大地震が発生したら… 電車内でリスクの高い車両は?立ち位置で安全なのはどこ?
大地震はいつ発生するかわからない…。もし電車に乗っているときだったら――。乗車位置をどこにするかで命運を分けてしまうことも。命をまもるために知っておきたい電車内での安全場所など専門家に教えてもらった。
地震で脱線、横転、追突の可能性も
東日本大震災では発生直後、全国の42鉄道事業者177路線が運行を見合わせた。そのうちJR常磐線や三陸鉄道など76路線が地震や津波による被害を受けている(※)。
このときは幸いにも、乗客や乗務員に死傷者は出なかったが、一歩間違えば大惨事になっていたと、災害危機管理アドバイザーの和田隆昌さんは言う。
「地上を走る電車の場合、地震によりレールや地盤が変形したり、破損、沈降または隆起します。また、揺れで車両がレールから外れて、脱線・横転・追突などの事故が発生する可能性も。もし通勤通学の時間帯に首都直下地震が発生し、脱線追突事故が起きた場合、’05年のJR福知山線脱線事故(死者107名、重軽傷者562名)を上回る死傷者が出ると考えられます。
少しでもリスクを減らすために、電車に乗る際は、乗車位置を意識してください」(和田さん・以下同)
というのも、電車の場合、乗車位置により安全の度合いが変わってくるというのだ。
※『よみがえれ!みちのくの鉄道 ~東日本大震災からの復興の軌跡~』(国土交通省 東北運輸局監修)より
より安全な乗車位置は?
電車の中で最もリスクが高い場所は先頭車両だ。過去の衝突・脱線事故の死傷者の乗車位置も、先頭車両と2両目に集中している。
●3両目以降の方が安全度が高い
このことからも乗車する際は3両目以降の方が安全度は高いといえる。
また、電車内では座っていた方が安全だが、いつも座れるとは限らない。もし、立っているなら、どこが安全なのだろうか。
●ドア付近に立つ方が車内中央より安全
「電車は震度5程度の強い揺れを感知すると、緊急停止装置が作動するようになっていて、急ブレーキがかかります。立っている場合は手すりやつり革につかまり、倒れないように注意すること。特に満員電車など、車内が混雑している場合、急停止した拍子に将棋倒しが起こる危険性が高い。車内中央にいるとそれに巻き込まれる恐れがあります」
●ドア付近は車内の人の圧力を受けにくい
列車の追突事故のシミュレーションでも、追突時、車両中央にいた乗客は前方向へ投げ出されることがわかっている。ドア付近の方が体を固定できるだけでなく、座席の脇に隠れる格好になるので、車内の人の圧力を受けにくい。
●緊急地震速報が鳴ったらすぐにつり革、手すりをつかむ習慣を
とはいえ、必ずしもドア付近に立てるわけではない。中央部分に立つときは、緊急地震速報が鳴ったらすぐ、つり革や手すりをつかむよう、習慣づけておこう。
まとめ
●先頭車両と2両目がハイリスク。乗車する際は3両目以降の方が安全度が高い。
●電車内では座っている方が安全。
●立つ場合は、ドア付近に。
●中央部に立つ場合、緊急地震速報が鳴ったらすぐにつり革や手すりにつかまって。
教えてくれた人
和田隆昌さん/災害危機管理アドバイザー
イラスト/大窪史乃
※女性セブン2020年9月24日・10月1日号
https://josei7.com/
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