「要支援者登録」「福祉避難所」要介護者との避難に知っておきたい防災の備え
熊本地震や昨今の豪雨などで、災害対策を見直している人も多いだろう。その中でも、要介護者と暮らしている場合は、特に事前準備が重要となる。そこで、節約アドバイザー・ファイナンシャルプランナーの丸山晴美さんに、要介護者と暮らしている場合にやっておきたい防災について詳しく教えてもらった。
教えてくれた人
丸山晴美さん/節約アドバイザー。ファイナンシャルプランナー
22歳で節約に目覚め、1年間で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニの店長などを経て、2001年に節約アドバイザーとして独立。ファイナンシャルプランナー(AFP)、消費生活アドバイザー、宅地建物主任士(登録)、認定心理士などの様々な資格を持ち、ライフプランを見据えたお金の管理運用のアドバイスなどをテレビやラジオ、雑誌、講演などで行っている。
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自治体で「避難行動要支援者」などの登録をしておく
自治体によっても名称は異なりますが、一般に、高齢者や障害者、妊産婦など災害時に配慮が必要な人を「要配慮者」、このうち自力での避難が難しく、避難時に支援が必要な人のことを「避難行動要支援者」といいます。避難行動要支援者に関しては、自治体ごとに名簿を作成することが義務付けられており、一人ひとりに、災害時にどこに誰と避難するかなどを整理した「個別避難計画」を作成することが努力義務とされています。
「避難行動要支援者」に該当する基準は自治体によって異なりますが、避難行動要支援者として登録されていると支援の手が伸びやすくなります。75歳以上、要介護度3以上など、細かく条件が決まっていることもありますが、手上げ制で希望した人は登録してもらえることもあるため、一度自治体の福祉課などに問合わせてみるといいでしょう。
どこに避難するかを事前に考えておく
いざ災害が起きたときに、避難所に行くのか、それとも在宅避難をするのかを考えておくことも大切です。もちろんそのときどきの状況によっても変わりますが、あらかじめ考えておくといざというときに慌てずにすみます。
基本は家屋の倒壊リスクがなく、当面の安全が確保できるのであれば、プライバシーを確保しやすい在宅避難がおすすめです。しかし、自宅の築年数が古かったり、豪雨や洪水の際に浸水の危険性が高いマンションの低層階や戸建てだったりする場合は、避難所に避難することも想定しておきましょう。
在宅避難をする場合は介護用品なども備蓄しておくこと
在宅避難をする場合は、食料品や水など、ガスボンベといった通常の備蓄品のほか、おむつなどの介護用品や常備薬、衛生用品なども多めに必要になります。介護用品なども、少し多めに買い置きし、消費した分をその都度買い足す「ローリングストック法」で備蓄しておくのがおすすめです。
また、吸引器や人工呼吸器など、介護用品は電気を必要とするものも多くあります。普段使っている介護用品が電気を必要とするものであれば、予備のバッテリーを忘れず準備し、定期的に充電状態を確認するようにしましょう。
在宅避難が困難になる前に公助を求める
ただし、最初は在宅避難で問題がなくとも、時間が経つにつれて備蓄品が少なくなったり、避難生活のストレスで体調が悪化していったりと、徐々に在宅避難に限界を感じる場合もあります。そのため、備蓄品の残量や体調などを見ながら、余力があるうちに公助に頼ることも検討しましょう。発災直後は避難所も物資や情報が不足しますが、時間の経過とともに物資や情報が集まってくるため、在宅避難をしている場合も、定期的に避難所に行っておくと役に立つでしょう。
避難所に行く場合は、どこの避難所に行くかを考えておく
要介護者と避難所に避難する場合、介護や福祉のスタッフが常駐する「福祉避難所」に避難するのがおすすめです。
以前は福祉避難所に通常の避難者が殺到することを防ぐため、福祉避難所の情報は公開されていないことがありましたが、2021年(令和3年)の災害対策基本法改正により、「受け入れる対象者をあらかじめ定めた福祉避難所(指定受入対象者型)」の公示制度が導入されました。現在では、対象者(例:要介護3以上など)や家族に対して事前通知したり、自治体のウェブサイトで施設一覧を公開したりする動きが進んでいます。
福祉避難所がどこにあるかがわかったとしても、災害時に直接、福祉避難所に行っても避難できないことがあります。原則として、災害発生時はまず「一次避難所(一般の指定避難所)」へ避難・集結し、そこで体調や状況が確認された後に福祉避難所へ移送(スクリーニング開設)される運用が多く採用されています。
発災直後に直接駆けつけても福祉避難所が未開設であったり受け入れ体制が整っていなかったりするため、事前に自治体の福祉課などに確認しておきましょう。また、介護施設が福祉避難所として開設されることもあるため、普段利用している介護施設などがある場合は災害時に福祉避難所として避難することが可能か確認しておくと安心です。
避難所へどうやって避難するかも決めておく
避難所を決めたら、どうやって避難するかも考えておきましょう。車椅子や松葉杖などを使っている場合、避難ルートに瓦礫などの障害物があり、通れなくなることもあるため、複数のルートを考えておくことも大切です。また、台風や豪雨など一定予測ができる災害の場合は、早めに避難する意識も必要です。
避難所には介護用品やお薬手帳などを持って行く
避難所に避難する際は、食料や水などのほか、普段使っている介護用品や常備薬などを持って行きましょう。発災直後は避難所にも介護用品などの特別な物資が無いこともありますし、おむつなどもサイズが合わないものしか手に入らないということもあります。
また、お薬手帳などを持って行っておくと、常備薬が足りなくなった際に、同じものが手に入らなくても、飲み合わせなどを考慮したうえで代替品を手に入れやすくなるのでおすすめです。
他にも平常時の介護サービス計画(ケアプラン)と連動させ、災害時の具体的な連絡・避難支援の手順を共有・確認しておき、緊急時に必要な介助方法、かかりつけ医、緊急連絡先、服薬内容などを記載したカード(ヘルプカード等)を普段から身につけたり、持ち出し袋に入れておくといざという時に役立ちます。
備蓄品や持ち出し品は複数の場所に分けて用意するのがおすすめ
備蓄品や持ち出し品は、玄関など取り出しやすい場所に用意しておくのが基本ですが、車にも積んでおくことをおすすめしています。自宅が倒壊して在宅避難ができず、かつ避難所も満員で入れないという場合には、車中避難が選択肢になることがあるためです。また、自宅に倒壊のおそれがあって備蓄品や持ち出し品を取りに戻れないときでも、車に積んでおけば回収できる可能性が高まります。
ただし、夏場の車内温度は50℃~70℃近くまで上昇します。食品の劣化、飲料水のペットボトルの変形・破損、常備薬の品質低下のリスクが高まります。そして、カセットボンベ、ポータブル電源、モバイルバッテリー(リチウムイオン電池)、スプレー缶、ライターなどは、高温による膨張・発火・爆発の危険があるため、車内に常備・放置してはいけません。
高温に強い食品の缶詰やアルファ化米、乾パン、ビスケット類のほかに、おむつやおしりふき、非常簡易トイレといった衛生用品やトイレットペーパーなどの日用品は直射日光を避けて積むとよいでしょう。
車中避難対策として、アルミ保温シート、毛布・膝掛け、折りたたみクッション、着圧ソックス(エコノミークラス症候群予防)、目隠し用サンシェードやカーテン、軍手などのアイテムがあると便利です。
あわせて、備蓄品や持ち出し品はチェックリストを作成し、いざというときに慌てず対応できるようにしておきましょう。リストの内容は定期的に見直すとともに、備蓄品の残量も確認しておくことが、災害時に自分や家族の身を守ることにつながります。
取材・文/新藤まつり
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