医師も実践!東城百合子さんが確立した『自然療法』|薬に頼らず体を治す“手当て”とは?痛みや熱に「こんにゃく」や「豆腐」を対処する方法
東城さんは、薬に頼らないで体を治す「手当て」という概念も生み出した。こんにゃくやしょうがなど、自然由来の食物を使って自ら行う療法のことで、自然食と併せて行うと「治療効果が上がる」とされている。なかでも多くの実践者がいるのは、「こんにゃく湿布」だ。
「こんにゃくをしっかり茹でて、手ぬぐいなどで巻いたものを、温湿布として使います。腰やお腹など調子が悪い患部にのせると、じんわり体の芯から温まって症状が和らぎます」
東城さんはこれを「胃腸病や高血圧、腎臓病、がん、糖尿病などあらゆる疾患に大変いい全身の強壮法」と紹介している。
オールドスタイルでありながら、副作用も添加物もない自然由来の療法であることから美容家の中にもファンが少なくなく、インスタグラムでその様子を公開するインフルエンサーもいる。
70才にしてフルタイムで現役の歯科医として働く、鈴木歯科医院(千葉県東金市)の鈴木能文さんも、体調が悪いときは、こんにゃく湿布をよく使っていたと話す。
「私なりの解釈ですが、解毒作用を持つ臓器である肝臓と腎臓を直接温めて、“サウナ状態”にして毒素を毛穴から出すので、体にいいのだと思います。使い捨てカイロや湯たんぽと違って食材だからそれ自体に湿り気もあるため、水蒸気で毛穴が開く。解毒作用がある部位の皮膚から毒素や疲労物質が出ることで、体全体の健康につながっていくと考えられます。がん細胞も温熱で死滅するといいますが、体の大事な部位を温めると症状を改善する効果があります」(鈴木さん)
■臓器を温める「こんにゃく湿布」のやり方
【1】鍋に水をたっぷり張り、沸騰したらこんにゃくを2つ入れて、10分間茹でる。
【2】フェイスタオルを二つ折りにし、こんにゃくを斜めに置く。手前・右・左を折り、向こう側に転がしながらこんにゃくを包み込む。もう1つのこんにゃくも同様に包む。2つともタオルは三重にする。
【3】タオルでくるんだこんにゃくを肝臓のある右脇腹と下腹に当てる。バスタオルなどで動かないように固定して30分ほど温め、その後1分間冷やしたタオルを当てる。
【4】うつぶせになり、裏側から腎臓を温める。こんにゃくが冷えてくるので、タオルを1枚取って当てるといい。前面と同様にバスタオルなどで動かないように固定して30分ほど温め、その後1分間冷やしたタオルを当てる。
【5】最後に、半分の大きさの冷たいこんにゃくまたは冷やしたタオルをすい臓に10分間当てる。
里いもや豆腐などをつぶして患部に当てる「パスター」
手当てには里いもやびわの葉、豆腐などの食材をつぶして木綿の布に包み、患部に当てる「パスター」という方法もある。
「里いもで作る『いもパスター』は、炎症やねんざ、打撲、のどの痛みなどの特効薬として紹介されており、私も乳腺炎になったとき、これを貼って治したことがあります。熱がじんわり体に入ってくる感覚が心地よかったです」(根本さん・以下同)
パスターの中でもっとも取り入れやすいのは解熱作用がある豆腐で作る「豆腐パスター」だろう。熱が出たときに頭に貼って使うことができる。大豆由来のみそを使った「みそパスター」は、へその部分に当てると便秘に効くといわれている。あらゆる「パスター」の中でも根本さんが特に頼りにしているのは、すりおろしたびわの葉としょうがで作る「びわの生葉パスター」の効用だ。
「びわの生葉パスターは東城さんが『これで子宮がんの痛みに対峙した人もいる』と紹介するほど痛みへの効果がある。そもそもびわの葉は殺菌作用や鎮痛作用があり、いざというときに本当に頼りになる存在です。パスターにしなくても、炎症を起こしている部位に生葉を直接貼るだけでも、腫れやかゆみ、痛みがおさまります。実際に私も肌に発疹ができたときは、びわの葉を貼って対処しています」
■熱と痛みが和らぐ「豆腐パスタ―」
【1】水切りした木綿豆腐をすりつぶす。
【2】豆腐と同量の小麦粉と1割の量のおろししょうがを入れ、混ぜ合わせる。
【3】木綿の布か和紙を広げ、そこに【2】を1cmくらいの厚さで伸ばし、飛び出さないように包み込む。
【4】腫れていたり熱を持っていたりする部分にのせる。高熱の場合、37℃台になったら剝がす。
うがいや消毒に使える「びわ焼酎」
びわの葉を刻んで焼酎に漬け込んだ「びわ焼酎」も、日常生活で利用頻度が高い手当てのひとつだ。
東城さんが主宰していた「あなたと健康料理教室」の料理教室を受講して教えを受け、現在は神奈川・葉山で料理教室を開催する佐藤市子さんもこう語る。
「うがいや消毒にも使えるため、新型コロナウイルスが流行していたときは大活躍でした。びわの葉や種には、細胞を生き返らせるという成分『アミグダリン』が含まれている。やけどをしたときも患部に吹きかけています」