夏の台所は熱中症のキケンも! <シニア世代におすすめ> 火を使わない夏の調理アイデア
猛暑の中でコンロに向かうのは、体にも負担がかかるもの。特にシニア世代は暑さを感じにくくなる傾向があり、室内でも熱中症に注意が必要です。そこで今回は、火を使わずに安全・手軽にできる夏の調理アイデアを、家事アドバイザーの矢野きくのさんに教えていただきました。
この記事を執筆した専門家
節約・家事アドバイザー・矢野きくのさん
家事の効率化、家庭の省エネを中心にテレビ・講演・連載などで活動。NHK『ごごナマ』準レギュラー他テレビ出演多数。新聞での連載のほか自動車メーカー、家電メーカーなどの企業サイトでコラムの執筆経験も。近年は中高年層の家事アドバイスや家庭でできるSDGsについての講演、SNSでの情報発信でも活動している。著書『シンプルライフの節約リスト』、『「節電女子」の野菜レシピ!』など。https://yanokikuno.jp/
“熱い鍋”が部屋を暑くする 夏を涼しく乗り切る手軽で安全な調理法
真夏日や猛暑日といった気温の日々が続いています。このような気温になると気をつけなくてはならないのが、熱中症対策です。とくにシニア層は暑さを感じづらくなると言われています。室内でエアコンを使用するのはもちろんのことですが、実は調理中にも気をつけたいものです。
コンロで火を使うことで室温を上げる原因にもなりますし、調理しているコンロ周りは、局地的に高温になってしまいます。
今回はガスコンロもIHコンロも使わないでできる調理法についてご紹介します。
「水で流すだけ」や「レンジで加熱するだけ」の麺類の活用
食欲のないときでも、するすると食べやすい麺類。ただ、たっぷりのお湯で茹でることを想像するだけで、暑さにうんざりしてしまいますよね。食べたいなと思ったときに便利なのが、コンロを使わずに食べられる製品です。水で数秒ほぐすだけで食べられるものや、電子レンジで加熱するだけで食べられる麺類が市販されています。
流水麺などは冷蔵保存で2週間以上は持つので、ストックしておくと暑い日にはコンロを使わずに食べられるので便利です。
保存のきく缶詰や冷凍食材も活用!
栄養バランスを考えると、麺類だけでなくさまざまな食材を積極的に食べる必要があります。そこでコンロを使わずに食べられる食材となると、缶詰や冷凍食材が簡単です。シニアのかたには、「缶詰や冷凍食材は手抜きだ」と思われる方もいるかもしれません。しかし、缶詰や冷凍はあくまで保存法の一つとして考えてみてはいかがでしょうか。
缶詰の魚類は高圧力で処理し、骨まで食べられるようになっているので、カルシウムの摂取という意味でもおすすめです。また近年は冷凍技術の進化により、さまざまな冷凍食材が増えています。とくに下処理済の野菜であれば、耐熱容器に入れて電子レンジで加熱するだけで食べられるので、野菜の摂取も簡単になります。
冷凍野菜は旬の栄養価の高い時期に、収穫して即瞬間冷凍させるため栄養の損失が少なく、流通を経て数日冷蔵庫で保管している野菜よりも高いと言っていいでしょう。
そうめんや蕎麦を食べるときも、冷凍のオクラや、いんげんなどを加えてみたり、サバ缶とカットトマト缶をあわせてつけだれに加えたりすることで栄養バランスもよくなります。
暑い夏こそ活用するべき電子レンジ調理器
実は近年、急激に商品数が増えているのが、電子レンジ調理器です。電子レンジで肉や魚が焼けるプレートや炊飯できるマグカップ。プチプライスショップでも、薄焼き卵や卵焼きができるものや、温野菜や焼売などを蒸せるスチーマー、麺類を茹でられる容器もあります。
麺類を茹でられる容器は、メーカーによって多少の差はありますが、麺類の指定されている茹で時間にプラス5~6分長く電子レンジで加熱することで、麺を茹でられます。
内子がザルになっているので、このままお湯を切り水で洗うことが可能。一人での食事なら、この容器のまま麺をテーブルに出せば洗い物も少なくて済みます。
焦がす心配がない炊飯器調理や電気調理鍋
電気調理鍋はとくにシニア層におすすめしたい家電の一つです。使い方が難しそうと思われるかもしれませんが、意外と覚えやすい作りになっています。セットしてしまえば後は離れていても大丈夫。焦がしたり、火事を起こす危険性も少なくなります。
電気調理鍋がない場合、炊飯器でも調理することが可能です。炊き込みご飯などが分かりやすい例ですね。それ以外にも鶏肉を乗せたタイの料理カオマンガイも炊飯器で簡単にできます。タイ料理と言うと「辛い?」と思われるかもしれませんが、カオマンガイは薄味で鶏肉の味がご飯に染み渡りシニア層にもおすすめのメニューです。
★炊飯器で作るカオマンガイ レシピ
(材料)2~3人分
・鶏もも肉 1枚
・お米 2合
・おろし生姜 小さじ2
・顆粒の鶏ガラスープの素 小さじ2
・水 2合炊飯分
<タレ>
・ごま油 小さじ2
・醤油 大さじ1
・砂糖 大さじ1
・刻みネギ 長ネギ1/2本分
・オイスターソース 小さじ2(なくてもいい)
(作り方)
1.鶏もも肉にフォークなどを使い穴を開ける
2.炊飯器に研いだ米と水を入れる
3.炊飯器に鶏もも肉、おろし生姜、鶏ガラスープの素を加える
4.いつも通りに炊飯する
5.炊きあがったら鶏肉を取り出し、食べやすい大きさにカットする
6.お皿にご飯を盛り付け、上に鶏肉を乗せて完成
たれを回しかけてもいいですし、鶏肉をつけながら食べるのもおすすめです。
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いつもとは少し違ったやり方や食材を使うだけで、調理中の暑さを我慢しなくてもいい暮らしができます。
まだまだ暑い日が続く今年の夏、是非お試しください。