高齢者世帯で「生活が苦しい」が6割 世帯平均所得は前年比4.2%減
厚生労働省が2023年に実施した国民生活基礎調査の結果、65歳以上の高齢者世帯の約6割が「生活が苦しい」と感じていることが明らかになった。物価高騰の影響が高齢者の生活を直撃していることを示しており、特に主な収入源が年金となる世帯にとっては、厳しい経済状況が続いている。
高齢者世帯の平均所得は304万円 前年からの減少が顕著
国民生活基礎調査によれば、2022年の高齢者世帯の平均所得は304万9000円で、前年比で13万4000円(4.2%)の減少となった。高齢者世帯は公的年金に頼るケースが多く、年金額の実質的な目減りも顕著に表れている。高齢者世帯で「苦しい」と答えた世帯が59%という結果は、統計を取り始めた1986年以降、最も高い割合だった。経済状態が「普通」と答えた人の割合は前年の45.1%から36.7%に大きく減少しており、中間層がより追い込まれている状況がわかる。
生活苦は子育て世代にも広がる
「生活が苦しい」と感じているのは高齢者世帯に限らない。調査によると、児童のいる世帯の65%が「生活が苦しい」と答えており、この数字は前回調査より10%以上も増加している。
物価上昇は家計の消費に大きな影響を与えており、特に食品や日用品の値上げが生活の質を低下させている。子育て世代にとって、限られた収入で子どもの教育費や生活費を捻出しなければならないため、経済的なプレッシャーが増しているのが現状だ。
このような状況を受け、厚労省は「物価高や燃料費の高騰の影響で生活の苦しさが増している可能性があり、今後の状況を注視していきたい」としている。高齢者世帯や子育て世帯に対する経済支援策は急務といえるだろう。
構成・文/介護ポストセブン編集部