扇風機が劇的に進化!「熱中症対策にも」「優しい風で冷えすぎない」風質にこだわった最旬家電2選【家電ライターが解説】
ここ数年で扇風機は劇的に進化している。家電ライターの田中真紀子さんは、「今時の扇風機は一昔前のものと違い、静音性や操作性に優れています」と語る。肌に当たる風が優しい扇風機は高齢者にもおすすめ。進化系扇風機の特徴と選び方のポイントを教えていただいた。
教えてくれた人
田中真紀子さん / 家電ライター
家電ライター/家電を生活者目線で分析し、雑誌やウェブで紹介する家電のスペシャリスト。特に白物家電・美容家電に詳しい。自宅には最新家電を中心に200以上を所有し、年間300以上の記事執筆・監修に携わる。テレビ・ラジオにも多数出演。公式HP https://makiko-beautifullife.com/
風質にこだわった扇風機に注目
最近の扇風機は、以前と比べてどこが進化しているのか。田中さんは、真っ先に「風の質」を挙げる。
「従来の扇風機は、風の強さやリズムにムラがあり、肌への当たりが強すぎることも。体の表面温度が下がってダルさを感じるという声も多かったんです。
そこで見直されたのが風の質。自然界の風のようにムラが少なく、なめらかな風を送れる扇風機が次々と登場しています。風のムラが少ないので冷え過ぎず、心地よい風を感じる商品が増えています」(田中さん・以下同)
こうした風を作り出せるようになった理由は、大きく2つ。
「一つは羽根の形状を工夫したこと。二つ目は、運転をきめ細かく制御できるDCモーターを搭載したことです」と、田中さん。
扇風機で使われるモーターとは、電気を使って羽根を回転させる装置のこと。特にここ数年で登場したDCモーターはさまざまなメリットがあるため、これから扇風機を買う人にはぜひおすすめだという。
最新扇風機「DCモーターのメリット3つ」
DCモーターは従来のACモーターに比べて、性能が格段にアップしている。そのメリットは以下の通り。
消費電力が少なく節電につながる
最大のメリットは、消費電力の少なさだ。
「例えば強風で運転した場合、従来搭載されていたACモーターの消費電力が50W前後であるのに対し、DCモーターは20W前後と、半分以下です」
風量を細かく選べる
「ACモーターは細かな制御ができないため、風の強さも『弱・中・強』などの3段階しか選べないものが多いのが難点でした。それに対し、DCモーターは10段階設定できるものも多く、微風を出すことも可能です」
静音性が高い
運転音が静かなこともメリット。
「タイマーセットをして就寝したいときも、音によって眠りを妨げられる心配がありません」
このように、メリットの多いDCモーター型扇風機。デメリットを挙げるなら、機能的に優れている分、ACモーターに比べて本体価格が高い傾向にあることだ。
「今はDCモーター搭載型扇風機が一般的になったため、扇風機全体の平均価格が上がってしまいました。ただ、省エネ性が高く過ごしやすいので、長い目で見てお買い得といえます」
高齢者におすすめの機能をチェック
そのほか、高齢者が選ぶ際にチェックしたいポイントは?
掃除やメンテナンスのしやすさ
扇風機は時々羽根についたホコリを取らないと、部屋中にホコリをまき散らしてしまうことに。そのため定期的なお手入れが必要になる。掃除やメンテナスのしやすさは要チェックだ。
最近では、ドライバーを使わず簡単にカバーが外れるなど、お手入れがしやすいものも。また、ダイソンに代表される羽根がない扇風機を選べば、お手入れも簡単だ。
「羽根がないということは、カバーもないので、お手入れの際はカバーの取り外しもないし、羽根を掃除する必要もありません。ホコリはフィルターに溜まりますがお手入れはしやすく、ホコリを撒き散らさないのもいいところ。回っている羽根でケガをする心配もないので安全性も高いですね」
熱中症対策に役立つ機能も
最近の扇風機で注目なのが、熱中症対策に役立つ機能だ。
「高齢になると暑さや寒さを感じにくくなり、室温の上昇に気づくのが遅れてしまい、熱中症を引き起こすとも言われています。
最新の扇風機には、熱中症のリスクのある温度や湿度になったときにお知らせしたり、自動で運転を開始したりする機能も。扇風機で熱中症対策ができたら心強いですよね」
音声やハンドサインで操作ができる
音声のほか、「マル(OKサイン)」「チョキ」「パー」などのハンドサインで、オン・オフや風量を操作できる扇風機もある。
「介護が必要なかたや歩行に不安があるかたにとって、声で合図して扇風機の運転が始まるのは便利な機能です。扇風機にはリモコンがついていることが多いですが、常にリモコンが手元にある訳ではないので、声や手で操作ができるのは嬉しいポイントです」
ただし、音声操作は発音や声量、滑舌といった個人差や、常にテレビの音がしているなどの環境によっては使いにくい可能性もある点に注意が必要とのこと。
操作ボタンが見やすい大きさ・押しやすい位置にある
「高齢者のかたはとくに、本体の操作性をチェックしましょう。スイッチの見やすさや動かしやすさ、操作がわかりやすいものを選びましょう。機能が多すぎる、文字が多いものは使いづらさを感じるかもしれません」
10年以上の扇風機は買い替えの検討を
「わが家には昔から使っている扇風機があるから、まだまだ買い替えなくても大丈夫」と考えている人もいるかもしれない。しかし、田中さんは、こう注意を促す。
「扇風機は壊れにくいため、かなり古い扇風機を使っている人も多いと思います。しかし経済産業省によると、製造から10年以上経っている扇風機の発火事故が多く発生しており、中には火災や死亡事故につながっていることも多いそう。原因は、首振り機能による断線やモーター部品の劣化など。まだ動くからと使い続けているようでしたら、買い替えを検討して欲しいですね」