バスの座席や乗車位置、地震発生時にはどこが安全?
いつ起こるかわからない大地震。それは通勤、通学、買い物など移動中かもしれない…。もしバスに乗っているときに被災したら、命を守るためにまずどうしたらいいのだろうか。いざというときに迷わないためのノウハウを専門家に教えていただいた。
バスではどこに座るのが安全か
「普段、バスを利用しているのですが、どこに座るのが安全でしょうか」(42才・会社員)
女性セブンの読者からこんなお便りをいただいた。これに対し、災害危機管理アドバイザーの和田隆昌さんは、
「バスは電車に比べ、運転手の技量に安全性が左右されるケースが多いんです」
と話す。
●バスでの被害は、外的要因が多い
「都営バスの場合、緊急地震速報(震度4以上)を受信すると、危険箇所を避け、道路の左側に停車する決まりになっています。バスの中は倒れてくるものや落下物がないので車内で被害が発生したり、揺れでバスが横転する可能性は低い。
怖いのは、地震による揺れでハンドルをとられたほかの車がバスに突っ込んできたり、近くの電柱が倒れてくること、土砂や津波に巻き込まれるなど、外部的要因の影響を受けた場合です。特に立っている人は、座っている人よりも、そういった外部的要因による被害を受けやすく、衝突の勢いで車外に放り出される恐れもあります。揺れを感じたり、緊急地震速報が鳴ったら、すぐに手すりなどにつかまり体を固定しましょう」(和田さん)
座っている場合も、投げ出されないように座席の間に体を隠すように身をかがめることが大切だ。
では、バスの車内で安全な場所はどこなのか?
中央あたりの通路側が安全な理由
地震による路線バスの事故は前例がなく、さまざまなパターンが推測できるものの、強いて言うなら、中央あたりの通路側の席が安全だと、日本交通事故鑑識研究所の大慈彌拓也さんは言う。
「バスの前方と後方は、衝突や追突による影響を受けやすい、という意味で危険なエリアです。路線バスの場合、高速バスほどスピードは出ていないことがほとんどですが、シートベルトがあるわけではないので、前方の窓側の席は追突事故が起きた場合、窓の外に放り出される危険性が高い。また窓側と通路側では、通路側の方が外部的要因を受けにくいです」(大慈彌さん)
東日本大震災を教訓に、津波到達地域を走行するバス会社では、揺れがおさまったら、安全確保ができる最寄りの地域(高台など)へ直行するなど、避難方法が見直されている。地震が発生してバスが急停車しても慌てず、乗務員の指示に従って行動しよう。
まとめ
●バスは緊急地震速報(震度4以上)を受信すると、道路の左側に停車する決まりになっている。
●横転の可能性は低い。
●すぐに手すりなどにつかまり体を固定する。
●座っている場合は、座席の間に身をかがめる。
●他の車の追突、電柱が倒れる、土砂・津波に要注意。
●窓の外に放り出されない位置にいる。
教えてくれた人
和田隆昌さん/災害危機管理アドバイザー、大慈彌拓也さん/日本交通事故鑑識研究所
取材・文/鳥居優美 イラスト/大窪史乃
※女性セブン2020年11月5・12日号
https://josei7.com/
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