”お疲れ脳”がシャキッと生まれ変わる生活習慣【朝~午前編】
夏の暑さも終盤。今年は暑さに加えて、ジメジメとした気候で、脳もなんだかお疲れ気味なのでは? そこで、暑さでダメージを受けた脳を、しゃっきりと生まれ変わらせるための生活習慣を紹介します。
脳も暑さで夏バテします
暑くてなんかやる気が出ないし、憂鬱…こんな時は“脳が夏バテ状態にある”と言うのは、これまでに1万人以上のMRI脳画像で人の生き方を分析。最新著書に『右脳の強化書─左手をもっと使えば弱点が逆転できる!』(廣済堂出版)がある医師・脳科学者の加藤俊徳さん。
「気温が高い夏は、脳内も熱くなっています。この状態であれこれ考えようとすると、脳内温度がさらに上昇。脳がうまく機能しなくなります。さらに今の時期は、外が暑いからと家に引きこもりがちで、運動不足になる傾向にあります。すると、行動パターンがマンネリ化し、脳全体が働かなくなるため、ますますやる気がなくなるのです」(加藤さん・以下「」内同)
脳は8つの“番地”に分かれており、それぞれ連動して動いている。同じ脳番地ばかりを使っていると、その部分のみに血液が集中し、他のことは疎かになってしまう。まずは自分の生活習慣を見直し、8つの脳番地を鍛えて、夏バテ脳を元気にしましょう。
まず脳番地を知りましょう
脳は機能別に以下の8つの脳番地に分類でき、それぞれ次の場合に働く。まずはその脳番地から解説します。
【1】伝達系…言葉でコミュニケーションを取る時に
【2】運動系…体を動かす時に
【3】理解系…情報を理解し、それを役立てる時に
【4】視覚系…目で見る時に
【5】聴覚系…耳で聞いた情報を脳に伝える時に
【6】記憶系…覚えたり、思い出したりする時に
【7】感情系…喜怒哀楽などの感情を表す時に
【8】思考系…深く考えたり、アイディアを出す時に。これらが連携しながら働いている
朝6~8時 “寝ぼけまなこ”の脳をシャキーンと起こす
気分よく目覚めた朝も、目覚めが悪い朝も、明るい気持ちを作って一日を始めましょう。すると、気持ちとともに脳もポジティブ思考にシフトします。
【伝達系】【理解系】【視覚系】鏡の中の自分に向かって「おはよう」と笑顔で声をかける
自分に向って「おはよう」と声をかけることで、眠っていた脳が目覚め、やる気スイッチがオンになる。「鏡に向かって笑顔で言うと、“朝だから起きよう”と自分自身に言い聞かせることになり、伝達系が覚醒します。また、家族との朝のあいさつはしっかりと相手の目を見て行いましょう。表情を読み取ることで、視覚系・理解系も刺激されますよ」。
午前中9~11時 その日のスケジュールを立てて、脳にやる気を起こさせる
充実した一日を過ごすためには午前中の行動が重要。あらゆる脳番地を活動させることで、やる気もどんどん湧いてくる。
【運動系】いつもと反対の手で歯を磨く
歯磨きは口や舌、手を動かし、運動効果が抜群。「歯ブラシをいつも右手で持つ人は、左手で持って磨きましょう。私たちの調査では右利きの人が左手で磨くと1.6倍も脳のエネルギーを使うことが判明しています。使い慣れていない手を使うことで、脳に新鮮な刺激が与えられます」。
【運動系】【理解系】【思考系】やることリストに順番をつける
「あれもこれもやらなくては…」と焦って、何も手がつけられないことはよくあるが、そんなときは順番をつけること。「今日やることを書き出して、何をすべきか目で確認。次に、重要な事順に1~5まで番号をつけ、6以降は次の日に回します。そして1から順に行動に移せば、行動が整理され、やる気も出てきます」
【伝達系】【視覚系】【聴覚系】【記憶系】ニュースを見てアナウンサーの言葉を繰り返す
聞いた言葉を繰り返すのは記憶力アップに効果的。「初めは慣れないかもしれませんが、回数を重ねることで習慣化され、“脳が覚える”ようになります。固有名詞や聞きなれない言葉は特に繰り返して。耳で聞いてすぐに言葉に出すことで、伝達能力も身につきます」。
【運動系】【視覚系】【聴覚系】家の周りを5分歩く
「1日45分運動する人は、認知症になりにくいという研究結果が出ています。これは続けて45分ではなく、1日トータルで45分になればOK。コツコツと体を動かす習慣を身につけましょう」。まずは、まだ暑くなりすぎない午前中に約5分、自分の家の周りを歩き、自然に触れ合うこと。これで視覚系や聴覚系脳番地も活動的になる。
【運動系】【視覚系】洗濯物を手洗いしてみる
手で直接、衣類や水に触れることで脳を刺激できる。「洗濯物を洗いながら、自分も水中を泳いでいるようなイメージをしてみましょう。イメージするだけでも脳はひんやりした感覚をキャッチし、体も涼しくなります。また手間はかかりますが、自分の手できれいにしたものには愛情もわき、汚れを洗い流せば気持ちもスッキリします」。
【運動系】【理解系】【視覚系】ほうきを使って掃除をする
ただぼんやりと掃除機をかけているだけでは、脳はなまけてしまう。「ほうきを使うと、汚れている場所を積極的に見つけようとして、どこにほこりがたまりやすいか理解できるようになります」。ほうきなら、電気代もかからず節電にもなる。
【感情系】派手な下着をつけてみる
「家にいるんだから、適当でいいや」と思わず、ダルさから抜け出したいときは、派手でセクシーな下着をつけてみて。「派手な下着をつけると、何か秘密を隠しているような気がして恥ずかしくなりますが、感情系脳番地が動いて高揚感が生まれ、マンネリ化した脳が活性化できます。また、青い下着をつければ涼やかな気持ちになり、暑さを忘れますよ」
【感情系】植物やペットに話しかける
鉢植えなどの植物やペットに、朝、「今日もきれいだね」などと話しかけてみよう。「話しかけること自体が感情表現なので、興奮している脳をクールダウンでき、気持ちも穏やかになります」。植物もなく、ペットもいない場合は、いつも通る道や、近くの公園などにある、木などをなでるだけでも◎。
【記憶系】【感情系】5分間シャワーを浴びる
シャワーを浴びることで、皮膚が刺激され、眠っていた感覚もはっきりと目覚める。「大切なのは、5分間とリミットを決めることです。時間を意識すると、記憶をつかさどる海馬の機能も向上します」。
※女性セブン2017年9月7日号
【関連記事】