座骨神経痛が改善 荻原博子さんが推奨する“強制散歩”「愛犬との毎日の散歩で、健康もお金も舞い込んだ」
年を重ねると心身の活力が低下して日常生活に支障が出る「フレイル」になる可能性がある。そのままの状態が続くと、要介護へ移行するリスクが高まるため要注意だ。誰でも手軽にできる対策として「歩くこと」があげられる。経済ジャーナリストの荻原博子さんも散歩で体調を改善した一人だ。無理なく続けられる秘訣を教えてもらった。

教えてくれた人
荻原博子さん(70)/経済ジャーナリスト。医師の鎌田實さんとの共著『お金が貯まる健康習慣』など、著書多数 高林孝光さん/柔道整復師・アスリートゴリラ鍼灸接骨院院長、
「歩く」だけで全身が若返る
全身の筋肉のうち、7割は下半身、すなわち脚にあるとされる。つまり、「歩く」ことこそ、もっとも簡単かつ効率的に筋肉を鍛え、いつまでも元気で長生きできる体と心をつくってくれる、最高のトレーニング方法だ。その効果は知られている以上に大きく、特に50代以上は「ただ歩く」ことをより意識すべき。
柔道整復師でアスリートゴリラ鍼灸接骨院院長の高林孝光さんが解説する。
「人間の筋力のピークは20才で、それを過ぎると何もしなければ筋肉はどんどん落ちていく。筋肉で自分の体を支えられなくなると、その分の負担は骨や関節にかかり、ひざを痛めたり、骨粗しょう症などを招くこともあります。痛みから歩く頻度が減ることでさらに筋肉が落ち、骨が弱り……と、悪循環に陥ることもあるでしょう」
20才を境に筋肉が衰え始め、本格的に老化が加速するのが50才前後だと、高林さんは言う。だからこそ、中高年から意識的に歩くことが重要なのだ。
「何もしなければ衰える一方ですが、積極的に歩いて体を動かせば、筋肉は何才になってもつきます」(高林さん・以下同)
歩き始めるのは、何才からでも遅くない。そうして筋肉がつけば、“若返りホルモン”が増える。
「歩くことでかかとの骨に刺激が入ると『オステオカルシン』というホルモンが分泌されます。これは筋力や骨密度の向上に役立つほか、脳に作用して記憶力をアップさせ、認知機能の改善にも役立つ。さらに、血行を促進して心筋梗塞や高血圧などの予防にもつながります」
「手を振って歩く」だけで健康効果が激増!
歩くとき、足をかかとから地面に下ろすことを意識すれば、より効果的。
「しっかり歩いて体が疲れれば、夜の寝つきと、睡眠の質がよくなります。すると眠っている間に分泌される『成長ホルモン』の量が増える。これにより、筋肉量の増加や代謝の活性化、肌や骨の健康維持、免疫力アップ、心の安定など、さまざまな効果が得られます」
厚生労働省の基準では、1日あたり女性は8500歩、男性は9000歩が目標。約10分で1000歩、距離にして5~6kmほどを目指そう。
「歩くときに大きく前後に手を振ると、足を大きく踏み出すことにつながるので、より効果が高まります。腰や背中もよく動いて全身の血流がよくなり、冷えや腰痛の改善になる。腸管が刺激され、便秘の解消にも効果的です。慣れてきたら、時々後ろ歩きを加えてみてもいい。大臀(だいでん)筋が鍛えられることで、座骨神経痛や腰痛予防の効果が得られます」
運動習慣がついていないと、慣れないうちは疲れが残ったり、翌日に筋肉痛を感じる人もいるだろう。だが、続けるほどに筋肉と骨が丈夫になり、どんどん歩けるようになる。
「毎日歩いているうちに、疲れも筋肉痛も減ってきます。はじめのうちは距離やペースを落とし、無理がないように調節することで続けられる。いちばん大切なのは、景色や会話を楽しみながら歩くこと」
無理なく楽しみながら、健康への一歩を踏み出そう。
荻原博子さん「朝夕2回の犬の散歩が健康もお金も連れてくる」
経済ジャーナリストとしてさまざまなメディアで活躍する荻原博子さんは、5年ほど前に突然、座骨神経痛に見舞われた。
「病院に行くと、“筋力が落ちているからでしょう”と言われました。仕事柄、座りっぱなしの時間が長く、当時はいまより体重があったので、自分の重さを支えられなくなっていたんでしょうね」(荻原さん・以下同)
そこで荻原さんが意識したのが、「毎日2回の散歩」だった。
「朝に1時間、夕方に30分間。続けているうちに痛みがなくなり、体重も減って体がスッキリしました。
わが家では30年前から犬を飼っていて、もともと朝5時からの散歩が習慣だったんです。座骨神経痛になったのをきっかけに、散歩の時間をより意識的に増やすようになりました」
雨の日も風の日も、犬がいると毎朝必ず散歩に行かなければいけない。
「その“強制感”がありがたいですね。“今日は行きたくないな”“あともう少し寝ていたいのに”という日でも、犬はおかまいなしに起こしてくれますから。どんなに気分が乗らない日でも、犬と一緒に歩き始めれば、気分がよくなるもの。夏でも早朝は涼しくて気持ちがいいし、春や秋は花々や鳥の声でなごやかな気持ちになれる。真冬だって、犬と一緒なら大丈夫。雪でも降れば、大はしゃぎですから(笑い)。どんな日でも、“ああ、今日も外に出て、歩いてよかった”と思えるんです。楽しくて、体も健康になって、いいことずくめですね」
荻原さんは「いつまでも健康で長生きすれば、節約にもなる」と語る。
「毎日の散歩にお金はかかりません。そうして元気でいられれば、余計な医療費がかからなくなる。最近では、横浜市や大阪市などが“歩くだけでポイントが貯まる”サービスを導入しています。専用アプリか指定の歩数計で参加すると、歩数に応じたポイントが付与され、ポイントに応じて電子マネーや商品券などが当たるんです」
最近は、できるだけ大股で歩くことを心がけているという荻原さん。
「歩幅を広くすることで、より効果的に筋肉を鍛えられる上、認知症リスクを下げられると聞き、実践しています。定年後も毎日欠かさず散歩をしていた父や祖父は100才近くまで健康に長生きしました。私も、毎日続けることで、できるだけ長く健康を維持したいですね」
写真/PIXTA
※女性セブン2025年5月1日号
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