40代から怖い膝の痛み|膝痛を楽にする自宅でできるリハビリ動画
最近、膝が痛む。家にこもりきりの生活で体重も増え、いきなりウオーキングしたら膝がイテテテ…。40代から不安な膝の痛みの予防法や膝痛のときのリハビリについて、理学療法士の生野達也さんに聞いた。
40代記者ウオーキングで膝が痛い…これって?
コロナの影響でスポーツジムが閉鎖していたので、記者(40代)は、久しぶりにウオーキングを始めた。しかし張り切って歩いた日の翌朝は必ず、膝の内側がジンジン、シクシク…。若いときには感じなかった痛み。
自粛期間中で活動量が減ってまず体重が増えた。椅子に座りっぱなしなので日中足を動かさない。そこへいきなりウオーキングで膝に負担をかけたのがマズかった。
要介護の入り口は膝の痛み、関節疾患
”膝の痛み”について調べてみると、介護の原因となる疾患は、要支援1で「関節疾患」がトップ※。要介護の入り口は、まさに膝の痛みかも…。
※厚生労働省平成28年「要介護度別にみた介護が必要となった主な原因」https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa16/dl/05.pdf
関節疾患の中でも「変形性膝関節症」(へんけいせいしつかんせつしょう)は女性に多く、早ければ30代から、40代・50代は確実に膝の老化が進行しているという。
少しかがんだだけで膝がポキポキ鳴るのも膝の病気の前ぶれらしい(介護ポストセブン「膝がポキポキ、ゴリゴリ鳴るのは関節トラブル、病気のサインかも」記事参照→膝がポキポキ、ゴリゴリ鳴るのは関節トラブル、病気のサインかも)。
【ここまでのポイント】要介護の入り口は膝の痛み“関節疾患”
要介護にならないために、いくつになっても膝痛なく軽快に歩けるように、膝が痛いときに気を付けるべきこと、変形性膝関節症にならないための膝痛予防などについて、リハビリの専門家である理学療法士に聞いた。
膝の痛みの場所や原因を理学療法士に聞いた
「膝の痛みを抱えている患者さんを診ていると、長年の誤った膝の使い方や癖が原因になっていることが多いと感じますね」
こう語るのは、脳梗塞をはじめとする患者さんに多くのリハビリを提案している動きのコツ研究所リハビリセンターの理学療法士、生野達也さんだ。
「膝の内側が痛い人は、『O脚(ガニ股)で足を使う癖』があります。
また、膝の外側が痛い人は、『X足(膝の内側がくっつく)で脚を使う癖』があることが多いんです。
それぞれの癖がついたまま歩いたり、家事をしたり、階段を上ったり、長年こうした癖を続けることによって、筋肉の使い方に偏りが起き、関節にも負担がかかって膝に痛みが出てしまうと考えられます」
これらの癖を直すためには、まず簡単なリハビリから始めるといいそうだ。
【ここまでのポイント】膝痛は長年の膝の使い方や癖が原因に!
痛いときや予防に膝の負担少ないリハビリを
膝の痛みを防ぐため、膝が痛いときのリハビリには、まず「立ち上がる」ときの動きが重要だと生野さんは強調する。
「膝痛を抱える多くの人が、『歩く時に痛みが出るから、正しい歩き方を知りたい』と考え、歩くリハビリを始めてしまうのですが、これは間違い。
まずは、『歩く』よりも膝に負担がかからず、簡単な『立ち上がる』という動作から始めるのがおすすめです。
リハビリの意味を知ろう
リハビリの目的の1つに『正しい運動を学習する』ことが挙げられます。小学校や中学校の基礎学力がないのに、大学受験に合格することはできません。
難しい勉強をするためには、簡単な勉強から始めるのと同じ。膝の負担が大きく、動きが複雑な『歩き』や『走る』といった動きを学ぶためには、より簡単な『立ち上がる』動きから取り組むことで、リハビリが進みやすく、痛みも楽になりやすいと言えます」(生野さん、以下同)
【ここまでのポイント】膝痛には歩くより「立ち上がり」のリハビリから!
【動画で簡単!】膝痛のリハビリ
※介護ポストセブンYouTubeチャンネルより。動画協力・提供/動きのコツ研究所。動画内には「脳梗塞」と表記されているが、それ以外の人にもできるリハビリとなっている。
「膝痛を抱えている人は、まずは『立ち上がり』の動きを練習しましょう。膝痛の予防にも役立ちます」
脳梗塞や脳卒中の後遺症のためのリハビリ動画をYouTubeにも数多く投稿している生野さんが、簡単にできる膝痛のためのリハビリを教えてくれた。
動画で詳しく解説しているが、膝痛のときのリハビリのポイントをまとめると、以下のようになる。
膝痛のときのリハビリのやり方ポイント
椅子に座り片手をテーブルにのせ、なるべく背筋はまっすぐのまま、お辞儀をする。このとき下記のチェックポイントを確認してみよう。
□左右の足裏が床にしっかりついているか?
□足の裏は内側か外側が浮いていないか?
□左右の太ももの裏とお尻が椅子の座面にしっかりついているか?
□太ももの裏やお尻が左右どちらかが浮いていないか?
「膝に痛みがないほうの足裏はしっかり床についいるはず。しかし、痛みがあるほうの足裏はどこかが浮いて力がしっかり入らなくなっている可能性があります。
膝の内側が痛い人は → 足の親指側が浮き気味で小指側に体重がかかりすぎているかもしれません。
膝の外側が痛い人は → 足の小指側が浮き気味で親指側に体重がかかっていることが多いんです。
同様に、椅子に触れている太ももの裏やお尻も、膝に痛みが出ているほうは浮いていることがあります。
座った状態で足の裏と太もも、お尻に左右均等に体重がかかっていることが大事。床や椅子の座面にべったりとついている状態で、ゆっくりと立ち上がってみましょう」
【ここまでのポイント】両方の足裏は床に、太ももとお尻は椅子にべったりつけて、ゆっくり立ち上がる
膝痛のリハビリはいつやるのが効果的?
「動きの癖を直すまでの時間は個人差がありますが、始めは意識して練習することで徐々に脳が覚えていき、だんだん無意識にできるようになっていきます。
長年染み付いた癖を直すためには、はじめは集中してたくさん練習するのが効果的。
テレビを見ながら家事をしながらではなく、最初は集中して練習する時間を設け、動きが身について膝の痛みが取れてきたら、椅子から立ち上がる時など生活の中で取り入れていくといいでしょう」
ただし、痛みが強いときは専門の医師に相談を。リハビリは続けてやり過ぎると膝に負荷がかかるため、休むことも必要だという。
「休んだ後も痛みが続くのは、誤った癖が出たままになっている可能性があるので、もう一度動画を見て動きを確認してください。痛みの出ない体の使い方を繰り返して覚えていきましょう」
教えてくれた人
理学療法士・生野達也さん
動きのコツ研究所リハビリセンター所属https://ugoki-no-kotsu.com/。患者さんの悩みに合わせたオーダーメイドのリハビリを提供。脳梗塞による麻痺など多くのリハビリを動画でも発信している。また、新型コロナによるデイサービス閉鎖などにより、リハビリを受けられなくなってしまった人に向け、さまざまなリハビリ動画の無料提供。動画を見られない人には、DVD版の無償配布も行っている。脳卒中当事者の外出自粛による「コロナうつ」予防を目的とした『オンライン脳卒中当事者会支援』もスタート(7月9日に開催予定、初回は無料、会費1000円)。
■動きのコツ研究所リハビリセンター 電話0798-32-8502
●介護リハビリを無料で! デイサービス閉鎖で広がるコロナ支援の輪