【変形性膝関節症】は女性に多発!対処法と軽減対策を徹底解説
膝(ひざ)を痛めている人は、60代後半の女性の約半数、80代になると約8割が発症する、避けては通れない病気だ。リウマチや痛風などが原因の場合もあるが、その多くは、変形性膝関節症(へんけいせいしつかんせつしょう)が原因と言うのは、医師の井尻慎一郎さん。
変形性膝関節症が圧倒的に女性に多い理由
「人間は、4本足から進化して、2足歩行になりました。それだけひざにかかる負担が大きくなり、さらに歩行時のひざには体重の3~4倍、階段の上り下りでは4~5倍の負担がかかるといわれています。長年、ひざを酷使してきたことによる負担は、相当なものになっているのです」(井尻さん)
変形性膝関節症は女性に圧倒的に多く、その主な理由は3つある。
【1】男性より筋力が弱く関節が緩いこと
【2】膝関節の断面積が小さく軟骨にかかる圧力が強いこと
【3】閉経後に骨粗しょう症になりやすいこと
いずれも、もろい骨を弱い筋肉で支えている状態なのが問題だ。膝は大腿骨と脛骨などの大きな骨の間に、クッションのような役割の軟骨があるお陰で、曲げ伸ばしがスムーズにできる。だが、ここに無理な力が加わると、軟骨がすり減り、骨同士が直接ぶつかるようになり、痛みが生じる。
また、軟骨には血流がなく、酸素や栄養は関節が動いて関節液が軟骨表面から染み込む必要があるが、膝が痛いからと関節を動かさないと、軟骨が委縮して、動きがさらに悪くなってしまう。このように、動かしすぎても、動かさなくても支障をきたすのが、膝の痛みなのだ。
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肥満気味の人、過度な運動は要注意
膝痛で最も深刻な原因が肥満だ。肥満やO脚の人、しゃがんだり正座をする機会が多い人は、軟骨にかかる圧力が増えて膝の状態が悪化しやすい。また、ランニングなど過度な運動をすると、さらに、すり減った軟骨をこすり合わせる回数が増えるので注意して。
しかし、日常生活膝に負担の少ない動きを心がけ、膝の骨を支える筋力をつければ改善できると、理学療法士の竹内大樹さんは言う。
「膝の周りにある筋肉や靭帯は、天然のサポーター。強化すると膝の動きがスムーズになり、骨同士の摩擦も減って痛みも和らぎます。また、膝が痛いからと安静にして動かさない人が多いのですが、動かさないと筋力や関節の柔軟性が衰え、体重も増え、さらに膝に負担がかかり、悪循環に陥ります。急性のけが以外は痛くても、適度に動かすことが大切です」
痛いからと動かさないのは逆効果。日々、適度に動かすことを心がけたい。
痛みの対処法は、段階別に変わってくる。痛みの期間別の対処法を解説する。