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折り紙や寸劇で…高齢者に笑顔を届ける注目の介護士|馬場園愛恵さん、小杉爆笑劇団

 老親の介護で気になるのは、体調のほかに気持ちの面でも健康を維持できているかということ。長引くコロナ禍でウツウツとしがちな中、独自の手法で心と体の両面から高齢者を支えてくれる介護士さんが人気。折り紙や寸劇を通して高齢者の方たちを笑顔にしている達人を紹介します。

折り紙を教える介護福祉士・馬場園愛恵さん

 日本折紙協会公認の講師である馬場園愛恵さんが介護福祉士を目指したのは子育てが一段落したあと。比較的スロースタートだ。

「父が急に亡くなり、介護する間もなかったことがずっと心残りでした。それなら介護を仕事にしようと勉強し、6年前に介護福祉士の資格をとりました」(馬場園さん・以下同)

 正職員として施設で働くようになったが、いつも「自分にしかできない介護は何か」を探っていたという。そんなとき、レクリエーションでの折り紙を経験し、「独自の介護をするならこれしかない!」と直感。もともと凝り性だった馬場園さんは、正職員をやめてパートで介護士をしながら、公認折紙講師の資格とペーパーアート公認講師資格を取得した。

 折り紙講師としてプロになったものの、最初は『やることは普通の折り紙でしょ』と断られ続け、正職員をやめたことを後悔したこともあったという。活動を続け、1~2年経ったころ、ようやく「折り紙の先生」として招かれるようになった。

 馬場園さんの強みは、折り紙のクオリティーだけでなく介護福祉士としての知識と経験だ。

「高齢者になると手の動きが鈍くなるし、薬の副作用で手がしびれることもある。そんな知識があれば、適切な介助ができます。認知症のかたへの声がけも、介護士の経験が役立っています」

折り紙で脳を活性化、認知症改善にも…

 折り紙は指先を使うことで脳を活性化させるだけではなく、周りの人と見せ合いながら作ることでコミュニケーションが生まれ、おしゃべりや笑顔が増えることで免疫力アップにもつながるなど、いいことずくめ。また、懐かしい折り紙で昔を思い出すことが「回想法」トレーニングという認知症改善に効果的な方法にもなる。

「いつも表情が硬かった認知症のかたも、声をかけながら折っているうちに、表情が穏やかになってくることがあるんですよ」

 作品を持ち帰れば家族間でコミュニケーションが生まれることも。「家ではボーッとしているだけなのに、こんな折り紙ができたの? とびっくりしました」と驚きの連絡がくることもあるそう。

「できないと思い込むのではなく、新たな可能性にチャレンジしてほしいんです。折り紙で自信を持ち、生活への意欲を高めてもらいたい。そうやって皆さんが元気になるのは本当にうれしい。でも実は、教えている自分が一番楽しいんですよ」

■プロフィール

馬場園 愛恵さん/日本折紙協会公認折紙講師。父の死をきっかけに主婦業から介護福祉士に。デイサービスで働きながら、折り紙のスペシャリストを目指すべく日本折紙協会公認の講師に。現在は派遣で介護の仕事をしながら折り紙講師として都内の施設を訪問する。

馬場園さんのインスタグラム:@babazonoyoshie

「介護を笑いで支えたい」小杉爆笑劇団

 富山県の介護施設「小杉福祉会」に勤務するケアマネジャー、施設長でもある松浦佳紀さん、職員の柴田芳之さん、山本征史郎さんの3人が中心となって構成されるのが、「小杉爆笑劇団」だ。

「約20年前、家族介護者教室で『認知症高齢者の接し方』という公演を行ったところ、劇として見た方がわかりやすいという声がありました。とても好評で、それ以来、富山県内ほぼすべての市町村からお声がかかり、イベント等に招かれ、公演を行ってきました」(松浦さん・以下同)

 県外からの依頼を含むと、年間約50公演。コロナ禍で数は減ったものの、昨年も年間5回ほど行ったという。

「ただ、本来の業務もあるのでご要望すべてに対応するのは難しく。現在は、台本を無料配布しています。全国450か所以上でその台本を使って寸劇が行われています」

ケアマネ3人による寸劇で介護を理解

 台本は、認知症介護から悪質商法、転倒予防、虐待防止など21種類。介護福祉士時代、生活相談員時代、現在のケアマネ業務で感じたことなどが織り込まれている。

「『家庭での高齢者への接し方や介護の仕方の参考になった』といった声も多いんです。辛いことは避けたいけれど、楽しいことには人が集まってくる。介護する人とされる人。劇を見ることで、少しでも介護を理解し、笑顔になってもらえたらうれしいですね」(小杉爆笑劇団さん)

■プロフィール

小杉爆笑劇団さん/2001年発足。富山県の社会福祉法人「小杉福祉会」が運営する介護施設のケアマネジャーで構成。お年寄りの身の回りに起こる出来事を寸劇にして公演。厚生労働省関連をはじめ8つの賞を受賞。

小杉福祉会HP:https://kosugi-bakusyogekidan.com/

撮影/菅井淳子(馬場園さん、折り紙) 取材・文/別所礼子

※女性セブン2021年2月18・25日号
https://josei7.com/

●お笑いコンビレギュラーも取得『レクリエーション介護士』講座潜入レポ!(前編)

●介護をテーマに公演 劇団「ラビット番長」が教えてくれること(前編)

●芸人コンビ・レギュラーに密着インタビュー|笑いのバリアフリー化を目指して(前編)~シリーズ「私と介護」

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