話題の「カエル足エクササイズ」のやり方 お腹まわりや脚を引き締め、変形性膝関節症の予防にも
ぽっこりお腹に腰まわりの浮き輪肉、むくんだ太もも…。長引く自粛生活で座る時間が増え、加えて相変わらずの運動不足の結果、体が緩(ゆる)み、ぽっちゃりもマックスに!「秋こそ痩(や)せよう!」と思っているあなたに、骨の歪(ゆが)みを矯正しながら筋肉を強化できる、カエル足エクササイズをおすすめする!
お尻と内ももの筋肉を鍛えてスリムアップ!
まっすぐに立ったときに、「脚がO脚やX脚になる人は、骨盤の歪みや外転筋と内転筋が緩んでいる可能性があります」
そう語るのは、いま、カエル足エクササイズで注目を集めている、パーソナルトレーナーの中川裕喜(ゆうき)さん。
まっすぐに立ったときの脚の形は?
<OK>な脚の形:隙間がほとんどない
<NG>な脚の形:大きく隙間ができる ひざをつけるとかかとがつかない などの場合は歪んでいる可能性が高い。
骨盤が歪んでいる人がしやすいポーズ!
・片足に体重をかけて立つ
・脚を組む
・ペタンコ座り
「外転筋(※1)はお尻の筋肉で、内転筋(※2)は内ももの筋肉です。ここがうまく使えていないと、立ったときに骨で体を支えることになるため骨盤が歪み、筋肉全体のバランスも崩れます。その結果、代謝が下がって太りやすくなるんです」(中川さん・以下同)
※1 外転筋群
外転筋とはお尻の筋肉のこと。股関節を曲げ、足を外側に開くための筋肉。お尻の左右横側にある。
※2 内転筋群
内転筋とは内ももの筋肉のこと。股関節を曲げ、足を内側に倒すために使う筋肉。太ももの内側にある。
外転筋や内転筋は、日常の生活で使うことが少ないため、意識して動かす必要がある。だが、骨盤が安定しないまま運動しても力が分散されるため効果が半減してしまう。
「カエル足で股関節を開き、いわゆる『ガニ股』でエクササイズを行えば、外転筋と内転筋を効率よく動かせ、骨盤が正しい位置で安定するため運動効果も出やすい。今回紹介するエクササイズを続けていけば、お腹まわりや脚を細くするなど、引き締め効果が期待できます」
■シェイプアップ以外にも期待が!
さらに、筋肉の衰えなどが原因となる変形性ひざ関節症の予防や改善も期待できる。
「内臓を支え、排尿をコントロールする骨盤底筋群も鍛えられるため、尿もれが気になるかたにもおすすめです」
始める前に…股関節の歪み具合を確認
エクササイズを始める前にまず、自分の股関節の歪み具合を確認していこう。まず、床に座り、両足の裏を合わせて両手で持つ。ひざは外側に無理のない程度に開く。このとき、両ひざの高さや脚の開き具合などを確認し、ストレッチを始める前の自分の股関節の可動域がどれくらいなのかを把握しておこう。
[確認1] 左右のひざに高低差があるかどうかを確認!
[確認2] 脚が床から45度くらい上がっているのが理想的。
[確認3] 両脚のひざの高さを比べて、高く上がっている方の股関節が硬くなっている。
最初は股関節まわりの筋肉をほぐすストレッチから
カエル足エクササイズの効果を上げるために、2つのストレッチを行っていこう。
「今回のストレッチやエクササイズは、あまり体勢を変えることなくスムーズに次の動きに移行できる流れになっているので、順番にやってみましょう」(中川さん・以下同)
【ウォーミングアップ1】“ひざパカ”ストレッチ
床に座り、ひざを曲げて両脚を広げる。その状態から両ひざを左側、右側の順にそれぞれ倒す。倒す角度の理想は45度くらいまでだが、無理は禁物。倒す角度に左右差が出やすいので、できるだけ同じ角度で倒すように意識すること。左右往復で1セットとし、10セットを目安に行う。
[ポイント1] 両脚ともに内側も外側も45度くらいを目安に倒し、股関節をほぐそう。
[ポイント2] 両ひざを倒すときは、お尻が浮かないように注意。床にしっかりつけたまま、脚のみを動かすように心がけよう。
【ウォーミングアップ2】“お尻”ストレッチ
【1】左脚を前にしてひざを曲げ、床にすねをつける。右脚は後ろにまっすぐ伸ばす。両手を前方の床について上半身は起こす。
「ひざに痛みがある人は、後ろの脚を伸ばさずに曲げて行ってください。少し楽にできると思います」。
[ポイント1] 手前に曲げた脚の、お尻の横側が伸びていることを意識できればOK。
【2】【1】の脚はそのままで、上半身を前に倒して20秒ほどキープ。1~2を1セットとし、2~3セット行う。脚の位置を左右入れ替えて、同じように2~3セット行う。
「手前の脚の曲げ具合を少しずつ動かして、お尻の伸びをより感じる位置を探ってみましょう」。
いよいよ「カエル足」エクササイズスタート!
【Exercise1】カエル足“内もも伸ばし” 内ももの筋肉を鍛えて、ももを細く
【1】四つんばいになり、両脚は大きく広げ、腕は肩幅に開いてひじをつく。手は楽な位置でOK。床が硬い場合はひじやひざの下にタオルなどを敷いて行うこと。
「両脚の幅は、開ける範囲で構いませんが、できるだけ広く開いて行った方が内ももが伸びて、より高い効果が期待できます」。
【2】脚の付け根をぎゅっと縮めて、内ももの筋肉が伸びる感覚を意識しながら、お尻を後ろに引けるところまで引く。いちばん伸びを感じるところで、そのまま20秒キープ。四つんばいから20秒キープを1セットとし、2~3セット行う。
[ポイント] 腰を反らせながら、お腹は引っ込めてお尻を後ろに引く。
<NG> 背中を丸めながら引くと、内ももの伸びが感じられない。
【Exercise2】カエル足“クラム” お尻のえくぼを片側ずつ引き締める
(クラムは二枚貝の意味。貝のように脚を開いたり閉じたりすること)
【1】体を横にして寝転び、ひざを重ねて曲げる。このとき、ひざとかかとはぴったりとくっつけておく。下の腕で頭を支え、上の腕は手前に置く。
[ポイント] 上側のお尻のえくぼを意識しながら力を入れる。
[ポイント] かかとはくっつけておく。
【2】足を重ねたまま、上側の脚のひざを上げて開く。このとき、かかと同士が離れないように注意。45度くらいを目標に、上げられるところまでひざを上げ、元に戻す。脚を戻す際は一気に下ろさず、ゆっくり上げてゆっくり下ろすことを意識しよう。上げ下げ10回を1セットとし、2~3セット行う。
[ポイント] 開いたときもかかとを離さない。
【Exercise3】カエル足“寝たまま合せき” ひと息ついてリラックス
あお向けに寝て、両足の裏を合わせてひざを開く。20~30秒この状態をキープする。
「脚は開ける範囲でOKです。股関節が硬いかたは手をももにのせたり、ひざの重みを利用するなどして、ゆっくり、じわじわと広げてみましょう」。
[ポイント] 足の裏と裏をくっつける。
【Exercise4】カエル足“ヒップリスト” お尻を両方一緒に引き締める
【1】 エクササイズ2の「カエル足クラム」で片側ずつ使ったお尻の筋肉を、今度は両側同時に使う運動。あお向けに寝転がり、両足の裏を合わせてひざは開く。両腕は左右に少し広げて床につけておく。
【2】上半身はそのままで手のひらと足で床を支えて、お尻を上げる。このとき腰が反らないように注意する。2秒かけてゆっくり上げ、2秒かけてゆっくり下ろすイメージでお尻を動かす。上げ下げ10回を1セットとし、2~3セット行う。
[ポイント] お尻を上げたときに、両尻のえくぼに力を入れる。
【Exercise5】カエル足“プランク” 下腹を引き締める
(プランクは、体幹トレーニングの定番で、木製の厚板を意味するポーズ)
うつ伏せで、ひじは体の幅くらいに開き、肩の真下にくるように床につける。ひざを曲げて45度くらいを目標に両足のつま先を上げる。このとき腰が反ると下腹に効かないので注意。10~20秒キープし、これを2~3回行う。
[ポイント] ひじは肩の真下にセット。
[ポイント] 腰を丸める。
[ポイント] かかとはくっつけたまま。
【Exercise6】カエル足“プリエ”(寝姿勢) 内ももと下腹を引き締める
【1】壁の前であお向けに寝転がり、足を壁に立てかけ、壁から20~30cmお尻を離し、脚をまっすぐ伸ばす。両腕は体の横の置きやすいところに置く。余裕があれば、足を壁につけず、浮かしたまま行ってみよう。
【2】足は壁につけたまま、両ひざを45度くらい曲げることを目標に、2秒くらいかけてゆっくり曲げる。曲げ伸ばし10回を1セットとし、2~3セット行う。
「足を壁につけない場合はお腹の力で足をキープするため、効果がさらに上がります」。
[ポイント] かかとをつけたまま内ももと下腹に意識を集中して曲げる。
【Exercise7】カエル足“プリエ”(立ち姿勢) 脚全体を引き締める
【1】足先を45度くらいに広げ、まっすぐ立つ。「寝姿勢のプリエよりも、立って行うことで太ももやふくらはぎなどにも力が入り、脚全体を引き締める効果が期待できます」。
【2】ひざ裏の角度が45度くらいになるのを目標に、2秒くらいかけてゆっくり両ひざを曲げる。曲げ伸ばし10回を1セットとし、2~3セット行う。
「ひざを悪くする原因になりやすいので、足先とひざの向きは必ず同じ方向にそろえましょう」。
[ポイント] 足の人差し指とひざを同じ向きに。
エクササイズ中は必ず呼吸を忘れずに
プランクのように1つのポーズをキープする場合は、特に呼吸が止まりやすいので注意。2つの動きを交互にする場合は自然な呼吸で吸って吐いてを繰り返す。特にリラックスにつながる「吐く息」は長めに吐くことを意識してみて。
「意識して呼吸をすることで、横隔膜などインナーマッスルが柔軟になるので、エクササイズの効果がより高まります」
毎日1つだけでも継続することが大事!
カエル足エクササイズが終わったら、クールダウンを兼ねて、最初に確認のために行った「合せきのポーズ」で脚の開き具合を確認しよう。どのくらい変わったか、左右のひざの高低差が縮まったかなど毎回チェックすれば変化が実感できる。
「今回紹介した運動を、毎日全部行うのは大変です。たとえば、お風呂上がりに自分が心地いいと思う種目を毎日1つだけでもいいのでやってみてください。1つだけでも継続することが何より大事です。そこから苦手なメニューに挑戦するなど、増やしていくのが成果を上げるコツですよ」
教えてくれた人
中川裕喜さん/パーソナルトレーナー
1986年、奈良県生まれ。幼少期からさまざまなスポーツを経験するが、けがや病気に悩まされる。20才で患った失声症や持病を治すため、10年かけてストレッチやヨガ、東洋&西洋医学などを学び、すべてのけがや病気を克服。その経験から健康の大切さをYouTubeでのストレッチ動画配信やオンラインストレッチの学校『YouFit!』などで発信中。
取材・文/苗代みほ イラスト/こさかいずみ
※女性セブン2021年10月14日
https://josei7.com/
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