【介護福祉士】国家試験間近!合格者の声をリサーチして判明した必勝法と実務者研修の壁
第35回介護福祉士国家試験が2023年1月29日に実施される。そこで、介護ブロガーのたんたんさんこと深井竜次さんが、介護福祉士試験の経験者たちに勉強法や必勝法をリサーチ!さらに試験の必須条件「実務者研修」について感じていることとは?
介護福祉士の国家試験が目前!
介護士ブロガーのたんたんと申します。
6年間介護現場で働いてきた経験や知見をもとに、「多くの介護士さんが幸せな働き方を実現できるように」という思いを込めて、ブログを運営しています。
介護ポストセブンでもこれまで僕が介護現場で経験した出来事や学びを、「介護士さんをはじめ介護にかかわる多くの人に参考になれば…」と思って記事を書いてきました。
今回は介護福祉士の国家試験日が目前ということで、資格試験のことと、資格を持っていることで何が変わるのか?などについて解説していきたいと思います。
介護福祉士の試験日と難易度 合格率は?
まずは、試験日程や合格率について見ていきましょう。
・介護福祉士の試験日
介護福祉士は国家資格となり、毎年1月に筆記試験が実施されます。今年は第35回目の試験となり、2023年1月29日に筆記試験、3月5日に実技試験、3月24日に合格発表が行われます。
・介護福祉士の合格率・受験者数
過去の介護福祉士の合格率、受験者数、合格者は以下のように推移しています。
2022年 72.3%(受験者数:83,082 合格者:60,099)
2021年 72/3%(受験者数:84,483 合格者:59,975)
2020年 69.9%(受験者数:84,032 合格者:58,745)
2019年 73.7%(受験者数:94,610 合格者:69,736)
2018年 70.8%(受験者数:92,654 合格者:65,574)
※厚生労働省「第34回介護福祉士国家試験の受験者・合格者の推移より」
https://www.mhlw.go.jp/content/12004000/000917100.pdf
過去の合格率を見てみると、「合格率70%の試験ならそこまで難しくないでしょ?」と思われる方もいるかもしれませんが、実際に介護福祉士の試験を受けた経験のある人にリサーチしてみると、「とても難しかった」という声が多くありました。
その理由は、試験を受けるための”条件”にもありそうです。
介護福祉士試験の受験に必要な条件
介護福祉士試験を受けるためにはいくつかの条件があります。
1.実務経験3年以上(1095日以上、実労働日数540日以上)従事した上で、実務者研修を受講した者
2.介護福祉士養成施設や福祉系の高等学校などで学び、受験資格を得た者
介護福祉士を目指す多くの人は、上記1のように、介護施設で働いて実務経験を積んでから資格の取得を目指すのが一般的。試験を受ける前に、実務者研修を受講する必要があります。
受験に必須の「実務者研修」とは?
平成29年の介護福祉士の試験から「実務者研修」が必須条件となりました。
介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)の資格を持っている場合は、約2か月間の受講が必要となります。また、介護職員初任者研修の資格を持っていない場合は、約半年と受講期間が長くなります。介護の仕事をしながら研修を受け、試験対策も並行して行うのは、なかなか大変なことですし、実際にこの研修がハードルとなって試験を断念したという人もいました。
また、実務者研修には約10万円の費用がかかります。
施設によっては、実務者研修の費用を肩代わりし、研修日も出勤日扱いになるケースもあります。また、自治体などによっては実務者研修の費用を助成している場合もあるので、そういった手段を利用する手もあります。
介護福祉士の資格を取ることのメリット
介護福祉士は介護資格の中でも唯一の国家資格です。仕事内容は、資格を持っていない介護職員と同じですが、より高度な専門知識や技術を活かして利用者様の身体上・精神上のケアを行うほか、現場職員の指導や育成を行います。
専門知識や知識を有していると国から認められているため、就職・転職の際にも有利になります。さらに、多くの介護施設では、介護福祉士の資格を保持している職員に対して「資格手当」が支給されることになってはいますが、金額や対応は施設により異なります。
また、介護福祉士の資格を取ることで、管理職を目指すなどキャリアアップにも有利になります。
介護福祉士試験の必勝法をリサーチ!
僕の周りでも多くの人が介護福祉士試験を受けて資格を取得しています。そこで実際に「どのような勉強や対策をしたのか?」ヒアリングしてみました。具体的にどのようなことをしてきたのでしょうか。以下で紹介します。
「毎日仕事後に2時間過去の試験の問題に取り組んだ」
「職場にいる資格保有者が過去に試験を受けた際に使った参考書やノートを借りて勉強をした」
「同じ職場にいる一緒に試験を受ける介護職員と集まって勉強会を開催した」
「試験の問題は選択問題なので問題をしっかり読むことでとりこぼしが減る」
「勉強を継続するために、『1問解いたら終わりにする』というように、勉強のハードルを低くしていた」
「ひたすら過去問題を解き続けた(他の参考書は使わない)」
「一冊の過去問の問題の答えを完全に覚えるまで解き続けた」
こういった勉強法・必勝法の声のほか、休暇や情報共有についてのコメントもありました。
「試験の1週間前に有給休暇を取得して勉強に専念した」
「実務者研修の際に知り合った人と連絡先を交換して情報共有を行った」
***
勉強法・必勝法について答えてくれた合格者の方たちの声を総合すると、
「一冊の過去の問題集を信じて徹底的に、繰り返し解いた」という人が多く、その方たちは、みなさん“一発合格”を勝ち取っていました。
勉強の中身よりも、いかにして勉強を“継続して”できるかが重要なポイントといえそうです。
僕が資格取得に舵を切れないでいる理由
介護職として働く上で、介護福祉士の資格を取得は絶対に目指して欲しいと思っています。前述の通り、資格を取得することで、業務の幅が広がり、転職にも有利、キャリアアップにつながり、給料のアップも目指すことができるからです。
とはいえ、僕自身、ブログや執筆活動と、介護施設での夜勤専従の仕事、二足の草鞋を履いていることもあり、実務者研修にかかる時間がネックとなっていて、今はまだ資格取得の準備に舵を切れずにいます。
また、実務者研修の費用の負担についても少し引っかかっています。今回ヒアリングした介護職の方には、「実務者研修の費用を働いている施設になんとか交渉して負担してもらった」という声もありました。
本試験を受ける前のハードル、実務者研修の時間的な縛りや、費用の負担がなくなれば、介護福祉士を目指す人はもっと増えるのではないだろうか――などと考えてしまうのは、僕の甘えでしょうか。
まもなく介護福祉士の筆記試験日。さまざまなハードルをクリアして試験に臨む方たちに心の中でエールを贈っています。そして僕もいつか挑戦したい。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
文/たんたん(深井竜次)さん
島根県在住。保育士から介護士へ転職し、介護士として勤務。主に夜勤を中心に介護施設で働きながら介護士の働き方について綴ったブログ『介護士働き方コム』を運営。著書『月収15万円だった現役介護士の僕が月収100万円になった幸せな働き方』(KADOKAWA)が話題に。
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