”お疲れ脳”がシャキッと生まれ変わる生活習慣【午後~夜編】
暑さに加えて、ジメジメとした気候だった今年の夏。脳もなんだかお疲れ気味なのでは? そこで、暑さでダメージを受けた脳を、しゃっきりと生まれ変わらせるための生活習慣を、前回に続き、これまで1万人以上のMRI脳画像で人の生き方を分析してきた医師で脳科学者の加藤俊徳さんに聞きました。
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まずは、脳番地をおさらい
脳は機能別に以下の8つの脳番地に分類でき、それぞれ次の場合に働く。
【1】 伝達系…言葉でコミュニケーションを取る時に
【2】 運動系…体を動かす時に
【3】 理解系…情報を理解し、それを役立てる時に
【4】 視覚系…目で見る時に
【5】 聴覚系…耳で聞いた情報を脳に伝える時に
【6】 記憶系…覚えたり、思い出したりする時に
【7】 感情系…喜怒哀楽などの感情を表す時に
【8】 思考系…深く考えたり、アイディアを出す時に。これらが連携しながら働いている
午後12~15時 午前中の疲れは短い休憩でスッキリ
午前中に家事を済ませ、お昼ご飯を食べたら、眠気が…。そんな時は、思い切って脳を休ませると、午後の長い時間を乗り切れる。
【理解系】【視覚系】【感情系】クーラーの適温を肌で感じとる
「室温を1℃でも上げ下げすると、肌が変化を感じて脳もそれを理解しようとします。自分が過ごしやすい部屋の温度が何度なのか、普段あまり意識しませんが、一度、自分の適温を確認し、その後は、その温度を肌で感じとるよう意識すると、脳を刺激できます」
【感情系】【思考系】夏こそ10~15分、時間を決めて昼寝をする
夏は暑さで脳の温度が上がり、疲れやすい状態に。「夏バテ脳は、悩んでいるときの脳と同じ状態です。クールダウンさせるには、一度、休ませること。昼寝をするとリラックスして脳に酸素が行き渡ります。ただし、だらだらと寝ては逆効果。10~15分と時間を決めて、目覚ましをかけて寝ましょう」。
【記憶系】お風呂やトイレ掃除はタイマーをセットして行う
面倒だと思う家事は、時間をきっちりと決めてゲーム感覚で行おう。「“トイレのふちをブラシで1分こすって、便器と床をそれぞれ2分で拭く”など、時間の割り振りを考えてその通りに実行すると、やる気が起こり、達成感も生まれます」。
【全ての脳番地】15秒かけて深呼吸する
浅い呼吸で脳の酸素が不足すると、脳の働きも低下する。「“ボーッとしてきたな”と思ったら、ゆっくり呼吸する習慣を身につけて。5秒かけて鼻から息を吸い、10秒かけて口から吐く。これを数回繰り返すと、さまざまな脳番地が動き出し、気分もスッキリします」。
【理解系】【聴覚系】【感情系】【思考系】マンネリ気分は音楽で変えられる
音楽は聴覚から感情に訴えるので、気分を変えるのに最適だ。「例えば軍歌は戦意高揚のために作られているので、何も考えずに物事を進めるのに最適です。テンポのいい曲は、頭の中でまねするとやる気が出て、テキパキ動けるようになります。スローな曲はアイディアを生み出すのに◎。静かな音楽を聴きながら読書をすれば気分も落ち着いて集中できます。状況に応じて音楽のジャンルを使い分けてみてください」
【伝達系】【運動系】【理解系】【思考系】涼しいと感じる言葉を5つ、紙に書き出してみる
日本人は昔から目や耳で涼しさを感じ、暑い夏を乗り越えてきたもの。「すいか、かき氷、風鈴、水で泳ぐ金魚など、涼しさを感じる言葉を5つ思い浮かべてみて。それを紙に書き出すことではっきりイメージできるため、より清涼感が増します。手を使うので運動にもなりますよ」。
【視覚系】【思考系】スマホを見ない時間を作る
ツイッターなどSNSをチェックするのは楽しいけれど、長時間だと脳も疲れ、情報過多で混乱をきたすこともある。「スマホは目を動かす機会が少なくなり、脳にもストレスになります。例えば、昼間の1時間、スマホを見るのをやめて窓の外を見るなど、目を動かす機会を作りましょう」。
【伝達系】【理解系】【記憶系】家族と口論になりそうだったら3秒待つ
人間の脳は、わずかな時間差でも、自分の状況や心境を変えることができます。「例えば夫の言動にイラッとしたり、子供を頭ごなしに怒りそうになったら、1、2、3と数えて3秒待ってみましょう。ひと呼吸おくことで、相手も自分も冷静になり、言い争いを防ぐことができます」。