座る時の姿勢は猫背にならないよう、軽く背筋を伸ばすといいでしょう。
腰へのマッサージや整体もリスクがあります。骨粗しょう症だと60代で48.1%、70代で51.4%、80代で81.3%、背骨や腰の骨折リスクが増すとの調査があります」(同前)
症状に合った正しい対策で腰の痛みに向き合いたい。
腰椎圧迫骨折時の推奨&NG行動
【やるといいこと】
・硬水のミネラルウォーターを飲む
骨粗しょう症予防のためにカルシウムやミネラル豊富な硬水を飲む
・自作コルセットを着ける
お腹用と骨盤用の市販のコルセットを2枚使って自作コルセットを作って腰に巻く
【やってはいけないこと】
・ラジオ体操の前屈をする
圧迫骨折は前屈みになると痛みが出やすいので前屈や起き上がる時に注意する
・長時間座り続ける
長時間座ると椎骨への圧力がかかり、痛みが出やすいので1時間に1回は席を立つ
・強いマッサージを受ける
腰のマッサージで骨折が悪化する可能性がある
※週刊ポスト2026年1月16・23日号
