シニア世代の山歩きの心得5か条「ヒートテックは着ないほうがいい」理由を登山愛好家が解説
総務省の調査によると、60~74才が行うスポーツの中で「登山・ハイキング」は2位にランクイン(1位はウオーキング)。シニア世代に「登山」が人気だが、日帰りで登れるような身近な低山でも、準備を怠ると体を痛めたり、転倒したり、危険をともなう。そこで生涯登山を目指した筋トレを提案する保健学博士の石田良恵さんと、登山YouTuberのかほさんに、山に登るための準備や心構えについて、教えてもらった。
山歩きをする前の準備や心得とは?
山登りのためにはまず、けがをしない体づくりが大切。そして、体力に少し自信がついたら、次に何をするべきか。大人気の登山YouTuberのかほさんが言う。
「計画を立てることですね。どの山にするのか、誰と行くのか、季節はいつにするかで準備も変わってきます。グループ登山者で、たまに『リーダーに任せて、私はついていくだけ』というかたがいますが、万が一はぐれたり、リーダーが負傷したらパニックを起こしかねません。必ず自分でも事前にルートをしっかり把握しておきましょう」(かほさん)
山ならではのルールも心に留めておきたい。生涯登山を目指した筋トレを提案する保健学博士の石田良恵さんが言う。
「山道ですれ違うときは、登りが優先です。よける際はうっかり滑落しないためにも、山肌寄りによけるのが決まりです。また、ホイッスルやヘッドライト、救急用具など、登山アイテムは各自で用意するのが基本。山でのトイレで使用したペーパーは、必ず持ち帰るようにしてください」(石田さん)
自然にも周囲にも迷惑をかけない、を心がけよう。
■山に入れば山に従え! 初心者こそ厳守したい5か条
【1】ルートを他人任せにしない
「どんなルートか、どんな登山道かを事前にチェック。動画などで、実際の雰囲気や景色を学習しておくといいですよ」(かほさん)
【2】同行者選びを慎重にする
「体力差があるとお互いに気を使うことも。なるべく同性同年代の知り合いがベター。“はじめまして同士”は、おすすめしません」(石田さん)
【3】靴はお店できちんと選ぶ
「登山靴は街歩き用の運動靴とは構造が違い、山に合わせた特徴があります。初心者のかたこそ慎重に選んでほしい」(かほさん)
【4】バックパックは軽くする
「同行者に配る用の食べ物まで持ち歩く人がいますが、ひざへの負担をなくすためにも荷物はなるべく軽くしましょう」(石田さん)
【5】ヒートテックは着ない
「脱ぎ着しやすく、汗が乾きやすい化繊素材のものを重ね着するのが大事。ヒートテックは汗が蒸発しにくいので避けて」(かほさん)
教えてくれた人
保健学博士 ・石田良恵さん/女子美術大学名誉教授、日本ウエルネススポーツ大学教授。著書に『一生、山に登るための体づくり』(ピークス)。全国で普及活動を行う。
登山YouTuber かほさん/登録者25万人超の『かほの登山日記』では、低山の楽しみ方から登山アイテム紹介、西欧州最高峰の登頂レポートなど登山情報を発信。
商品撮影協力/エルブレス御茶ノ水店
取材・文/辻本幸路 撮影/浅野剛、小澤義人(石田さん)
※女性セブン2022年12月1日号
https://josei7.com/
●三浦雄一郎さん(89才)の生き方「夢に挑戦すべき。やらない理由を探すのはやめる」