「母爆発、その後。ふたりの雑炊」NO老いるLIFE~母と娘のほんわか口福日誌~第7回
漫画家&栄養士のうえだのぶさんは、山口県で慢性膵炎を抱える母とふたり暮らし。のぶさんは、母のためを思って、慢性膵炎の対処法である「脂質制限」に奮闘。しかし、友人たちと脂質たっぷりショートケーキを食べる“母の乱”を目の当たりにし――。思いがすれ違ってしまった母娘、一体どうなるのか?
これからもふたり
「これからどうしよう」
仕事部屋でぼんやり座っていた私は、ふと母とふたり暮らしになる前の日々を思い出していました。
元々は6人家族でした。父、母、私と弟、父方の祖父母です。
弟は大学進学で家を出て、
その後、祖父が病気で他界し、父に病が発覚。
認知症を患っていた祖母は、父の入院を機に施設に入り、まもなく父が他界。
そして祖母もこの世を去り、気付いたら、私と母のふたりになっていました。
祖母は、家にいた当時は気性が荒く、徘徊もあったので母も私も目が離せず、祖父や父の看病と重なった時は本当に毎日が「修羅場」でした。
「なんでウチだけ」
当時の私の心の中には、確かに「鬼」がいました。
あの頃に比べたら――。
母の乱が可笑しく思え、気持ちがスッと楽になりました。
「なんでウチだけ」と嘆いた辛い日々が「助け」になるなんて皮肉です。
でも実際、この経験がこの先起きる様々な出来事を乗り越える力になるのです。
物事は時々、不思議な繋がり方をします。
「これから」がどんなに辛くても必ず終わりは来る。私はそれを知っている。
穏やかな気持ちになって部屋を出ました。
居間に行くと母がしょんぼりちんまり座っていました。
「晩ごはん、雑炊でいい?」
「うん」
ふたりとも何も言わずに、温かい雑炊を食べました。
どちらも謝りませんでした。
NOオイルMemo「やらかしちゃった時の雑炊」
雑炊は、慢性膵炎の母が「ちょっと脂質を摂りすぎちゃった」という時の定番メニューです。
消化が良くなるように野菜は柔らかく煮て薄味で仕上げます。たんぱく質をちょっと足したいので、おかずには「はんぺん」を。
はんぺんは、私の地元山口県ではあまりポピュラーではありませんが、ほぼNOオイルで魚肉と山芋が原料というところが気に入っています。柔らかいので高齢者向きですよね。
実物の写真&レシピはインスタをご覧ください♪
絵と文
漫画家・うえだのぶ
イラストレーター・漫画家。57才。山口県で80才の母とふたり暮らし。40代で地元の短大に入学し、栄養士の資格を取得。地元山口県を拠点に、漫画を利用した食育や時短調理などの栄養講座の講師なども務めている。
ホームページ:uenobu.com アメブロ:https://ameblo.jp/abareinupoti/ インスタ: https://www.instagram.com/nobuueda/?hl=ja