電車内の座席、地震発生時にはどこが安全か?
いつ発生するかわからない大地震…。多くの人の足となっている電車内で、もし被災したら――。
電車の座席に座った状態で、命を守るためにはどうするべきかなのか、専門家に教えてもらった。
→大地震が発生したら… 電車内でリスクの高い車両は?立ち位置で安全なのはどこ?
地震が起きた際、車内ではどのような態勢で身を守るのか
立った状態よりも安全度は高いものの、座る場所によって危険度は変わるという。
「座席の種類により対応は異なりますが、窓に背を向けて座るロングシート(長座席)に座っている場合、地震の際は前かがみになって姿勢を低くしてください。
急ブレーキにより網棚の荷物が落ちてくる恐れがあるので、頭部をかばんや雑誌などで守りましょう。
特急列車や新幹線など進行方向に向いて座るクロスシートの場合は、前方に投げ出されないように座席の間に体を隠すのがおすすめです」(災害危機管理アドバイザー和田さん・以下同)
荷物は、いざというときに頭部を守る“盾”として役立つので、網棚には置かず、手元に置いておこう。
網棚の荷物は地震発生時、凶器となるので、載せるのはおすすめできないという。座るときは、近くの網棚の上に大きな荷物が置かれていないか、確認しておくことも大切だ。
ロングシートのどの位置が安全か
では、ロングシートの場合、どこに座るのが安全か。
「座席の中央部は、立っている人が急停車によって倒れてくる恐れがあるので危険度が高いといえます」
また万が一、電車が横転した場合、車内は洗濯機の中のように回転する。そうなったら、とにかく頭を打ちつけないように手すりやつり革を握るしかないのだが、座席の端側の方が、手すりと仕切りボードのおかげで体を固定しやすいメリットがある。
ただし、先頭車両や2両目は衝突・脱線事故の際、死傷者が集中しやすいので、3両目以降かつ、なるべく車両後方の席に座るのがおすすめだ。
地震後、勝手に車外に出るのは危険
地震発生後、電車は線路などの安全確認がとれるまでは運転を再開できない。場合によっては車内に長時間閉じ込められることもある。
窓や扉は乗務員がいなくても開けられるため、不安に駆られて外に逃げ出したくなるかもしれないが、地震後の車外は危険だ。線路脇には高圧電線が設置されており、地震で電線が切れて落ちている可能性もあるからだ。まずは落ち着いて、乗務員の指示に従おう。
まとめ
●ロングシートに座っている場合は、前かがみなって姿勢を低くする。
●新幹線など進行方向に向かって座るシートは、座席の間に体を隠す。
●ロングシートの中央部は危険度が高い。
●座席の端の方が体を固定しやすい。
●窓や扉を自力で開けることができてもむやみに外へ出ない。乗務員の指示にしたがおう。
教えてくれた人
和田隆昌さん/災害危機管理アドバイザー
イラスト/大窪史乃
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