膝の違和感「歩くとポキポキ音がする」もしかしてコロナ膝?症状チェック【医師監修】
外出は週に数回の買い出しだけで、洗濯物の量も減った。出不精な人にとっては、この自粛生活もさほど苦ではなかったかもしれない。だが、その反動は思わぬところでやってくる。朝起きて立ち上がった瞬間、トイレに立ったとき…その痛みこそが自粛生活の副作用だ。ポキポキ音が鳴る 膝がふわふわ、力が入りづらい、足で踏ん張れない――あなたのその痛みはコロナ膝(ひざ)かもしれません。
関節が固まって動かせなくなる
4月、ヘルスケア製品などを取り扱うオムロン ヘルスケアが40~70代を対象に行った調査によると、2人に1人が「コロナ前と比べると、座っている時間が増えた」と回答。さらに、18.3%もの人が「膝に違和感がある」と答えた。具体的には、痛みのほかに、「動かすとポキポキと音がする」「膝がふわふわする感じがある」「膝が固まった感じがある」「膝や脚に力が入りづらい」と多岐にわたる。
京都大学大学院医学研究科教授の青山朋樹さんは、コロナ禍によって起こったこうした膝の違和感を「コロナ膝」と名づける。
「コロナ膝は、テレワークなどで座っている時間が長いことで起こります。関節には、骨と骨を袋のように包む『関節包(かんせつほう)』という膜があり、これが伸び縮みすることで関節が柔軟に動きます。ところが、座りっぱなしでいるなど、体を動かさないでいると、関節包はどんどん硬くなる。そして、いざ動かそうとしたときに痛みや違和感が出るのです」(青山さん・以下同)
もともと運動習慣がある人は、コロナ禍でも時間や場所を見つけて運動を続ける傾向にある。一方、体を動かす習慣がない人は、外出自粛にこれ幸いと、一日中部屋で座ったまま過ごしていることが多く、コロナ膝になりやすい。
青山さんは、自粛生活で体を動かす習慣がなくなると、20代でもコロナ膝になると話す。
「若い人は、膝に痛みが出ることは少ない。なんとなく膝に違和感を感じたり、力が入りにくくなったり、音がしたりするのが大半です。一方、高齢者はコロナ以前から膝が悪い場合、痛みがより強くなったり、階段の上り下りができなくなることもあります」
放置すれば転倒、寝たきりの可能性も
高齢者の場合、もともと膝に痛みがなく、日頃から体を動かす習慣のある人でも、自粛生活で運動習慣が極端に減ると、コロナ膝になることも少なくないという。
布団やベッドから起きるときなどに痛みがあると、家の中でもどんどん動くのがおっくうになってさらに筋肉が弱り、引きこもりがちになることもある。万が一転倒すれば寝たきりになるリスクも避けられないため、「たかが膝の違和感」と、見て見ぬふりはできない。
「コロナ膝が悪化すると、将来的に変形性膝関節症につながる恐れがあります。関節包が固くなって筋肉が衰えると、膝の骨を充分に支えられなくなって軟骨がすり減り、痛みが出て歩きにくくなる病気です。人工膝関節置換術という手術を受ければ、問題なく歩けるようになります」
青山さんは、コロナ膝だからといって、すぐに変形性膝関節症になるわけではないと話す。
「1~2年程度で発症するものではないので、不安になりすぎないでほしい。しかし、変形性膝関節症は、40才以上の女性の60%が発症しているといわれています。閉経によって女性ホルモンが減少すると、どうしても骨が弱くなり、軟骨がダメージを受けやすくなる。コロナ膝を抱えていると、60代に多いこの病気に50代でかかるなど、発症が早まる可能性があるということです」
すると、O脚傾向のある日本人は、膝が内側に曲がり、どんどん歩きにくくなっていくという。日頃から膝に負担がかかりやすい肥満ぎみの人は、より発症するリスクが高いので注意したい。
とはいえ、すでに膝に痛みがあるなら、急にジョギングなどの激しい運動を行ってはいけない。膝に負荷がかかれば痛みがひどくなりかねないからだ。
「まずは、コロナ膝になりかけていないか、チェックリストを使って確かめてください。1つでも当てはまるものがあれば、コロナ膝になっている可能性があります。当てはまる項目が多かったり、痛みがひどい場合は、医療機関を受診してください」
あなたも「コロナ膝」?チェックリスト
若者や運動習慣がある人でもコロナ膝になる可能性はある。あなたの症状をチェックしてみて。
□ 歩いたり膝を動かしたりすると、ポキポキ音がする
□ 膝まわりが固まっている感覚がある
□ 膝がふわふわする感覚がある
□ 立ち上がる際などに、膝に力が入りにくい
□ 膝に、いままでと何か違う感覚がある
□ 階段の上り下りのとき、脚を動かしづらい
□ 足の踏ん張りがきかない
1つでも当てはまれば、コロナ膝の可能性あり。痛みなどの症状がある場合は医療機関へ。
※女性セブン2021年10月21日号
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