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市毛良枝さん、アフリカ大陸最高峰のキリマンジャロや南アルプスを踏破!「山歩きが心や仕事への向き合い方、人間関係を前向きにした」

 加齢による体や心の衰えは避けられないもの。しかし、年を重ねても元気な人は、特別な食事法やハードな運動ではなく、ただ「歩いている」ことが分かった。俳優の市毛良枝さんは、体の変化に気づいてから本格的に山歩きを始めたという。市毛良枝さんが「歩き始めた」きっかけや長く続けられている理由を聞いた。

教えてくれた人

市毛良枝さん(74)/ 俳優、登山愛好家。日本トレッキング協会理事。2025年5月2〜4日に『音楽のある朗読会 あなたがいたから ~わたしの越路吹雪~』香川・徳島公演に出演

50才前後から老化が加速する

 国民生活センターの調査によると、65才以上の高齢者の事故のうち約8割が「家の中での事故」だ。年を重ねると歩き方の微妙なくせだけでなく、筋力が著しく低下した「フレイル」などが原因で、カーペットなどの小さな段差でもつまずきやすくなる。

 20才を境に筋肉が衰え始め、本格的に老化が加速するのが50才前後だと言われている。だからこそ、中高年から意識的に歩くことが重要なのだ。

 厚生労働省の基準では、1日あたり女性は8500歩、男性は9000歩が目標。約10分で1000歩、距離にして5~6kmほどを目指したいところだ。

 運動習慣がついていないと、慣れないうちは疲れが残ったり、翌日に筋肉痛を感じる人もいるだろう。だが、続けるほどに筋肉と骨が丈夫になり、どんどん歩けるようになる。

 無理なく楽しみながら、健康への一歩を踏み出そう。

「山歩き」に魅せられ、都会の街も人生も様変わり

 俳優の市毛良枝さんは、日本トレッキング協会の理事を務める登山愛好家。約35年前に初めての登山を経験して以来「山歩き」に魅せられ、アフリカ大陸最高峰のキリマンジャロ(標高5895m)や、長野、山梨、静岡にまたがり南北に3000m超級の山々が14も連なる南アルプスなどを踏破した、いわば「歩き」のプロフェッショナルだ。

「初めての登山は40才。年齢による体調の変化をなんとなく感じて“そろそろ何かしないといけないな”と思っていた頃でした。当時84才で永眠した父を担当してくれていた医師が、登山を趣味にしていたんです。父の死後に雑談の中で“今度山に行かれるときは、私も誘ってください”と言ったら、“いつならお暇かな?”って。それからひと月もせず、2泊3日の初登山に挑むことになりました。当時は登山の知識もなく、その医師も“ハイキング程度”と言っていたのですが、後になって登山経験者から“大変だったでしょう!?”と驚かれました」(市毛さん・以下同)

 それもそのはず、市毛さんが挑んだのは、北アルプス・燕岳(つばくろだけ/長野県・2763m)から常念岳(じょうねんだけ/長野県・2857m)への縦走。この山での経験が、市毛さんの人生を大きく変えた。

「雨が降りだしたかと思えば不意に晴れ、雲の合間に神々しいほどに輝く山々がのぞき、雲海に虹を背負った影が浮かぶブロッケン現象が現れ……まるで物語のような景色が次々と迎えてくれるんです。いろいろな山を歩いてきましたが、このときほどよくできた“台本”はありません。初めての登山は、見るものすべてに感動し続けているうちに終わっていました。お酒の席も、当時はやっていたディスコも、ゲームも、周りが楽しんでいることを心から好きになれなかった私が初めて“何をしても楽しい”と思えたのが、山を歩くことでした」

 それまでは運動習慣がまったくなく、早起きも苦手だったが、「細胞の一つひとつに刺激が入るような感覚」に夢中になり、上り下りの激しい山道を歩くのも苦ではなくなったという。

「もともと運動音痴だったのに、下山後の筋肉痛すら愛おしく思えるほど、山を歩くことにハマりました。いま、大病をせず健康でいられるのも、周囲から“足腰が強いですね”とほめてもらえるのも、すべて40代の頃から山を歩いていたおかげです」

体の不調を感じたときに「歩き始めて」よかった

 山歩きをきっかけに、興味のあることはなんでもチャレンジするようになった。ヨガやピラティスのほか、カヌー、カヤック、ダイビングのライセンスや船舶免許も取った。60才を過ぎてからは社交ダンスも始め、一生ものの友人が増えた。

「山を歩いて得た感動が、私の体だけでなく、心や仕事への向き合い方、人間関係まで、すべて健康に、前向きに変えてくれたんです。いま思えば、山を歩くことと出会ったのが体力のある20代、30代の頃だったら、立ち止まることなく歩けてしまい、足元の花に目を留めたりすることはなかったかもしれません。仕事の成果を求めるあまり、山に行く時間さえつくることはできなかったでしょう」

 年齢を重ね、体の不調を感じたときに“最初の一歩”を踏み出したことが、いまの自分をつくっていると、市毛さんは語る。

「いまでは、山ではなく都会の街中でも、『歩く』こと自体が楽しくて。お芝居の稽古や観劇の行き帰りもできるだけ歩いて、探検気分で寄り道や回り道をしたり、反対に近道を見つけると、それだけでうれしくなったりしています。昨秋、上野でクラシックコンサートを鑑賞したときは、最後に演奏されたドビュッシーの『月の光』を思い出しながら、中秋の名月を眺めて上野公園を歩いて1周しました。ただの行き帰りや移動も、歩くことを楽しめるようになったら、発見と感動の連続に変わったんです」

 自分の足で一歩ずつ、ただ歩く。もっとも単純な運動だからこそ、それを生きがいにできれば、体だけでなく心の健康も保たれる。

※女性セブン2025年5月1日号
https://josei7.com

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