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シニア世代に人気のご意見番・森ママ(80才)の仕事哲学「ピンチのときに助けてくれる人を信じて突き進んできた」

 インスタグラムで日々の生活やファッションを投稿し、シニア世代を中心に支持を得ている“森ママ”こと森桂子さん(80才)。オシャレでエレガントな森ママがこれまでの人生で懸命に取り組んできた「仕事」について、振り返って今思うこととは【Vol.2/全3回】。

森桂子さん/プロフィール

森桂子さん/1945年横浜生まれ、80才。2人の子供を育てながらバー経営、ペットのトリミングサロン、リサイクルショップを開業・運営するなど事業家として活躍。化粧品や健康食品の販売営業にも携わり、現在は横浜・本牧でセレクトショップ「ケセランパサラン」オーナー。76才でインスタグラムを始め“森ママ”の愛称で人気に。愛犬・トイプードルの美空ちゃん(16才)と暮らす。m.misora5

80才の人気インフルエンサーの「仕事哲学」

――これまでどのようなお仕事をされてきたのですか。

「経営者だった夫と結婚したのが20才で長男を21才、長女を23才で出産し、ずっと専業主婦として家庭を支えていました。ところが30代前半で夫と離婚してからは生活が一変しました。

 しばらくは夫の家業を手伝っていたのですが、あるとき義理の母親から「あなたいくら必要なの?」って聞かれたことがあったんだけど、「お金はいりません」と言ってしまってね、今考えると慰謝料っていうの? もらっておけばよかったわよね。

 夫の家はわりと裕福で、当時付き合っていた友人たちと別荘に遊びに行ったりして華やかな暮らしでしたね。離婚してからは手のひらを返すように人が離れていった。あのときはこのままじゃいけないって感じていたわよね。

自立への第一歩は「バーの経営」

――お子さんを育てるためにどんなお仕事を?

 私には異母きょうだい(妹)がいるのですが、あるとき彼女から『バーをやるから手伝ってくれない?』と誘われて。子供を育てて行かなきゃならないし、お金も必要だったからやることにしました。カウンターだけの小さなお店でしたが、料理や掃除を担当してね。今思えばそれが私の自立への第一歩。

 店が軌道に乗ってきたところで、彼女が店を辞めたいと言い出して…。あのときは私、胃潰瘍になったけど、常連さんや店を大事に思ってくださるお客さんも増えてきていたので、私がそのバーを引き継ぐことにしたんです。

 元々お酒が飲めない体質でしたし、夜の仕事はなかなか大変。車も持っていないから食材を仕入れて店まで雨の日も雪の日も歩いて通っていました。家に帰ると子どもたちは寝ているでしょう。なんだか切なくて最初の3か月ぐらいは毎日帰り道に泣いていたわよね。

 お客さんには恵まれていた。女ひとりで子育てしているから心配もしてくださったんでしょうね。常連さんも増えてきて、経営は安定していきました。

 でも、夜の仕事は生きるため、決して好きなものではありませんでしたから…。ずっと別の道に進みたいと考えていました。動物が好きだったからバーの仕事をしながら、昼間は学校に行ってペットトリマーの資格を取ったんですよ。

新たな事業に挑戦した40代、そして50代

――トリマーとして新たな事業を始められたのでしょうか?

 トリマーの資格は取ったけれど、どうするか迷っていたら、常連さんから『ペット関連のお店をやってみたら?』と言われて、そうかと。

 だけど事業を始めるといってもシングルマザーで小さなバーをやっているという経歴ですから、銀行からお金を貸りるのも大変でしたね…。

 そんな私を見ていたお客さんが色々と応援してくださって。不動産関係や建築関係の仕事をしているかたたちに協力していただいて、いい物件が見つかった。内装も素敵な店ができあがったんです。40才のとき。ペットのトリミングサロンを始めました。

 振り返ってみれば、人生のピンチを乗り越えるたびに感じてきたのは、「いいときより悪いときこそ人間性が表れる。順調なときに近づいてくる人より、困っているときに助けくれた人こそ、大切にしなければならないってこと。

 当初5000万円借り入れましたけど、時代が良かったこともあって借金は順調に返済できて10年でいくつか店舗も増やしました。今は店の規模を縮小して娘が経営を引き継いでくれています。息子も事業をやっていて、子供たちも安泰。50代に入ったら少しのんびりしようかと思っていたんです。

――50代から新たな仕事にチャレンジされたのですか?

 50才のとき、知り合いから化粧品と健康食品の販売の仕事をしてみないかと誘われ、会社のセミナーに参加してみたんです。そこで働いている女性たちが皆さんエネルギーに満ち溢れていて眩しかった。

「一流の人たちがここにいる」って、世界が輝いて見えたの。化粧品やサプリメントも、実際に自分で使ってみてとてもいいものだと思えたから、これなら人にすすめられると思った。

 やると決めてからは販売の仕事に邁進して、仕事は頑張った分だけ成果が出ました。営業を通じて各界のトップやそのご家族とも出会うことができて、すごく人間的に成長した時期でしたね。50代後半まで第一線で走り続けました。販売の仕事は今でも細々と続けているんです。

50代後半で見た白い蛇の夢

――10年単位で新たなことにチャレンジされていますね。

 そうですね。人との出会いやご縁で、新しい道が開けていくような感じですね。今でもはっきり覚えているんだけど、50代後半のとき、大きな白い蛇の夢を見たのよ(笑い)。そのときの私は、次にやるならリサイクルショップだなって思っていたんです。知人の住職さんにそれを話したら、『すべて整っている。やりなさい』と言われたの。

 白い蛇の夢は縁起が良いって聞いたことがあるから、それじゃあやってみるかと。さて資金をどうするかってときに、販売員時代に知り合った仲間たちが、「森さんがやるなら応援する」と何人かで融資をしてくれたのね。本当に私は人に恵まれていると思います。58才のとき、40坪ほどのスペースでリサイクルショップをはじめました。

 夢のお告げとはいわないけどね、経営は順調でした。リサイクルショップの片隅にはちょっとしたカフェを併設して、そこがまた人が集まってくる場所になったんです。

 2023年には今の形(セレクトショップ)にして、好きなものに囲まれているわよね。これまで、いつも人に助けられてきたから、私も誰かの手助けをしたいと思っているんです。

取材・文/廉屋友美乃

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