ベタつく汗とにおいは汗腺の老化かも!「汗腺トレーニング」でサラサラ汗を取り戻し、熱中症に負けない体へ
ベタつく汗の強いにおいは、汗腺が衰え“汗が老化”したサイン。機能が低下した汗腺は熱中症や肌のたるみなど全身の不調、老化に直結する。たかが汗とあなどることなかれ。食事や生活習慣を整えて今年の夏は「いい汗」をかこう。
教えてくれた人
谷口英喜さん/済生会横浜市東部病院患者支援センター長、比留川佳志子(ひるかわかしこ)さん/日本汗活協会代表理事
ベタベタした汗は“老化”しているサイン
ベタベタした汗が肌に張りつき、周囲からの視線が気になるようなイヤなにおいがする…。それは汗が“老化”しているサインだ。なぜ汗が老化するのか。済生会横浜市東部病院患者支援センター長の谷口英喜さんが言う。
「いい汗の成分は水分が多く、サラサラしていてほぼ無臭です。蒸発しやすく、体から熱を逃がしてくれるので熱中症にもなりにくい。その一方で、汗腺が衰えると、血液から汗をつくるときに血中のミネラル分を体内に戻す働きが弱くなり、汗と一緒に体外に出てしまいます。これが老化した“悪い汗”の正体です」
血中のミネラル分が血管に戻らないことで、塩分濃度が高いベタベタした汗となってしまうのだ。
汗腺の老化が熱中症を高める
この時期は、汗腺が機能停止していた冬の状態から急に汗を出そうとすることで、不快な“悪い汗”になるという。また、汗腺が衰えると悪い汗を出すだけでなく、汗そのものを出せなくなるケースも。すると体に熱がこもり、熱中症になるリスクが高まることにつながる。総務省消防庁のデータによると、2025年の熱中症の救急搬送者数は調査開始以来最多の10万人を超えた。
「汗腺には、脂質や老廃物を出すアポクリン腺と、熱を逃すエクリン腺の2種類があります。これらが衰えると、アンモニアなどの老廃物を排出できずに体にたまってしまう。汗をかきにくくなるため体温をコントロールすることができず、熱中症のリスクを高めます。熱中症は場合によっては腎不全や神経障害などの後遺症が残ったり、命の危険もあります」(谷口さん)
汗をかいたとしても、老化した汗は蒸発しにくく体温を下げにくいため、熱中症のリスクが高いことにかわりはない。加齢によって筋肉量や体内の水分量が減少し、皮膚の温感センサーが鈍っている中で、汗の老化は“とどめ”となりうる。
肌のたるみや皮膚トラブルにも直結する。日本汗活協会代表理事の比留川佳志子さんが解説する。
「化粧品大手の資生堂が発表した研究では、汗腺が衰えて萎縮し、その部分が皮下脂肪に置き換わることで顔の皮膚がたるむことが明らかになっています。
また、サラサラのいい汗に含まれる天然保湿因子(NMF)には、角質層の保湿をして肌のバリア機能を高める効果がありますが、ベタベタの汗は脂質やミネラルが肌に残ることで皮膚炎になる可能性もあります。汗腺を鍛えるのは、美容のためにも重要です」
運動や入浴で汗腺力を取り戻す
デスクワークの多い現代は、エアコンの効いた場所にいる時間が長く、さらに40代以降は運動不足になりがちなため、汗腺の機能低下に拍車をかけている。衰えた汗腺を回復させるには、何より汗をかいて汗腺を刺激すること。そのためには自律神経を整えることが重要だと、谷口さんが言う。
「自律神経が発汗の機能をコントロールしており、体温が上がると交感神経が優位になり、体温を下げるために発汗を促す仕組みです。何才になっても汗腺トレーニングをして機能を高めれば、老廃物を排出するデトックス効果を高めたり、熱中症になりにくい体をつくることはできるのです」
汗腺を活性化させて自律神経を整えるうえで、最も簡単かつ有効なのが入浴だ。
「マイクロスコープで見ると、湯船に入った瞬間から汗が出ています。40℃前後のお湯に5〜10分つかるだけで効果は充分。湯船につかる余裕がない場合は、お尻の割れ目の少し上にある仙骨(せんこつ)に温かいシャワーを1分ほど当てるだけで太い血管と神経が温まり、自律神経が整います」(谷口さん)
比留川さんも言い添える。
「湯船に入る前にストレッチをして、入浴中も両手と両足をグーパーすると、手足の血流が促され、全身の血液循環がよくなり、汗腺が活性化しやすくなります。このストレッチや生活習慣を指導した結果、夜中にトイレで目が覚めなくなった、体温調節できるようになった実感があるというかたが大勢います」
夏野菜や魚介類、スパイスで自律神経を整える
自律神経を整えるために有効な食品を取り入れることで、その効率をアップさせることも可能だという。
「ビタミンCとビタミンEは抗酸化作用が強く、自律神経の働きをサポートするほか、ビタミンCは体が暑さに順応する働きを助けてくれます。これらが多く含まれる夏野菜のピーマン、トマト、ゴーヤーのほか、キウイフルーツなどもおすすめです。また、アミノ酸の一種であるタウリンは自律神経のバランスを整える働きがある。タウリンが含まれる魚介類のいか、たこ、えび、ほたても有用です。
腸内環境は自律神経に大きな影響があるので、納豆やみそ汁などの発酵食品も意識して食べるといいでしょう」(谷口さん)
比留川さんは、スパイスを使うことで血流をよくして、自律神経を整える方法を推奨する。
「沖縄で調味料として使われている長胡椒(ながこしょう/ヒハツ)というスパイスは、『ピペリン』という成分を多く含みます。冷えやむくみの改善、高血圧、代謝アップによる疲労回復、脂肪燃焼、美容効果が期待できます。
温かい紅茶やカフェオレなどの飲み物に少しふりかけたり、野菜炒めや豚肉炒めにこしょうの代わりに少しふりかけたり、麺類の薬味に使うのもいいです」
運動で汗をかくことも重要だが、暑い時期に無理をするのは禁物だと警鐘を鳴らすのは谷口さんだ。特にシニアの場合は軽い運動から始めるべきだという。
「早朝などの暑くない時間帯なら30分程度のウオーキングもいいですが、日中であれば室内でラジオ体操やストレッチを行ってください。両手の指先を左右それぞれの肩に軽く置き、ひじで大きな円を描くように前に回す。次に同様に後ろ回しも行い、肩甲骨まわりをほぐす。この動きを1日に5回3セット行うと、うっ血しやすい肩甲骨と首の血流がよくなり、自律神経が整います」(谷口さん・以下同)
入浴、食事、運動とそれぞれのポイントをおさえながら規則正しい生活を送ることこそが自律神経を整えることにつながる。
「充分な睡眠をとり、朝起きたら日光を浴びて白湯を飲み、朝食を食べる。夜は寝る前にお風呂につかることを意識しましょう」
酷暑が続く見込みだが、ベタベタの汗をサラサラに変えるチャンス。汗腺を鍛えて、汗から若返ろう。
汗の老化を予防する!「汗腺トレーニング実践リスト」
【1】こまめに水分補給をする
1回180mlの水分を1日8回摂取する「6オンス(180ml)8回法」が目安。起床時、朝昼晩の食事中、朝食と昼食の間、昼食と夕食の間、入浴前、就寝前の計8回が理想。
【2】6〜8時間の睡眠をとる
睡眠中は副交感神経が優位になり、日中に働きが過剰に活発になった交感神経を休ませ、自律神経が整いやすくなる。質のよい睡眠が汗腺トレーニングの土台になる。
【3】起床後に日光を浴びる
朝起きたら日光を浴びて体内時計をリセット。自律神経のリズムが整うことで、発汗機能のコントロールがスムーズになる。
【4】自律神経をサポートする食品を摂る
ビタミンC、ビタミンEが豊富なキウイフルーツ、トマト、ゴーヤーや、タウリンを含むいか、たこ、ほたて、腸内環境を整える納豆、みそ汁などが効果的。
【5】ストレッチや軽い筋トレで血流をよくする
室内でのラジオ体操やストレッチを心がけて。両ひじを前後に回す肩甲骨ほぐしを1日5回×3セット行うと血流がよくなり、自律神経が整う。
【6】40℃前後のお湯につかる
40℃前後の湯に5〜10分つかる。入浴前後にストレッチをしたり、湯船の中で手足をグーパー動かすことで汗腺がより活性化する。
写真/PIXTA
※女性セブン2026年7月30日・8月6日号
