猫が母になつきません 第201話「くつくつさぎ」
靴靴詐欺です。「いらない靴を引き取ります」と言って家に入り込み、「貴金属はないですか?」と貴金属を出させてとんでもなく安い価格で買っていくという詐欺らしい。私が「もう電話しないでください」と断ると「はいはい」と言って電話は切れました。声の印象では中年女性のようでした。一人暮らしの高齢者を狙った詐欺なので、それ以来「靴靴電話」はぱったりとかかってこなくなりました。いらないものがたくさんあって処分に困っている、という高齢者のニーズに合わせた詐欺なのでしょうが、うちの母は「捨てない」ので、残念ながら(泣)。後日、私が買い物から戻ると家の前に警察のバイクが。何事かと大慌てで家に入ると若い警官の方がいました。私の知らない間に母が警察に靴靴詐欺の件を届けていたのです。母の話が要領を得ないので、私に話を聴きに来られたようでした。母にはもう電話はかかってこないし、よくある詐欺のようだから相手にしなければいいと言い聞かせていたのに…。私にとっては詐欺よりも何をするかわからない母の方がコワイ…警察の事情聴取というイベントに目をキラキラさせている母を見ながらそう思いました。
作者プロフィール
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母とくらすため地元に帰る。典型的な介護離職。モノが堆積していた家を片付けたら居心地がよくなったせいかノラが縁の下で子どもを産んで置いていってしまい、猫二匹(わび♀、さび♀)も家族に。