【汗】その上手なかきかたとにおい、あせもなどの対策法
くさくて、ベタベタする…などと嫌われることが多い汗。でも実は、熱中症を予防してくれるなど、命をも左右するほどの大切な役割があるのだ。
「汗には、体温調節機能や保湿機能など、体に有益な機能があります。しかし、汗をかくのを嫌がり、一日中冷房のきいた部屋にいて発汗を抑えていると、汗腺の機能が低下し、せっかくの力が発揮されなくなります」(東京医科歯科大学・皮膚科学教授・横関博雄さん)
汗は体温調節以外にもう1つ、意外な役割がある。
「それは肌を守る働きです。例えば、皮膚の潤いを保ってドライスキンを防いだり、アトピー性皮膚炎の予防にもなります。また、汗に含まれる成分・抗菌ペプチドは、皮膚表面の雑菌を殺す働きも。さらに、汗に含まれるたんぱく分解酵素は、皮膚表面の垢を取り除き、ダニの皮膚侵入を抑える役割もあるんです」(横関さん)
つまり、健康的な肌を保つためにも、普段から汗をかいた方がいいのだ。
かきすぎもNG 発汗後のケアが大切
ただし、「かきすぎも考えもの」と注意を促すのは、発汗生理学を研究する愛知医科大学講師、犬飼洋子さんだ。
「体温調節のために汗をかく場合は、蒸発させてこそ、その効果を発揮します。汗を急激にかきすぎると蒸発が間に合わず、体温は下がらないため、汗が出続けて脱水症状になることも。水分補給をしつつ、汗を乾かし、上手に汗をかくことが大切です」(犬飼さん)
また、かいた汗を放っておけば、あせもなどの原因になり、せっかく汗が肌の健康を保ってくれたといっても逆効果に。
汗をかいたら流すか拭き取って肌に長時間残さない
大量にかいた汗を放置すると、汗の成分が変質し、あせもや肌荒れ(汗荒れ)の原因になりかねない。いずれも悪化すると皮膚科での治療が必要になるので、予防が第一だ。
「汗をかいた後は、シャワーで洗い流すか、濡らしたタオルなどでやさしく拭き取りましょう。それだけで充分落とせます。石けんは使いすぎると肌のバリア機能を壊すので、汗を流すためだけに石けんまで使う必要はありません」(東京医科歯科大学・皮膚科学教授の横関博雄さん)
汗は早く蒸発させ、肌に長時間残さないことが大切なので、通気性、吸水性がいい綿素材のゆったりした服を着るのもおすすめだ。
あせも(汗疹)
「汗は通常、汗腺から皮膚の外に出ていきますが、急激な発汗などで汗腺がつまると、汗が皮膚の中にたまってしまいます。すると汗腺周辺が炎症を起こし、あせもになります。特に皮膚に細菌がいる場合は赤みが出たり、かゆみがひどくなります。汗をまめに拭き取り、清潔にしていれば数日で自然治癒しますが、かゆいからとかきむしると、悪化して化膿することも。こうなると皮膚科の受診が必要になります」(横関さん)
汗荒れ
「汗に含まれる塩分などの成分が肌に刺激を与え、ピリピリと感じることがあります。これが汗による肌荒れ“汗荒れ”です」(横関さん)
汗をかきやすい額、首、ひじ、ひざの内側などに起こりやすい。これも、汗をかいた直後に濡れタオルなどで拭き取ることで予防は可能だ。
におい対策
汗はかいた直後は無臭。ただし、放置すると雑菌が増殖し、くさくなる。対策は、すぐに拭き取るか、デオドラント剤をつけておくこと。
「一部のデオドラント剤には汗自体を抑える作用もありますが、基本的には肌表面の細菌を殺して、体臭を予防する効果があります」(横関さん)
デオドラント剤は汗をかく前の清潔な皮膚につける。ワキの下に塗る場合は、毛が生えている部分をカバーするように広範囲に塗ろう。
デオドラント剤には、パウダーが出るスプレータイプや液体が出るロールオン(直塗り)タイプなど、さまざまあるが、成分が肌に密着しやすいと近年人気なのは、液体のロールオンタイプやクリームだという。
※女性セブン2018年6月14日号
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