医師も実践!東城百合子さんが確立した『自然療法』|薬に頼らず体を治す“手当て”とは?痛みや熱に「こんにゃく」や「豆腐」を対処する方法
自身の闘病体験をきっかけに自然食を中心とする「自然療法」を確立し、生涯を人々の健康のために尽くし、2020年に94才でその生命を全うしたひとりの女性に、いま注目が集まっている。
累計100万部のロングセラー『家庭でできる自然療法』の著者
彼女の名前は、東城百合子さん。
自身の闘病時に実践した食生活や療養法を丁寧にまとめた著書『家庭でできる自然療法』は、1978年に刊行されて以来、累計100万部を突破したロングセラーであり、出版から半世紀近く経ったいまでもアマゾンの「売れ筋ランキング」の常連だ。
医療関係者も取り入れている、東城さんの自然療法とはどんなものなのか。
あしかりクリニック院長の芦刈伊世子さんは、NPO法人日本綜合医学会で知り合った漢方医から東城さんの「自然療法」を学ぶことをすすめられ、診察にも生かしている。
精神・神経科の医師として臨床の現場に立つ芦刈さんは、うつや更年期障害、軽度認知障害など、投薬だけでは簡単に治療ができない病気を抱える患者にも寄り添ってきた。
「薬を処方しても症状がおさまらない患者さんの姿を見るうちに、ケミカル(化学的)な治療だけでは不充分であることを痛感して、自然療法にたどり着きました。まずは漢方を含めた東洋医学を治療に取り入れようと思い、勉強していたときに、『そもそも腸内フローラがしっかりしていないと、漢方をのんでも効かない』と知って、薬や治療以前に食事によって健康な体が作られていなければ、医療を施しても意味がないのだと理解しました。
→いま改めて注目が集まる伝説の自然食研究家東城百合子さんの“人生を変える自然療法”とは?「食を制するは人生をも制す」
「自然を知れば、台所にあるものが薬に変わる」
翻っていえば、栄養素が多く、体に害の少ない玄米や発酵食品、魚を中心に食べて腸内環境を良好に保っていれば、同じ薬をのんでも効き目は格段によくなり、健康になるということ。食べ物こそが何よりの薬であり、何をどう調理して食卓にのせるかが治療の第一歩であるという東城先生の理論は、臨床現場でも取り入れています」(芦刈さん)
長年「家庭でできる自然療法」を片手に自然療法に取り組んできたというフードコーディネーターの根本きこさんも「自然療法を知れば、台所にあるものが薬に変わる」と声を揃える。
「特に“貧血や胃腸の不調を取り除く”“血行がよくなり疲れが取れる”と紹介されている梅醤(うめしょう)番茶は私にとって万能薬。梅肉に番茶としょうゆを混ぜたもので、貧血や胃痛だけでなく、風邪気味で調子がいまいち、というときにも飲みます。私にとって、梅干しは薬です。自然療法を始めるといっても、気合を入れて食材を買い揃える必要はない。まずは普段キッチンで使っている化学合成された調味料を、自然の製法で作られた本物に置き換えてみましょう。それだけで、1食1食が“薬”になり日々健康に近づいていくのではないでしょうか。そういった意味で私にとって東城さんの自然療法は予防という観点でも“家庭の医学”として頼れる存在です」(根本さん・以下同)
特に梅干しやお茶を使った“薬”は取り入れやすい。まずは、「梅干し番茶」から試してみてほしい。
■梅干し番茶の作り方
【作り方】梅干し1個に熱い番茶1杯分(150㏄)を入れ、種だけ残して飲む。